SE構法で建てる家は耐震性が高い?構造計算の重要性を解説

    「SE構法の耐震性を高める技術は、他の工法と何が違うの?」
    「SE構法の耐震性能はどのくらいあるの?」

    SE構法を調べていくと、このような疑問を抱くのではないでしょうか。

    SE構法は木造住宅の工法の中でも、優れた耐震性能を持っています。

    さらにその耐震性を活かすことで、デザイン性の高い自由な設計を可能にしています。

    なぜならSE構法は、大型建築物の技術を応用して開発された、独自の技術が使われているためです。

    この記事では、SE構法の耐震性の高さを支える技術と実績を詳しく解説します。

    SE構法の構造強度が高い理由

    プロジェクターを使用している家

    近年の技術向上により、木造住宅でも高い耐震性を持つ建物が建てられるようになりました。

    SE構法は「オープン工法」として開発され、今では全国600店ものSE構法登録施工店が取り扱う工法です。

    ここでは、SE構法で建てた木造住宅がなぜ地震に強いのかを、技術面から解説します。

    構造計算による設計

    在来工法やツーバイフォー工法で建てた木造2階建て住宅の場合、建築基準法で構造計算が必須とされていません。

    しかしSE構法で建てる家は、全棟で「構造計算」を実施するのが特徴です。

    結果、立地条件や建物の間取りに合わせて、すべての家で高い耐震性を担保します。

    躯体となる柱や梁の強度だけでなく、耐力壁や内部の柱の配置バランスを最適化することで、建物全体の耐震性を高めています。

    構造用集成材

    SE構法は木材の強度や、含水率が安定している構造用集成材を採用するため、正確な構造計算を実施できるでしょう。

    構造用集成材は繊維方向をそろえて接着して作られた木材で、天然材に比べて1.6倍の強度があり、耐久性に優れています。

    SE構法で建てる家では、構造用集成材やその他使用される板材も強度試験をクリアしたものを使用しています。

    木造ラーメン構造

    従来のラーメン構造というと、鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造の建物に使われる構造です。

    SE構法では、木造住宅でもラーメン構造を採用しています。

    ラーメン構造とは、柱と梁を一体化させるように強く接合した、フレームのみでできた構造のことです。

    接合方法は鉄骨造では溶接、RC造ではコンクリートで一体化させますが、SE構法ではSE金物とSボルトで接合します。

    ラーメン構造の建物は、地震や強風による大きな揺れを建物全体で受け止めるため、揺れは大きくなりますが、倒壊しにくいのが特徴です。

    接合部の断面欠損が少ない

    ラーメン構造は、接合部分が一体化したような剛接合がポイントです。

    SE構法ではSE金物とSボルトで、柱と梁を剛接合しています。

    木造住宅で一般的な在来工法では「ほぞ」と呼ばれる穴やみぞで柱と梁を組みます。

    しかし、木材を削り欠損部分が大きくなるため強度が低下するのが難点です。

    SE構法のSE金物を使った接合の場合、欠損部分を最小限に抑えながら柱と梁を剛接合することが可能なため、大きな揺れでも破損が生じにくい構造を獲得できるでしょう。

    柱の引き抜き強度が高い

    SE構法では、コンクリート基礎と躯体の接合部分が直接連結できる「柱脚金物」を採用しています。

    これにより大地震の大きな揺れで、柱ごと引き抜かれることを防げるでしょう。

    この特殊な連結構造は、基礎の上に木材を配置する在来工法と強度の差が5倍以上にもなり、SE構法で建てる家の高い耐震性をさらに強化しています。

    精度の高い工場で加工

    構造計算のデータから、1棟1棟の耐震性能にあった木材やSE金物を提供しているのが、指定プレカット工場です。

    構造計算で作成された設計図を工場に直接送ることで、それぞれの部材が高精度に加工できる仕組みになっています。

    工場で木材とSE金物が加工され、建築現場に直接届き、資格を持ったSE構法登録施工店が施工していきます。

    SE構法施工管理技士がいる工務店

    SE構法は「オープン工法」のため、多くの工務店で施工できる建築工法です。

    ただしその品質を保つために、SE構法を開発した(株)エヌ・シー・エヌとの基本契約や、一定の条件をクリアしたSE構法登録施工店のみに限定されています。

    SE構法施工管理技士が1名以上在籍することも条件の1つで、SE構法の設計・施工基準、手続きなどの正確な知識によって全体を管理してくれるため、安心して依頼できるでしょう。

    SE構法の耐震性の実績

    SE構法が開発されたのは、1995年の阪神淡路大震災での木造住宅被害の大きさがきっかけでした。

    SE構法は比較的新しい建築工法のため、長期にわたって耐震性が証明されているのか、心配する人もいるかもしれません。

    高い耐震性能をかかげている根拠として、どのような実績があるかを紹介していきます。

    東日本大震災での実績

    SE構法はもともと「大地震でも絶対に壊れない木造住宅を日本中へ広めたい」という理念から開発されました。

    1998年からSE構法での施工が始まりますが、その後に起きた2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震といった震度7の揺れにおいても、全壊・半壊の被害はありませんでした。

    熊本地震シミュレーション

    ※1「熊本地震シミュレーション」

    熊本地震では震度7の揺れが2回も起きたためか「震度6強〜7程度の地震でも倒壊しない水準」であるはずの新耐震基準の木造住宅や、耐震性能が高いとされていた耐震等級2の住宅も倒壊しました。

    これらの木造住宅は構造計算されておらず、一般的な木造住宅の検証方法である壁量計算のみだったことがわかりました。

    (株)エヌ・シー・エヌでは国土交通省の公開地震解析ソフトで熊本地震のシミュレーションを実施し、同じ耐震等級2の木造住宅において、SE構法の強度を示す動画を公開しています。(※1)

    SE構法での地震対策

    住宅にとっての耐震性の高さはどれほど重要なのでしょうか。

    ここでは耐震性能の重要性についてと、SE構法の保証について解説します。

    地震大国の日本

    日本が地震大国であることはよく知られていますが、世界から見てどのくらい多いのでしょうか。

    内閣府のデータによると「世界の地震の2割は日本周辺で発生している」とあります。(※2)

    気象庁のデータからは2001年以降、震度5以上の中規模地震の増加が見られます。(※3)

    それほど日本は地震が多く、いつ大規模な地震が起きてもおかしくはないといえるでしょう。

    木造住宅の耐震基準

    2000年に「建築基準法」の改正があり、耐震基準は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート(RC)造の区別なく、震度6〜7の大規模地震でも倒壊・崩壊しない建築物とされました。

    建物のねじれにも考慮し、バランス設計が求められるようになっています。

    木造住宅は地震に弱い?

    在来工法などで建てられる木造住宅は「壁量規定」という壁や筋交いを簡易的に数値化し、必要な壁の数を算出する方法で設計されます。

    しかし、2階建て以下の木造住宅は壁量計算した図面や計算書を、行政など専門機関に提出する義務はありません。

    このことから耐震性が科学的に検証されていないため、従来は木造住宅の耐震性能が疑問視されてきました。

    2000年に「建築基準法」の改正後に耐震基準に対する性能は高まっていますが、現在でも2階建て木造住宅は壁量計算のみで設計されています。

    SE構法では木造住宅でも構造計算することで高い耐震性を実現し、実績を出しています。

    SE住宅性能保証で安心

    SE構法では、建築した全ての家に「SE住宅性能保証書」を発行しています。

    基礎や構造躯体と、それを構成する金物が原因で住宅に損傷が生じた場合、SE構法登録施工店を通じて保証しているのが特徴です。

    完成引き渡しから10年間は無償保証となり、10年経過後に指定された検査・メンテナンスを実施すると、さらに10年間の保証が延長されます。

    これにより長期間の安全性を担保するため、安心して過ごせる家づくりを実現できるでしょう。

    SE構法の耐震性が支える設計プラン

    他の工法にはない大きな魅力に、SE構法だからこそ可能な設計プランがあります。

    ここではSE構法を採用する最大のメリットとなる、自由設計について解説します。

    スケルトン・インフィル

    SE構法は木造ラーメン構造のため、在来工法のように耐震性を保つための、構造上必要な柱や壁を必ずしも設置しません。

    そのため、建物内部を広く使用できるのが大きなメリットです。

    間取りを自由自在に設計できる「スケルトン・インフィル」という建築手法が可能となり、住む人のライフサイクルの変化に合わせて、リフォームしやすい家が建てられます。

    大胆な設計プランが可能に

    大空間の家

    構造計算によって木造ラーメン構造だけでなく、耐力壁の配置でバランスよく耐震性を保てるSE構造の家。

    そのため木造住宅では難しいとされていたデザイン設計がかなうでしょう。

    広い空間を活用できる30畳ものリビング、壁一面大開口の窓、高い天井を使った吹き抜けなど、自由に配置できます。

    狭小住宅や3階建て住宅でも、ビルトインガレージやオーバーハングなどのデザインも自由自在。

    これまでは鉄骨造でないと実現できなかった設計を、SE構法なら構造計算で可能にしてくれます。

    SE構法なら木造住宅でも優れた構造強度を実現

    大開口の家

    今回は、SE構法の耐震性の高さを支える技術と実績を詳しく解説しました。

    日本では自然災害が他人事ではなく、地震以外にも台風や土砂災害、竜巻などで被害を受ける可能性は誰にでもあります。

    長く住み続ける家が頑丈であることは、住宅を建てる家族にとっては重要なポイントとなるでしょう。

    たとえ災害保険に加入していても、条件によってはお金がかかる場合もあります。

    限られた土地面積やデザインにこだわりたい気持ちなど、耐震性を保ちながらも、さまざまな設計の要望に応えてくれるのがSE構法です。

    一生に一度の家づくりに、SE構法をぜひ検討してみてください。