さまざまな分野で活躍したピート・ハイン|歴史や代表作を紹介

    ピート・ハインはデンマークの数学者・哲学者・デザイナー・詩人です。

    日本ではあまり知られていませんが、デンマークでは「アルネ・ヤコブセン」と並ぶ有名人。

    20冊以上の詩集を発表するなど生涯において、さまざまな分野で活躍しデザイン界にも大きな影響をもたらした人物の一人です。

    この記事では、ピート・ハインの歴史や、代表作についてご紹介します。

    幅広い才能をもつピート・ハイン

    1905年12月16日、コペンハーゲンに生まれたピート・ハイン。

    数学者・哲学者・デザイナー・詩人など多岐にわたる文化活動をおこない、デンマークで活躍した人物です。

    また17世紀のオランダ海軍の国民的英雄「ピート・ピエターズズーン・へイン」の子孫でもあります。

    コペンハーゲン大学の理論物理学研究所、デンマーク工科大学で学び、1972年にはアメリカ東部の名門校の一つである「エール大学」から名誉博士号を授与されました。

    中心となるハインの肩書は数学者であり、建築家や家具デザイナーではないものの「スーパー楕円テーブル」といった作品のデザインにも携わりました。

    彼が手掛けたプロダクトは、一家によってインテリアやアクセサリーデザインを中心に、同名ブランドとして販売されています。

    交差点からスーパー楕円のアイデアが生まれる

    楕円形と長方形を組み合わせたようなフォルムの「スーパー楕円」のアイデアは、ハインが交差点をデザインしたときに思い付いたものです。

    1950年代の後半、ストックホルムの「セルゲル広場」における、交通問題を解決するための「新しい楕円」として考案されました。

    このアイデアは、後に彼の代表作となる「スーパー楕円テーブル」にもつながります。

    スーパー楕円を用いたテーブルシリーズを展開

    ハインはスウェーデン人の世界的なデザイナーである「ブルーノ・マテソン」と共に、スーパー楕円を取り入れたテーブルシリーズを展開しました。

    1968年にデンマークの老舗家具メーカー「フリッツ・ハンセン」より製造され、「スーパーエッグペンダント」のデザインにも発展していきます。

    スーパー楕円のアイデアが広がる

    柔らかな印象をもつスーパー楕円のアイデアは、インテリアだけでなく多方面で取り入れられました。

    具体的例としては、メキシコのサッカー専用スタジアムである「エスタディオ・アステカ」の形状が挙げられます。

    またスマートフォンアプリのアイコンといったデジタルプロダクトにも、スーパー楕円の数式が導入されているといわれています。

    ハインが生み出した通常の楕円形よりも無駄がなく優しいフォルムは、多くのデザインで活かされているのです。

    ピート・ハインの代表作5選

    ピート・ハインの手掛ける家具や照明の原点には「スーパー楕円」があります。

    ここからは、代表的な作品を5つご紹介します。

    世界中で愛されるスーパー楕円テーブル

    スーパー楕円テーブルは、スタイリッシュな佇まいが印象的です。

    枝分かれした脚「スパンレッグ」は、マテソンの提案により生まれたそう。

    先端に向かってレッグが一つになるデザインは、どこか神秘的な雰囲気を感じさせます。

    ホワイトラミネートとアルミ製のフレームは見た目の美しさだけでなく、お手入れも簡単なのが嬉しいポイントです。

    明確な上座や下座がなく、四角形のテーブルよりも視線が交差するのも特徴の一つ。

    椅子は4~6脚レイアウトできるので、家族や仲間とアットホームな時間を楽しむことができます。

    すっきりとした印象の長方形テーブル

    長方形テーブルのある空間

    スーパー楕円に比べて、よりすっきりとした印象の長方形テーブル。

    天板が直線的なので、レッグの緩やかなカーブが引き立ちます。

    「アントチェア」や「セブンチェア」といったシンプルな北欧家具や、木製の「Yチェア」、ミッドセンチュリーを代表する「イーズムチェア」など、どんなテイストの家具にも似合います。

    チェアは最大6脚まで配置できるので、職場や家庭など、さまざまな場所での使用に対応可能です。

    ラウンジチェアと組み合わせたい円テーブル

    円テーブルのある空間

    お気に入りのラウンジチェアと組み合わせて使いたいコーヒーテーブルです。

    天板はシンプルなホワイトラミネートなので、椅子のカラーやデザインを選ばないのが嬉しいポイント。

    スタイリッシュな印象の4スターベースは、デンマークを代表するデザイナーおよび建築家「アルネ・ヤコブセン」がデザインしました。

    ヤコブセンが手掛けたラウンジチェア「スワンチェア」との相性も抜群です。

    インテリアのアクセントになるスーパーエッグ

    スーパーエッグ

    スーパーエッグは名前の通り、卵のような楕円形のフォルムのペンダントライトです。

    白いシェードに、真っ赤なコードがアクセントになっています。

    単体で配置するのはもちろん、高低差をつけて複数吊るしても。

    ラウンジチェアの上に吊るせば、特別感のあるパーソナルスペースを演出できます。

    また、お気に入りの絵や雑貨を飾ったディスプレイコーナーに取り入れても良いでしょう。

    存在感があるので消灯時もオブジェのように、インテリアとして目で見て楽しめます。

    コンパクトな多目的テーブルFH125

    FH125のある空間

    フリッツ・ハンセンに向けたオリジナルデザインとして2019年に発表された「FH125」。

    限られたスペースにも、すっきりと置ける多目的テーブルです。

    ダイニングテーブルや書斎机など、さまざまな用途に対応可能。

    スーパー楕円を用いた天板は、壁に寄せて配置しても違和感なく馴染みます。

    マットな質感の天板と丸みを帯びたフォルムが、クールな印象の中に程よいやわらかさをプラス。

    木製のチェアと合わせて、ナチュラルにまとめても良いでしょう。

    多彩な才能をもったピート・ハイン

    多彩な才能に恵まれ生涯において、さまざまな文化活動をおこなったピート・ハイン。

    多岐にわたる知識や技術を持ち合わせていたことが「スーパー楕円」のアイデア誕生にも、つながったのでしょう。

    実際にスーパー楕円を用いたハインの作品に触れ、優れた機能美を体感してみてくださいね。