スケルトン階段は、骨組みが見えるタイプの階段です。
一般的な階段より圧迫感がなくて開放的。お家全体のインテリアがシンプルでも、スケルトン階段があるだけでスタイリッシュなイメージです。
今回は、そんなスケルトン階段について探ってみましょう。メリットもデメリットも把握して、こだわりのスケルトン階段を作ってください。
スケルトン階段(ストリップ階段)とは?
「スケルトン階段」は、足をのせる踏み板とそれを支える骨組みだけの階段です。
一般的な階段には踏み板と踏み板の間に垂直の蹴込み板がありますが、スケルトン階段にはありません。
「スケルトン」とは骨格や骨組みという意味で、スケルトン階段には「オープン階段」「シースルー階段」「スリット階段」という呼び方もあります。
一般的な住宅にあるタイプの階段は、踏み板と蹴込み板で箱のようにできているので「ボックス階段」や「箱型階段」と呼ばれます。
3種類のスケルトン階段
オリジナルで造作されることの多いスケルトン階段には、さまざまな形がありますが、大体まっすぐな「直階段」、踊り場のある「L字階段」、U字型に折れた「U字階段」に分けられます。
一般的に値段はシンプルな直階段が一番安く、複雑なU字階段が一番高額。
踊り場のあるL字階段とU字階段は幅広いスペースが必要ですが、もう一方で、狭いスペースに造作できる直階段は急勾配になりがちです。
スケルトン階段はどんな形でも施工できますが、U字型など複雑な形を選ぶなら鉄骨がおすすめ。木製だと補強が必要になり、美しいデザインに仕上がらない可能性が高いです。
スキップフロアと吹き抜けに相性がいい
スケルトン階段は、踏み板の間の蹴込み板がないので、階段の間から光が入りやすくなります。
そのため、中2階や中3階を設けるスキップフロアや、ふたつの階を繋げる吹き抜けなど、採光を考えた間取りにスケルトン階段はぴったり。
階段でさえぎることなく、部屋の奥まで太陽や照明の光を通し、空気の循環も妨げません。スケルトン階段にするだけで、昼間は照明をつけない生活も可能です。
スケルトン階段の有名なメーカー
スケルトン階段で有名なメーカーは、
- アルミや木目調デザインが特徴の「YKK AP」
- バリエーション豊かな階段ユニットから選べる「LIXIL」
- 自然素材に定評のある「ウッドワン」
- アルミの素材感を生かした階段を手がける「三協アルミ」
などが主流。
多くは直階段・L字・U字に対応していて、強度やキズ・汚れにも一定の配慮が行き届いているのが特徴です。
規格化されたスケルトン階段はすぐに購入・設置できるのが魅力ですが、フルオーダーで作るオリジナルのスケルトン階段と比べて自由度が低く、質感や雰囲気に大きな差が出てしまうこともあります。
フルオーダーの場合は施工実績によっても仕上がりに差が出てしまうので、見た目の統一感や快適性にこだわりたいなら経験豊富な工務店を探すのが良いでしょう。
スケルトン階段のメリット
スケルトン階段の一番の特徴は蹴込み板がないこと。
それだけで、色々なメリットが見えてきます。
スケルトン階段のメリットを理解すれば、取り付けたいと思っている場所やデザインが適切かどうか見えてくるかもしれませんよ。
開放的な雰囲気を感じられる
スケルトン階段は、蹴込み板がないだけで開放的なイメージ。スペースをふさぐことがないため、リビングの中に設置されることも多いタイプです。
狭いスペースでも採光が得られるので、狭小住宅でも圧迫感を感じません。
直階段だけでなく、コンパクトならせん階段でも、開放的な印象を失わずに設置できます。
明るくて風通しのいい空間になる
スケルトン階段は、蹴込み板がないためそのすき間から光や風を通します。
そのために、日が当たらない北側の階段をスケルトンタイプにする住宅も多いようです。
スケルトン階段のメリットを生かす例として、北側の廊下にある階段をスケルトンタイプにして、手前にあるリビングとの壁を取り払う方法があります。
リビングが広くなるだけでなく、暗かった階段まで明るく風通しが良くなります。
おしゃれ
スタイリッシュな見た目のスケルトン階段は、施工業者が注文に応じて造作するケースが多いもの。
横から見て稲妻のような形にしたり、踏み板が宙に浮いて見える形にしたり、フットライトをつけて夜はまるでオブジェのように見せたり、それぞれおしゃれなインテリアとして楽しめます。
時間によって、太陽の動きと共に刻々と変わる階段の影さえも美しく感じられます。
壁がなくても造作可能
骨組みだけで成り立つスケルトン階段は、手すりがあれば、壁を必要としません。
造作する場所を選ばないので、選択肢が広がります。
手すりのないデザインにすれば壁で階段を支える必要が出るので、設置したい場所や思い描くイメージを照らし合わせて、デザインを選ぶと良いでしょう。
スケルトン階段のデメリット
おしゃれなスケルトン階段は、デザインを重視するあまり、住み始めたら使いにくさが目立つケースも多いようです。
せっかくのスケルトン階段を設置しても後悔しないように、デメリットをしっかり把握して、機能も重視したスケルトン階段を作りましょう。
価格は高くなる
スケルトン階段は、蹴込み板がないぶん、他で強度を上げるために、一般的なボックスタイプよりも価格は高くなります。
デザインにこだわる人も多く、建材の費用も上がりがち。少なくとも50万円以上は見積もる必要があるでしょう。
小さな子どものいる家庭は、事故を防ぐ対策に、予想以上に出費がかさむ場合もあります。
蹴込み板がなく、小さい子供の落下の危険性がある
蹴込み板がなく、手すりに板が貼られていないと、階段のすき間から子供が落ちたり、蹴込み板の間に足が挟まれて抜けなくなることもあります。
高齢者は、蹴込みがないと、上り下りに不安を感じる方もいるかもしれません。
踏み板には滑り止めをつけ、すき間の大きさについても施工業者とよく話し合う必要があるでしょう。
階段下に収納しにくい
階段の下によくある収納スペース。スケルトン階段の下に収納スペースを作るなら、開放感を失わないように注意しなくてはいけません。
ガラスやアクリル板などの透明な棚や、小さなカゴを並べたり、植物や水槽を置くスペースにする、パソコンを置いて勉強や仕事の場所にするなど、工夫次第で階段下もうまく活用できるでしょう。
冷暖房の効率が悪い
スケルトン階段は風通しが良く、上と下の階の空気が循環するため、夏は快適に過ごせます。
でも、反対に、冬は冷たい空気が下の階に溜まって冷え込んでしまいます。
お家全体が温まりにくくなり、暖房費がかさむのを防ぐため、シーリングファンや床暖房を取りつけるお家も多いようです。
最近では、高断熱・高気密性のある建て方が増え、冷暖房効率の悪さもだいぶ解消されてきました。
スケルトン階段の危険性を下げるための注意点
デメリットを見ると、スケルトン階段は危険性が気になりますが、小さなお子さんのいる家庭でも、スケルトン階段の設置をあきらめることはありません。
どんな方でも安全に使える方法を探してみましょう。
手すりに透明・半透明のパネルをつける
開放的なイメージのあるスケルトン階段は、手すりに板がなく、その下から落ちる可能性が高くなります。
ガラスやアクリル板などでできた透明か半透明のパネルをつければ、落下を防ぐだけでなく、心理的にも安心できます。
見た目も近くから見ればパネルが見えますが、透明だと開放感は失われません。
スケルトン階段の下に落下防止安全ネットをつける
子どもがハイハイして動けるようになったら要注意。子ども達にとって、階段も遊び道具のひとつです。
スケルトン階段ではサイドから上ることもできるので、大人が気づかないうちに上ったり下りたりして、ケガをする危険性があります。
子どもが小さいうちは、階段の下に落下防止安全ネットをつけることをおすすめします。
ネットをつけているうちはデザインが損なわれますが、取り外し可能なので安心。
ネットは既製品が合わないと、オーダーメイドになることもあります。
ベビーゲートを設置する
小さな子どもが入れないようするベビーゲートやベビーフェンスも、安全対策におすすめです。
手すりにつける透明なパネルとベビーゲートがあれば、活発な赤ちゃんでも入ることはできないでしょう。
注意したいのは、ベビーゲートがつけられない階段のデザインもあることです。
壁のないスケルトン階段では、壁付けタイプのベビーゲートがつけられないので、造作の時に気をつけましょう。
スタイリッシュで安全なスケルトン階段を作ろう
スケルトン階段のイメージはつかめましたか?
狭くて暗いお家でも、スペースをうまく使ってスケルトン階段にすれば、開放感のある明るいイメージにすることもできますよ。
メリットを生かして安全対策も考えたスケルトン階段は、お家の中でも自慢のスペースになることでしょう。