「平屋」でおしゃれな家を建てる際、屋根は外観の印象を決める重要なパーツです。
しかし、平屋の屋根の形はデザインの幅が広いため、どのタイプを選べばいいか迷う人もいるでしょう。
この記事では、おしゃれな平屋を建てるために、どんな形の屋根を選べばいいかや、注意点について解説していきます。
おしゃれな平屋づくりを検討される際に、ぜひ参考にしてください。
目次
平屋の屋根の特徴
平家に限らず、屋根の役割は主に2つ挙げられます。
- 雨や雪、風や太陽の強い日差し、紫外線などから住む人を守ってくれる建築物の構造としての役割
- 住宅デザインの構成要素としての役割
ここでは、平屋ならではの屋根の特徴について解説していきます。
外観の印象を決める
平屋の屋根は、2階建てや3階建ての戸建て住宅に比べて、外観の印象を決める重要なポイントとなります。
なぜなら、平屋の外観は凹凸が少なく、直線的な屋根は目につきやすいからです。
また、平屋は1階のみで構成されるため、斜線制限などの制約や条件がそれほど厳しくありません。
デザインの自由度が高く、好みの屋根を採用しやすいという特徴があります。
高い屋根は高い窓がつけられる
平屋で高い屋根をつくれば、2階建て住宅の1階よりも、高い位置に窓をつけることが可能です。
2階建て以上の建物に囲まれている敷地の場合、平屋は採光と風通しを確保しにくくなります。
しかし、平屋の天井部分を造らず、屋根裏にあたる空間を1階の空間とつなげる設計をすれば、高さのある屋根をつくれます。
そして高い位置に窓をつけ、採光や風通しを確保することも可能です。
このような吹き抜けの大空間を木造でつくる場合、構造計算によって耐震性の高い設計ができる、SE構法がおすすめです。
平屋によく選ばれる屋根の形
平屋をつくる際に、採光や風通しを確保できるおしゃれな屋根は、どう選べばいいでしょうか。
ここでは、平家の家でよく選ばれている屋根の形と、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
片流れ屋根
片流れ屋根とは、大きな1枚の屋根を片側に傾斜させた屋根のことです。
形がシンプルなため、スタイリッシュな印象を与えます。
近年は、おしゃれでモダンな家に採用されることが多く、平家の屋根として人気があります。
メリット | ・傾斜を比較的自由に設計できるため、天井の高さを確保しやすいこと ・太陽光パネルを設置しやすいこと |
デメリット | ・軒先のない壁面は雨風や紫外線の影響を受けやすく雨漏りの心配があること ・片側に雨水が集中するため雨どいが破損しやすいこと |
陸屋根
陸屋根(ろくやね)とは、水平に設置されたフラットな屋根のことです。
外観を箱型に見せるため、スタイリッシュな平家のデザインを好む人に人気のある屋根です。
メリット | ・屋上バルコニーをつくれるため、アウトドアリビングや家庭菜園を楽しめること |
デメリット | ・傾斜がないため水はけが悪く、雨漏りの心配があること ・雨や日差しによる外壁や屋根の劣化が起こりやすいこと |
切妻屋根
切妻(きりづま)屋根とは、2枚の屋根材を山形に合わせた屋根のことです。
三角屋根とも呼ばれ、日本家屋ではポピュラーな屋根の形状です。
メリット | ・シンプルな形状のため設置コストを抑えられること ・換気用の小窓や屋根裏部屋(ロフト)をつくれること |
デメリット | ・シンプルすぎて外観で個性を出しにくいこと ・屋根の軒がない面の外壁は劣化しやすいこと |
一般的に日差しの影響を少なくするために、東西に屋根を向けるのが理想的とされています。
寄棟屋根
寄棟(よせむね)屋根とは、4面からなる三角形の屋根が1つの頂点に集まった、ピラミッドのような形をした屋根のことです。
寄棟屋根の形は、住宅デザインの和洋問わず人気があります。
また、雪を四方向に均等に落とせるので、雪の多い地域に向いています。
メリット | ・屋根の構造が頑丈なため風圧や地震に対して強いこと ・4面に軒があることで外壁や屋根の劣化を防げること |
デメリット | ・屋根裏の換気扇が設置しにくく換気がしづらいこと ・屋根の継ぎ目である頂点から雨漏りがしやすい点 |
招き屋根(差し掛け屋根)
招き屋根とは、三角の屋根が左右で段違いになっている屋根のことです。
一般的には、長い屋根が上部にあり、その頂点の軒下の反対側に短い屋根が配置されます。
瓦との相性が良いため、和風の平屋によく採用されています。
メリット | ・構造的に頑丈で耐風性に優れている点 ・屋根の段差がある場所に窓を設置できるため採光や換気しやすい点 |
デメリット | ・低い方の屋根と外壁の設置面から雨漏りの心配があること |
平屋の屋根によく使われる素材
平屋の屋根をおしゃれに見せるには、屋根の素材選びも重要なポイントです。
ここでは、平家の屋根によく使われている3種類の素材を紹介します。
和瓦(日本瓦)
和瓦は粘土を焼いてつくられたもので、耐久性・断熱性の高さあが特徴です。
一度設置してしまえば、長期間にわたって雨風から家を守ってくれます。
ただし、瓦の屋根はかなり重いため、地盤や建物に相当な荷重がかかります。
耐震性を下げないために、屋根の重さを計算に入れた設計が必要です。
スレート(コロニアル・カラーベスト)
スレートとは板状の屋根材のことです。
住宅の屋根には、セメントと繊維素材を混ぜた化粧スレートが普及しており、コロニアルやカラーベストとも呼ばれています。
軽くて価格が安く、デザインやカラーバリエーションが豊富です。
ただし、防水性は瓦に比べると劣り、15〜20年を目安にメンテナンスや交換が必要です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、合金のガルバリウムでメッキ加工した鋼板のことです。
さびにくく、耐久性や耐熱性に優れ、デザインやカラーの種類が豊富です。
メーカーによっては30〜50年の品質保証がついている場合もあり、化粧スレートよりも長持ちします。
しかし、薄い素材のため衝撃でへこみやすいのと、金属製のため海沿いでは塩害の影響があります。
平屋の屋根をつくる際の注意点
平屋の屋根を選ぶときはデザインにこだわるだけでなく、長期的な視点に持ち、機能性も重視する必要があるでしょう。
ここでは、平屋の屋根をつくる際の注意点について紹介します。
防水対策をする
平屋の屋根をつくる際には、しっかり防水対策をしましょう。
平屋の屋根は、2階建ての住宅に比べて屋根面積が広くなるため、雨漏りのリスクが高まります。
特にスタイリッシュなデザインが魅力の片流れ屋根や陸屋根は、雨漏りや外壁の劣化が起こりやすいのが特徴です。
防水対策にはさまざまな工法があるため、施工業者に相談して決めましょう。
地域の気候にあった屋根を選ぶ
平屋の屋根をつくる際に注意したいのは、デザインだけを注視せず、地域の気候にあった屋根を選ぶことです。
豪雪地帯なら、傾斜を大きくつけた切妻屋根や片流れ屋根がおすすめです。
勾配の大きい屋根ならば、雪下ろしの手間を省けます。
海沿いや台風の進路になりやすい地域では、雨風の影響を受けにくくする必要があります。
そのため、シンプルな形状で傾斜がゆるい切妻屋根や寄棟屋根が向いています。
平屋の屋根断熱
平屋は屋根の面積が大きく、屋根からの冷気や熱気の影響を常に受けてしまうため、室内の温度調整に対策が必要です。
ここでは、平屋の屋根断熱について解説します。平屋に屋根を設置する際には検討しましょう。
充填断熱
充填断熱は、壁の内側にある柱の間に断熱材を入れる方法です。
断熱材を幅広く選択でき、室内での工程となるため、作業は天候の影響を受けません。
しかし、柱ごとに設置するため、隙間ができやすいことが難点です。
他にも、天井板を設置して断熱材を敷いたり、吹き付けたりする方法もあります。
高い天井による高窓や、屋根裏収納・ロフトを設けられなくなりますが、高い断熱効果が期待できます。
外張り断熱
外張り断熱とは、家の柱よりも外側から、断熱材で包み込むようにする方法のことです。
外張り断熱の断熱材は厚みがあり、切れ目がありません。
そのため空気の流出量を抑えられ、充填断熱よりも高い断熱性を得られるメリットがあります。
ただし、外壁が厚くなり、建築費が高額になりやすいといったデメリットがあります。
おしゃれな屋根を選んで印象的な平屋の外観をつくろう
ここまで、おしゃれな平屋を建てるための、屋根の選び方や注意点について解説しました。
平屋の屋根選びは住まいへの影響が大きいため、デザイン性と機能性を両立させたタイプを選ぶことが重要です。
屋根の形は、メリット・デメリットをよく理解した上で、選択することをおすすめします。
注意点なども考慮しながら、おしゃれな平屋づくりを実現しましょう。