北欧家具好きなら「FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)」の名を一度は耳にしたことがあるでしょう。
「セブンチェア」など数多くの北欧家具を作ったフリッツ・ハンセンは、デザイン性・機能性・素材などすべてにおいて一流を目指し、いつかは欲しいと憧れる名作ばかりを生み出しています。
そこで今回は、フリッツ・ハンセンの魅力についてお伝えします。
目次
近代的な北欧家具の概念を定着させた「フリッツ・ハンセン」
「フリッツ・ハンセン」は、1872年に創業したデンマークの伝統ある老舗家具メーカーです。
キャビネット職人であったフリッツ・ハンセン氏が、通商権を取得したことが成り立ちです。
数年後にはコペンハーゲンのメイン都市にあるクリスチャンハウスに製作所を建設し、そこから成功への道のりが始まりました。
また、フリッツとその息子・クリスチャンは、自社ブランドの価値を高めるために品質水準を高めたことも有名な話です。
その高品質な製品は世代を超えて長きにわたり愛される北欧家具となっています。
「アルネ・ヤコブセン」「ポール・ケアホルム」「ハンス・J・ウェグナー」「ピート・ハイン」など、多くの優れた一流デザイナーと協力して生まれた名作家具は、近代的な北欧デザインの概念を定着させました。
フリッツ・ハンセンのコンセプトとこだわり
フリッツ・ハンセン社はデザイナーの個性を大切にし、機能性や革新性をもたせた家具作りをコンセプトにしています。
一つひとつは独創的なフォルムですが、常にモダンで飽きることなく使えるタイムレスなデザインになっているのが魅力です。
そして、たとえ家具を後世に受け継ぎ長い間使用することになっても、多くの人から愛される作品を世に送り出しています。
独自のプレミアムクオリティで製造・販売
高品質な製品をつくることを「プレミアムクオリティ」と呼んでいるフリッツ・ハンセン。
上質な作品を生み出すために国際的な基準をクリアすることはもちろん、自社独自の基準を厳しく設けています。
加えて特別な機械で検査をするだけではなく、商品が梱包される前に訓練を受けた担当者がすべての製品を試して検査する「プレミアムチェック」を行い販売されているのも特徴です。
最終チェックを通過した際に書き込む「クオリティチェックシート」は、上質な製品と同梱されてお客さまに届けられています。
フリッツ・ハンセン社の名作「ポール・ケアホルムシリーズ」

木製の家具が主流だったなか、スチールを使い素晴らしい名作を生み出したのがデザイナーである「ポール・ケアホルム」。
当時、スチールを使用する発想は画期的なもので多くの傑作を発表しました。
今回はそんなケアホルムが生んだ名作をピックアップしましたので、それぞれの特徴や魅力を紹介します。
卒業制作で考案した「PK25」

ケアホルムが卒業制作としてデザインした「PK25」。
チェアに用いる素材を各部位で一種類と限定し、繋ぎ目がなく美しいカーブを描いたフォルムに仕上がっています。
また背もたれと座面は体をしっかりと受け止めてくれる麻紐。
「エレメントチェア」とも呼ばれるPK25は半世紀以上が経った現代でも愛され続けています。
独創的なデザインが際立つ幻の「PK0」
ケアホルムが生み出した、2枚の成形合板からなる独特なフォルムのラウンジチェア「PK0」。
彼は機械で大量生産できる家具を作るためにPK0の試作品を完成させました。
しかし同時期に製作していたアルネ・ヤコブセンの作品が先に製造されることが決定してしまい、PK0はそのままプロトタイプとして眠ってしまいます。
そんなPK0でしたが、1996年に創業125年を記念したフリッツ・ハンセンがシリアルナンバー入りの限定600台のみを製造・販売。
そしてPK0は「幻のイージーチェア」と呼ばれるようになったのです。
妻の家に試作品として存在していた「PK8」

ケアホルムの妻であり建築家のハンナ・ケアホルムの自邸に試作品として存在していた「PK8」。
直線が多いケアホルムの作品には珍しく、曲線的なデザインが取り入れられています。
また3本脚のシルエットはどの角度から見ても美しくなるように、長い年月をかけて商品化されました。
高級感溢れるソファ「PK31」

「PK31」は高品質な素材とシンプルさが際立つソファで、その特徴はコンパクトなサイズ感にあります。
ソファ全体が一体型になった構造ではなく、一人が座る部分を連結させて1人掛け用から2〜3人掛け用と幅広いシーンに合わせて使えるような作りになっているのです。
空間の大きさや人数に合わせてカスタマイズできる点は大きな魅力といえるでしょう。
入れ子式のミニマムテーブル「PK71」

サイズの異なる3つのテーブルを入れ子式に収納できる「PK71」。
それぞれがコンパクトなサイズ感でおもちゃのようなネストテーブルですが、生活動線やライフスタイルに合わせて自由に動かしたり組み合わせたりできる点が魅力です。
PK71は現在、ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションとして展示されています。
フリッツ・ハンセン商品シリーズ・コレクションを紹介
ここからは、北欧の魅力溢れるフリッツ・ハンセンの商品を「チェア」「ラウンジチェア」「ソファ」「照明」のカテゴリに分けて紹介します。
数え切れない名作が見つかる「チェア」

フリッツ・ハンセンが取り扱うチェアには、数え切れないほど多くの名作があります。
たとえば美しいフォルムが魅力の「セブンチェア」。
シンプルで飽きがこないだけではなく、身体にあわせてカーブを帯びているため快適な座り心地を実現しています。
長時間座っていても疲れにくく、食事やデスクワークのほかリラックスしたいときにも活躍するチェアです。
また不朽の名作「アントチェア」は、背もたれと座面が一体となった三次曲面の椅子です。
絞った背もたれと細い脚部が蟻のような形をしていることから、別名「アリンコチェア」と愛称されています。
単体でも芸術品のように美しく絵になるほか、広い空間に複数並べたり部屋のアクセントとして置いたりと幅広いシーンで活用できるでしょう。
リラックス空間に最適な「ラウンジチェア」

ゆったりと腰を掛けてリラックスできるラウンジチェア。なかでも有名なのは「エッグチェア」です。
1958年、コペンハーゲンのSASロイヤルホテルのためにデザインされたもので、卵の殻のような個性的なフォルムからその名がつけられました。
座ったときに頭が隠れるほどの高さがある背もたれが特徴で、張地の下に硬い発泡ウレタンを使用し、身体を包み込むような快適な座り心地を作り出しています。
また「スワンチェア」も同ホテルのためにデザインしたラウンジチェアです。
ゆったりとした曲線で構成されたフォルムは、まるで白鳥が翼を広げるような優雅さを思わせる美しいデザインです。
リビングや書斎、ベッドルームなどに配置すると存在感を楽しめるでしょう。
そして「PK22」もフリッツ・ハンセンのなかで人気が高い作品。
世界的な美術展覧会であるミラノのトリエンナーレでグランプリを獲得した傑作です。
シンプルな作りながらゆったりとくつろげる座り心地で、テレビの前に配置すれば極上のリラックスタイムを堪能できるでしょう。
リビングの主役になる「ソファ」

リビングに配置すれば一気に空間の印象を左右できるソファは、部屋のコーディネートに欠かせない家具です。
そんなソファのなかで人気が高いのは「ルネソファ」や「アルファベットソファ」。
ルネソファは彫刻を連想させるような温かみのある曲線的なフォルムで、どの角度から見ても美しく柔軟性に優れています。
角のないデザインはハイクオリティのなかに遊び心を感じることができるでしょう。
またピエロ・リッソーニのアルファベットソファは、レゴブロックに着想を得てデザインされました。
座面が広いため、座るだけではなく横になってリラックスタイムも楽しめます。
加えてカバーの取り外しが可能ですので、お手入れのしやすさも大きな魅力です。
手元に優しい光を落とす「照明」

空間に光を灯す照明も、選ぶ種類やデザインによって部屋の印象を大きく変化させます。
ヨー・ハーマボーによってデザインされた美しいペンダントランプ「オリエント」は、シェード下部からは電球が見えにくく眩しさを感じないグレアフリーの照明です。
木製の型を使って丁寧にハンドメイドで作られたシェードは、まるで雫のようなフォルム。
その独創的な雰囲気は空間のアクセントとなり、シンプルな部屋にもアンティークなインテリアにも合わせやすいでしょう。
北欧空間をつくるならフリッツ・ハンセンをチェックしよう
今回はおしゃれな空間を演出できるフリッツ・ハンセンについて紹介しました。
自社独自のハイクオリティにこだわり続ける同社は、世界中の家具ファンを魅了する名作たちを世に送り出しています。
フリッツ・ハンセンにはほかにもまだまだ魅力的な家具が多く存在しているため、この先10年、20年と長く使い続けられるお気に入りの家具がきっと見つかるでしょう。
上品で上質な北欧空間を堪能したい人はぜひチェックしてみてください。