軒の出のある家づくり!住まいに取り入れるポイントを解説

屋根の軒先 軒の出のイメージ

    四季があり、気候の変化が大きい日本。

    気温の影響を直接受けない工夫に用いられたのが軒の出(のきので)です。

    日本家屋に設けられるイメージの高い軒の出ですが、近年、軒の出があるメリットや軒下空間に注目する人が増え、注文住宅を建てる際に検討されることが多くなっています。

    この記事では、軒の出のある家づくりに役立つ情報を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

    軒の出とは?

    軒の出とは、屋根の軒先の長さのことで、外壁を基準に屋根から突き出た軒先(のきさき)までの水平距離を指します。

    軒の出はどのような役割があるの?

    軒の出は、直射日光や雨、風、雪などの外の刺激から外壁を保護する役割があります。

    特に雨による劣化が起こりやすい木造住宅に軒は必須とされており、昔から日本家屋に採用されていました。

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    適切な軒の出をつけることで家の耐久性がアップし、家の寿命を延ばせます。

    軒の出の標準的な長さとは?

    軒の出は一般的に、250mm以上で作られており、250mm以下の場合は「軒ゼロ」と呼ばれます。

    良く用いられる長さは、300mm、450mm、600mm、900mmです。

    建築基準法上の決まりはなく、好きな長さが選べます。

    ただし、軒の出が1000mm(1m)以上になる場合は建築面積に算入しなくてはいけません。

    軒の出がある家のメリット

    軒の出がある家には暮らしやすさをプラスする様々な利点があります。

    どのようなメリットがあるかを見てみましょう。

    外観の意匠性が高くなる

    軒を出すと、軒が出ている方向に屋根が長くなることで家の幅が広がり、家を大きく見せる効果があります。

    水平ラインが美しく、別荘感のある外観デザインの住宅を実現できるでしょう。

    和モダンな外観を好む方にもおすすめな建築法です。

    気候の影響を和らげる

    家づくりでは、日射のコントロールを踏まえた間取りや設計がとても重要です。

    春〜夏は日差しや雨季の対策、台風の多い秋口や雪を想定した冬といったように、四季を通して快適に過ごせる工夫が求められます。

    軒は日差しの調整に役立ち、夏場は室温上昇を妨げ、日射角度の低い冬は日差しを遮りません。

    軒の出が長ければ冷気が家に直接当たりにくくなり、霜が降りてガラスが凍ったり、家の中に直接冷気が入って室温を低下させることも防ぎやすくなります。

    雨水の吹き込みを防ぐ

    軒があると、通常の雨天時に雨水が直接外壁に当たることを避けられるため、窓やドアから雨水が吹き込むのを防ぐことができます。

    これによりガラスなどの建材への衝撃も軽減するので住宅設備の劣化も軽減するでしょう。

    小ぶりの雨であれば、室内の窓を開けても雨が室内に入り込むのを防げます。

    外壁の劣化を軽減する

    太陽の高度が高い夏季は、軒が直射日光を遮るため、紫外線による外壁の劣化を軽減することができます。

    さらには、外気温の影響を受ける割合が減ることで空調の効率が上がるメリットも得られるでしょう。

    また、雨風の影響で劣化しやすい外壁は、軒の出により窓や外壁に直接当たりにくくなることでダメージを防ぎ、外壁のメンテナンス周期を長くすることにも繋がります。

    外からの視線を防げる

    隣接する家がある場合、室内が見えたり、2階から見下ろされるなどプライバシーが守られないことがあります。

    カーテンやブラインドで遮ると室内が暗くなり光を遮ってしまいますし、日当たりの良い方角が生かされないことも。

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    そのような時、長い軒の出があれば外からの視線が届きにくくなり、お家時間を安心して過ごせます。

    軒の出がある家のデメリット

    軒の出を設けることで生じるデメリットもあります。

    デメリットも理解した上で検討することが大切ですので、その内容に目を向けてみましょう。

    建築費用が増える

    軒の出を付けることでそれに関わる部材や工事費用、工期が長くなり建築費用が増えます。

    軒の出が長いビルトインガレージになれば工事面積が広がりますので工事費用は大きくアップするでしょう。

    工事費用と軒の出があることによるメリットを踏まえ、暮らしやすさを長期スパンで考え検討する必要があります。

    居住空間が狭くなる可能性がある

    軒の出は建築面積や敷地面積と関連し、道路と住宅までの間口幅は建築基準法の条件を満たす必要があります。

    そのため、軒の出の長さによっては室内の面積を減らさなくてはいけない可能性も出て、移住空間が狭くなることも。

    さらに、立地的な理由で建築面積が狭い場合は軒の出が付けられないケースもあります。

    風の影響を受けやすい

    軒の出が長くなると、下から強風が吹き上げた場合にあおられやすくなります。

    それ故に、軒が強風に耐えられるような工夫、破風板や鼻隠しなどの大きさや強度を考慮した工事が不可欠となるでしょう。

    軒の出を取り入れる設計アイデア

    軒の出がある住まいは、「合ってよかった」と住みだしてから実感されることも多い項目です。

    暮らしをより豊かに、快適にしてくれる、軒の出を取り入れた設計アイデアを3つご紹介しましょう。

    縁側・ウッドデッキ

    軒下に縁側やウッドデッキを設けると夏の暑い日でも直射日光を避けられ、心地よく過ごすことができます。

    デッキにテーブルセットを置いてランチやティータイムを楽しんだり、ラウンジチェアを置いて読書やお昼寝も。

    お子様の遊び場所や宿題スペース、お庭でのバーベキューや夏の花火など、軒下空間があることで家族の幸せを生むスペースが作れます。

    雨の日も出入りしやすく濡れない玄関

    玄関先に軒を長く設けると雨の日も傘の開閉スペースを確保でき、濡れずに出入りできます。

    雨の日の帰宅時、荷物が多い時や鍵を探すちょっとした時間でも軒があればストレスがないでしょう。

    デリバリーや小包が届く際にも濡れずに受け取れますし、自転車置き場としても使えるなど、玄関に軒があることで快適さが格段にアップします。

    玄関から軒下で繋がるガレージ

    玄関からガレージが軒で繋がった「ビルトインガレージ」は、雨の日も濡れることなく玄関まで行ける抜群の動線が魅力。

    買い物した荷物を運ぶ際にもストレスがなく、チャイルドシートを使用されている場合も、天候に関係なく室内と車の移動ができて慌てません。

    カーポートを別に設置するより一体感が出て住まいの意匠性が高くなるのもポイントでしょう!

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    軒下に駐車できることで猛暑の時期も車内に熱がこもらず、雹などによる衝撃からも車を守れるなど、多くのメリットがあります。

    注文住宅で軒の出のある住まいを実現する!

    ここまで、軒の出の役割や、軒の出がある家のメリット、デメリット、家づくりに取り入れる設計アイデアを解説してきました。

    注意するべきポイントもありますが、軒の出がある家は、意匠性に加え、家を保護したり快適な暮らしをもたらす機能性に優れています。

    マイホームプランと合わせながら理想の家づくりの参考にしてください。