新築住宅を購入すると、必ず支払わなければいけない固定資産税。
しかし、準備しておきたくても実際いくらかかるのかわからなければ備えようがありません。
この記事では、固定資産税の知っておきたい5つのポイントと、実際にいくらかかるのかという疑問を解消します。
住宅を購入する前の基礎知識としておさえておきましょう。
目次
1:固定資産税とは
固定資産税とは地方税のひとつであり、毎年1月1日の段階で土地、家屋など固定資産の所有者に課せられる税金です。
土地部分と建物部分それぞれに固定資産税が課されており、購入後は毎年払い続ける必要があります。
主な特徴は2点です。
毎年価格が変動する
土地や建物の固定資産税を算出するための基準価格のことを「固定資産税評価額」といいます。
固定資産税評価額は3年に1度、価格が変わることが主な特徴です。
変動の要因は物件自体の劣化、周辺の環境や経済情勢などが挙げられます。
それらに伴い固定資産税も変動する仕組みになっているのです。
固定資産税額は下がる
建物は、築年数が経つと劣化などで価値が下がります。
そのため固定資産税も下がる仕組みです。
2:固定資産税の支払い方法
毎年1月1日に固定資産税評価額と固定資産税額が確定し、4月~6月ごろに自治体から納付書が届きます。
支払い方法は6月・9月・12月・翌2月と年4回に分けて支払う仕組みです。
分割でも一括で支払っても総額は変わりません。
支払い方法は主に3点です。
- 現金振り込み
- 口座振替
- クレジット払い
現金振り込みが一般的ですが、自治体によってはクレジット払いが可能なところもあります。
クレジット払いならポイント還元なども期待できますが、システム利用のための手数料がかかるので注意が必要です。
さらに、もし納付期限を過ぎてしまったら延滞税が課せられることも。
払い忘れがないように、口座振替や一括で支払うなど対策を立てておくことが必要です。
3:固定資産税の決まり方
固定資産税は土地と建物それぞれにかかります。
課税を決定する主な原因は6つです。
- 築年数
築年数による価値の減少は早く、戸建ての場合だと建物の価値は築20~25年ほどで0になります。しかし土地には築年数の概念がないので、固定資産税は課され続けます。 - 面積
同じ立地や築年数などの条件であれば、面積が広い土地や建物ほど固定資産税評価額は高くなります。 - 立地
都市部ほど高く、郊外・田舎になるほど低い傾向です。 - 地価
周辺環境の利便性や経済、金融情勢の変化により課税額も変動します。 - 構造
木造・軽量鉄骨・鉄筋コンクリートなどの素材によって課税額が変わります。 - 税率
固定資産税の税率は年1.4%。しかし全国一律ではなく、自治体によって1.4%以外の税率を採用していることもあります。お住まいの役所に確認してみましょう。
4:固定資産税の減税・軽減措置
固定資産税には、土地部分や新築の建物部分に関して減税や軽減措置があります。
ただし、これらは自動的に適用されるのではなく、申請すれば適用されるもの。
特例措置の例や注意点を紹介します。
新築の建物に対する特例措置
新築の戸建てなら3年間、固定資産税が2分の1に減税されます。
ただし、下記の条件を満たしていることが必須です。
床面積が50平方メートル~280平方メートル 2024年3月31日までに新築された住宅(※)
土地に対する特例措置
住宅がある土地にも税の軽減措置があります。
軽減の割合は住宅の敷地面積が200平方メートル以下かそれ以上で異なります。
建物の軽減措置のように、措置の期間は決められていません。
- 土地の広さ200平方メートル以下の場合(小規模住宅用地に分類)
課税標準額の6分の1 - 敷地面積が200平方メートル以上の場合(一般住宅用地に分類)
課税標準額の3分の1
災害の被害に対する特例措置
台風・地震・火災などの災害で固定資産に被害を受けた場合は、被害の程度によって減免されます。
減免対象は、災害を受けた日以後に納期が到来する税額です。
市町村によって異なるので、もしそのようなことが発生した場合は問い合わせることを念頭に置いておきましょう。
措置を受けるときの注意点
減税や特例措置を受ける場合は、ご自身で「住宅用地等申告書」を作成し、市町村の担当部署へ提出が必須。
さらに期限は建築した翌年の1月31日までです。
申請期限をすぎると、軽減措置の特例を受けられないので注意しましょう。
5:固定資産税の計算方法4つのステップ
固定資産税は、特例措置適用前だと年間平均10~15万円です。
地域や土地の広さ、建物の大きさでも支払う額は変わります。
そのため、具体的な数字を知るにはご自身で計算できれば準備しやすいもの。
固定資産税を計算するには下記の式があります。
固定資産税額=固定資産評価額(課税標準額)✕1.4%(標準税率)
式をもとに4つのステップで、下記の例で固定資産税を計算してみましょう。
- 取引価格:3000万円(土地部分 2,200万円、建物部分 800万円)
- 床面積:150平方メートル
- 築年数:新築
- 建築構造:鉄筋コンクリート
1:土地・建物の固定資産税評価額を調べる
- 土地の固定資産税評価額=土地部分の公示価格70%
2,200(万円)✕0.7=1,540(万円) - 建物の固定資産税評価額=建物部分の再建築価格60%
800(万円)✕0.6=480(万円)
2:1で出したそれぞれの固定資産税評価額に税率をかける
上記の式を活用して固定資産税額を計算します。
- 土地の場合
1,540✕1.4(%)=21.56(万円) - 建物の場合
480✕1.4(%)=6.72(万円)
建物部分の評価額に経年減点補正率をかける
新築ではない場合、建物部分の評価額に経年減点補正率をかけます。
地域や年度によって若干差があるので、法務局が公開している情報で確認しましょう。
軽減措置が利用できるか確認して適用する
この場合だと200平方メートル以下なので住宅用地に対する特例措置、さらに新築建物に関する特例措置も利用できます。
- 土地の場合
21.56✕1/6=3.59(万円) - 建物の場合
6.72✕1/2=3.36(万円) - 土地、建物の固定資産税額合算
3.59+3.36=6.95(万円)
以上のように4つのステップをふめば、固定資産税を簡単に導き出せます。
毎年まえもって計算しておけば、余裕をもって準備ができますよね。
固定資産税の仕組みを理解して備えておこう
固定資産税はマイホームをもっている限り、必ず払わないといけない税金です。
固定資産税の仕組みを理解すれば、新築で建てる場合は土地や建物の価格がわかっているので、いくら支払うのかイメージしやすいでしょう。
年々固定資産税が変動すること、特例措置が利用できる場合も念頭に置きながら固定資産額を計算して備えておきましょう。
※国土交通省「新築住宅に係る税額の減税措置より」引用
建物の素材により耐用年数ごとの下げ幅が決められており、木造の戸建てなら22年、鉄筋コンクリート製だと50年程度で価値が下がるといわれています。