注文住宅は、マンションや分譲住宅と違い、建てる場所を選べる魅力があります。
住みたいエリアを優先したいという考えがある一方、住環境や利便性を重視する人もいます。
では、どんな地域が自分に合っているかと問われると、迷う人もいるでしょう。
そこでこの記事では、注文住宅を建てる地域の住みやすさの条件や、地域を選ぶコツについて解説していきます。
注文住宅をどこに建てるか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
注文住宅で人気の地域とは
注文住宅で人気の地域とは、どんな環境なのでしょうか。
ここでは、さまざまな視点を紹介していきます。
首都圏の買って住みたい街ランキング
首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)エリアでの、住みたい街ランキングを紹介します。
こちらは、LIFULL HOME’Sで実際に検索・問い合わせから算出された「住みたい街ランキング」です。
順位 | 街・駅名 | 路線名 | 都道府県名 |
---|---|---|---|
1位 | 勝どき | 都営大江戸線 | 東京都 |
2位 | 横浜 | JR東海道本線ほか | 神奈川県 |
3位 | 平塚 | JR東海道本線ほか | 神奈川県 |
4位 | 茅ヶ崎 | JR東海道本線ほか | 神奈川県 |
5位 | 田町 | JR山手線ほか | 東京都 |
6位 | 本厚木 | 小田急小田原線 | 神奈川県 |
7位 | 八街 | JR総武線 | 千葉県 |
8位 | 大宮 | JR京浜東北線・根岸線ほか | 埼玉県 |
9位 | 八王子 | JR中央線ほか | 東京都 |
10位 | 千葉 | JR総武線ほか | 千葉県 |
11位 | 半蔵門 | 東京メトロ半蔵門線 | 東京都 |
12位 | 白金高輪 | 東京メトロ南北線ほか | 東京都 |
13位 | 稲毛 | JR総武線ほか | 千葉県 |
14位 | 江戸川橋 | 東京メトロ有楽町線 | 東京都 |
15位 | 橋本 | JR横浜線ほか | 神奈川県 |
16位 | 船橋 | JR総武線ほか | 千葉県 |
17位 | 目黒 | JR山手線ほか | 東京都 |
18位 | 柏 | JR常磐線ほか | 千葉県 |
19位 | 川口 | JR京浜東北線・根岸線 | 埼玉県 |
20位 | 南砂町 | 東京メトロ東西線 | 東京都 |
こちらは、ARUHIが独自の審査基準で集計した「本当に住みやすい街大賞」ランキングです。
順位 | 街・駅名 | 路線名 | 都道府県名 |
---|---|---|---|
1位 | 西八王子 | JR中央線 | 東京都 |
2位 | 流山おおたかの森 | つくばエクスプレス | 千葉県 |
3位 | 新小岩 | JR総武線 | 東京都 |
4位 | 保谷 | 西武池袋線 | 東京都 |
5位 | 辻堂 | JR東海道本線 | 神奈川県 |
6位 | 柏 | JR常磐線ほか | 千葉県 |
7位 | 新川崎 | JR横須賀線 | 神奈川県 |
8位 | 川越 | 東武東上本線 | 埼玉県 |
9位 | 東村山 | 西武新宿線 | 東京都 |
10位 | 鶴ヶ峰 | 相模鉄道本線 | 神奈川県 |
どちらのランキングも、都心までやや時間のかかる距離にありながらも、通勤・通学に便利な街が選ばれています。
また都会すぎず田舎すぎず、生活の利便性と住環境を重視する傾向がみてとれます。
このデータから、どんな背景が読み取れるでしょうか。
テレワーク定着で郊外が人気に
コロナ禍以降、テレワークが定着したことで、郊外の戸建て住宅が注目されています。
通勤のために勤務地の近くに住む意味が薄れ、住環境や広さ、費用などを重視する人が増えたためです。
また、郊外でもショッピングセンター・病院・学校などを新設する地域開発が行われ、住環境が充実したエリアが増えており、都心からの移住も増えています。
広さを優先するなら郊外に建てる
注文住宅で、広さを優先するなら郊外がおすすめです。
注文住宅の建築費用は、世界的なウッドショック・アイアンショックで高騰し続ける資材の影響を受け、価格が上昇しています。
<注文住宅の建築費(首都圏)>
調査年度 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
建築費 | 3,558万円 | 3,301万円 | 3,510万円 | 4,077万円 | 5,050万円 |
そのため、広くて、こだわりの住宅を建てたいと考えるなら、住みやすい郊外エリアが最適でしょう。
交通の利便性や住環境が充実していれば、郊外は長く住み続けるエリアとして、魅力的な場所です。
豊かな自然環境を満喫できたり、ゆったりと家族で過ごせる場所が多かったり、10年先、20年先も住みやすさを感じられるでしょう。
注文住宅を建てる地域の住みやすさの条件
郊外エリアで注文住宅を建てる地域を選ぶ際、住環境に必要な条件は、主に4つ挙げられます。
希望する地域が条件に当てはまるか、周辺環境を確認しましょう。
- 交通機関の利便性が良い
- 住宅周辺の施設が整っている
- 子育て環境が充実している
- 自然災害・治安リスクが少ない
鉄道やバスなどの公共交通機関、スーパー・薬局などの買い物環境、病院や学校などが近距離にあれば、不便を感じずに生活できます。
子育て環境を重視する場合は、自治体によって子育て支援制度に力を入れている地域もあるため、支援施策が充実した地域を優先するのも良いでしょう。
さらに、周辺地域の自然災害のリスクや、夜間の交通量や街灯の明るさなども調べることをおすすめします。
注文住宅を建てる地域を選ぶコツ
住みたい場所を探す際に、なんとなくで探し始めてしまうと、良い土地を見つけるのに時間がかかってしまいます。
ここでは、実際に注文住宅を建てる地域を選ぶコツについて紹介します。
地域の特徴から選ぶ
住みたい地域を選ぶときに重要なのは、地域の特徴を知ることです。
そしてライフスタイルや家族構成を照らし合わせて、希望条件との相性を検討しましょう。
チェックすべき項目は3つあります。
1:日当たり・風通し
候補となる地域を訪問し、日当たりや風通しをチェックしましょう。
注文住宅は自由に設計できるとはいえ、隣家との距離や道路のサイズなどでさまざまな制限がかかることもあります。
明るく快適な家を建てるためにも、周辺の日当たりや風通しに注意しましょう。
2:交通量
希望する土地や、頻繁に使うことになる駅までの道など、周辺の交通量も見ておきましょう。
大通りや幹線道路までの距離が近いと、マイカーで通勤するには便利ですが、騒音や交通事故などのリスクが高まります。
小さい子どもがいる家庭の場合は、通学路のチェックも重要です。
また、夜間の交通量や道の明るさなども確認しましょう。
3:土地の形状
注文住宅を建てる際に、土地の形状を考慮することも重要です。
おしゃれなウッドデッキをつくりたい、庭でバーベキューをしたいなど、理想の暮らしを実現するためには、広さだけでなく土地の高低差や地盤を確認する必要があります。
地域ごとのルールや制限から選ぶ
注文住宅を建てられる土地のルールや制限を基準にして選ぶ方法もあります。
ここでは、用途地域や建ぺい率・容積率から選ぶ方法を紹介します。
用途地域で選ぶ
建ぺい率・容積率で規制された用途地域は、それぞれ特徴があります。
郊外といってもさまざまな地域があるため、希望する土地がどの用途地域に当てはまるか調べてみましょう。
用途地域 | 特徴 | 向いているタイプ |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | 建てられる高さは10mや12mに制限され、戸建て住宅が主体のエリア。 閑静な住環境ですが、公共施設や商業施設が建てられないため、買い物が不便に感じることも。 | ・広い庭を持ちたい人 ・車で移動する人 |
第二種低層住居専用地域 | 第一種と同様、閑静な住環境エリア。 床面積150㎡の店舗が建築可能なため、コンビニエンスストアや飲食店が建てられます。 | 静かな住環境と利便性と両方ある場所に住みたい人 |
第一種中高層住居専用地域 | 高さ制限がなくなり、床面積500㎡以下の店舗が建築可能のエリア。 マンション、幼稚園、学校、病院、図書館があります。 | 落ち着いた住環境と利便性のある場所に住みたい人 |
第二種中高層住居専用地域 | 床面積1500㎡以下の店舗が建築可能のエリア。 2階以上の事務所や、スーパーなど中規模の商業施設があり、にぎやかな街並みの環境です。 | 静かさより、生活の利便性を求める人 |
第一種住居地域 | 高さ制限、北側斜面の制限がないため、住宅が密集するエリア。 床面積3000㎡以下の店舗が建築可能なため、事務所やホテルが建てられ、かなりにぎやかな環境です。 | ・公共交通機関を利用したい人 ・利便性を重視する人 |
第二種住居地域 | 床面積10000㎡以下の店舗が建築可能なため、カラオケやパチンコ店があります。 住宅と商業施設が混在するエリアです。 | 高い利便性を求める人 |
準住居地域 | 国道沿いや幹線道路沿いに指定されることの多いエリアです。 床面積10000㎡以下の店舗が建築可能で、車庫や倉庫、小規模な映画館や劇場も建てられます。 | ・騒音が気にならない人 ・車で移動する人 |
田園住居地域 | 第一種低層住居専用地域と同様、戸建て住宅が主体のエリア。 コンビニエンスストアや喫茶店、農産物直売所、農家レストランが建てられます。 | ・農家を営む人 ・田園環境に住みたい人 |
建ぺい率・容積率で選ぶ
建ぺい率とは、土地面積に対して建物面積の割合を数値化したものです。
容積率とは、土地面積に対して延べ床面積の割合のことを指します。
どちらも、用途地域ごとに制限があります。注文住宅でこだわりの家を建てる場合、建ぺい率と容積率は重要な数値です。
例えば、広い平屋に住みたい場合と、4人家族で1人ずつ個室を持ちたい場合では、延べ床面積が変わらなくても、建てられる用途地域が異なる場合があります。
どんな間取りに住みたいかも検討しながら、目的に合った地域を選びましょう。
家づくりの費用から選ぶ
注文住宅を建てるにあたって、家づくりの費用を決めてから地域を選ぶ方法もあります。
家づくりの費用とは「土地購入費+建築費+付帯工事費+諸費用」で計算できます。
あらかじめ、建築費や付帯工事費がどのくらいかかるか施工会社に見積もりをしておいたり、不動産登記や保険料などの諸費用を調べておいたりすれば、土地購入費用にあてられる金額がわかります。
それを基準にすれば、予算や希望条件に合う土地価格のエリアを、重点的に探せます。
この方法ならば、予算オーバーになるリスクを回避できるでしょう。
納得のいく地域を選んで注文住宅を建てよう
ここまで、注文住宅を建てる地域の住みやすさの条件や、地域を選ぶコツについて解説してきました。
いつか住んでみたいと考えている地域や、家族にとって有意義な地域などの候補地が見つかったら、さまざまな角度から調べて、暮らしに合う土地かを調査しましょう。
しっかり調べて納得のいく地域を選び、理想をかなえる注文住宅を建てましょう。