PK22はシンプルで凛としたフォルムと、実用性を兼ね備えたチェアです。
フレームにスチールを使用し、シート状の座面が乗せられているだけのように見える作りは、今日でもモダンチェアとして位置づけられています。
PK22はどこから見ても無駄のない、美しいシルエットをもつチェアの傑作です。
この記事では世界的に人気のあるPK22の魅力や導入事例を紹介します。
目次
PK22とは?

デザイナーのポール・ケアホルムによって1956年に発表されたPK22。
発表後に大きな反響があり、翌1957年には世界的な美術展覧会のミラノトリエンナーレでグランプリを獲得しました。
ケアホルムは51歳の若さで亡くなりましたが、1982年からはデンマークの家具メーカー「フリッツ・ハンセン」が製造と販売を引き継いでいます。
PK22の繊細で洗練されたシルエットは60年以上経った現在でも人気が高く、フリッツ・ハンセン社の代表的な作品の一つです。
シンプルながらも高級感がある佇まい
PK22は無駄を極限までそぎ落としたシンプルなデザインで、横から見るとまるで線描画のように見えるシャープなフォルムが魅力です。
派手な装飾を一切省いたことで、高潔ともいえる凛とした佇まいになっています。
心地よい空間を提供する程よい傾斜の背もたれ。加えてゆったりと広く取られた座面によって、体を柔らかく包み込み長時間座っていても疲れにくい座り心地です。
作りはシンプルでありながらも高級感を漂わせるPK22は、パリの国立図書館や東京の新国立美術館にも置かれています。
搬入しやすいノックダウン構造を採用
PK22はビスによってパーツの分解・組み立てができる「ノックダウン構造」にすることで、建物の搬入や配送コストの削減を可能にしています。
また継ぎ目がデザインを邪魔しないような配慮がなされているのも特徴です。
フレームには当時主流だった木ではなく、スチールが使用されています。
ビスは航空機用に開発された丈夫なもので、硬いステンレスの脚を正確にジョイントすることが可能。長く使い続けても安全性が損なわれることのない構造になっています。
3つのシート素材から選べて変幻自在な空間を演出

PK22のシート部分は革(レザー)、籐(ラタン)、キャンバスの3つの素材から選べます。
高級感のある革はモダンな空間に、ナチュラルな籐は場所を選ばずさまざまな部屋に溶け込むデザインです。
シンプルなシルエットで座面が低いため、日本の家屋に置いても違和感なく馴染むでしょう。
またスエードやキャンバスのPK22は、配置しているだけで空間のアクセントにもなります。部屋に遊び心を取り入れたい場合におすすめです。
ベースの素材はサテン仕上げのステンレススプリングスチールです。
体にスチールがあたらない構造になっているため、座ったときに座面がしなやかにフィットし、ゆったりとくつろぐことができます。
2019年〜2021年に発売されたスペシャルエディション

PK22のスペシャルエディション(限定版)には、「ニュアンスレザー」と「リネン」の張地が登場しました。
ニュアンスレザーのカラーはスモークグレーのみとなっています。牛革の表面に顔料が吹き付けられた加工で、汚れや摩擦に強いのが特徴です。
一方でリネンは、PK22のために特別に開発されたオリジナルテキスタイル(布のデザインのこと)が採用されています。
先染めの糸を使用していることで、光による退色や摩擦に対して高い堅牢度を有しています。
また表面は軽いサンディングで加工されているため、リネン独特の硬さはなく手触りのやさしい質感です。色はベージュ、グレー、チャコールの3色があります。
存在感のある家具との相性が抜群なPK22

シャープなフォルムのPK22は、小柄で座面が低く空間を圧迫しません。
シンプルな見た目は周囲に置いた家具によく馴染み、エッグチェアのように存在感のある家具との相性が抜群です。
モノトーンの家具に合わせると高級感が増し、明るい色の家具に合わせると遊び心がありながらも洗練された空間を作り出せます。
また座面が低いことから、背の低い家具が多い和の空間にもよく似合うでしょう。
PK22の導入事例を紹介
シンプルで上品なPK22の導入事例を紹介します。
希望の空間にするためにもぜひ参考にしてください。
テラスやバルコニーでくつろぎのひとときを

PK22の張地に籐が使われたタイプはナチュラルな見た目でやさしい温かみがあり、プライベートな時間を優雅にゆったりと過ごすのにぴったりです。
テラスやバルコニーにPK22と小さなカフェテーブルを置いて、景色を見ながら本を読んだり好きな飲み物を楽しんだり、いつもの日常から離れた空間を作り出します。
モダンな空間に

ガラスや金属などの無機質な素材の家具と、革の張地のPK22は相性が良い組み合わせです。
都会的でクールな部屋にPK22を置くことで空間を高級な雰囲気にします。
シンプルでありながら品の良いフォルムのPK22は、モノトーンのインテリアにもぴったりです。
リビングのソファにプラスして居心地の良い空間に

ご家族が多い家なら、リビングのソファにPK22をプラスしてみるのもよいでしょう。
程よい距離感を保ちながら団らんを楽しめます。背もたれにゆったりと体を預けて、家族と語らうひとときをお過ごしください。
昔ながらの日本家屋にもフィット
昔ながらの畳を使った日本家屋にもフィットするPK22。
木材を使用した家具が多い場合にはキャメルカラーがおすすめです。「和室×北欧家具」という異色なコラボレーションですが、全体的に統一感を漂わせることができるでしょう。
加えてフレームに使われているのは、マット仕上げのステンレススチール。光沢が抑えられており雰囲気が柔らかく、和の空間にも違和感なくマッチします。
上品なPK22で洗練された北欧空間を再現しよう

この記事はシンプルでありながらも高級な雰囲気をもつPK22について紹介しました。
ミニマリズムを追求した優雅なシルエットは、モダンな空間にもクラシカルな空間にもマッチし高級感をプラスします。
シンプルな美と機能性をあわせもつPK22を取り入れて、大人の洗練された贅沢な北欧空間を再現してください。