入っていないと危険!住宅完成保証制度とはどんな制度?

    新しい家を建てている最中に建築会社が倒産したとき、それまで支払ったお金や建築途中の家がどうなるか、想像したことはありますか?

    中断した工事に対して全く保証されなかったらと思うと、怖いですよね。

    これから注文住宅を検討している方に知ってもらいたい「住宅完成保証制度」。

    この記事では、保証制度がどんなことを保証してくれるのかを解説します。

    建築会社が倒産!どうなる?

    家を建てていた建築会社が急に倒産した場合、具体的にはどのようなことが起きるのでしょうか。

    発生しやすいリスクをひとつずつ見ていきましょう。

    お金が戻らない

    もしも建築会社が倒産してしまった場合、それまでに支払ったお金がすべて戻ることはないでしょう。

    建売住宅を購入した場合、未完成の建物に対して金融機関や保険会社が一定の金額を保証する措置が取られています。

    しかし、注文住宅の場合は保証措置が取られず、支払ったお金を取り戻すことは難しくなります。

    着手金を払っていて未着工のままという状況も起こりえます。

    引き継いでくれる会社が見つからない

    建て主が引き継ぐ会社を見つけることは容易ではありません。

    建築会社によって建築プランや工法が違うため、建築工程や使用した材料、当初のデザインを再現する技術を把握するだけでも大きな時間と労力がかかります。

    独自性が強いデザインの場合、工法などの見直しを迫られることもあるでしょう。

    割増料金がかかる

    建築を引き継ぐ会社が見つかったとしても、工事の時間と労力が大幅に増え、予定していた住宅価格よりも多くかかる可能性が高いでしょう。

    それまで作業していた職人や協力会社もいないので引き継ぎがスムーズにいかず、工費・材料費が余計にかかることも予想されます。

    住宅完成保証制度ってなに?

    住宅完成保証制度とは、建築会社の倒産などの事情により建築が行われなくなった場合、完成前の住宅に対する建て主の負担を最小限にするための保証制度です。

    原則として、

    • 請負金額が3,600万円までの注文住宅
    • 集合住宅(アパートなど)
    • 店舗併用住宅(住居専有部分面積が延床面積の2分の1以上)

    が対象です。

    住宅建築は契約から完成まで時間がかかるため、景気変動や自然災害など、工事期間中に予期せぬことが起きるかもしれません。

    安心のために、条件が合えば住宅完成保証制度を利用するのがおすすめです。

    保証のタイプは2つ

    保証制度は、「保険タイプ」と「エスクロー(第三者預託)タイプ」から選択します。

    保険タイプ

    引き継いだ追加料金の損失に対して一定金額を補償してくれるタイプです。保証会社によっては着手金の損失分も保証してくれる場合があります。ただし保証会社によっては、「保証額は工事請負額の20%」など限度額に差があるので注意しましょう。

    エスクロー(第三者預託)タイプ

    保証会社にはじめから建築資金を預けておくタイプです。保証会社が出来高に応じて工事関係者に直接報酬を支払うため、建築会社が倒産しても職人や協力会社は影響を受けにくく、工事を継続できる仕組みとなっています。引き継ぎする建築会社への移行もスムーズに行えるため、損失を抑えることができます。

    保証内容は会社によって異なる

    保証会社は登録事業者の中から引き継ぎ可能な建築会社を斡旋し、工事継続のための請負金額を建て主の追加費用(損失分)として一定額を保証します。

    保証会社によって保険タイプとエスクロータイプの内容や、保証される上限金額が異なります。

    保証内容について、どのような条件が提示されているかを確認しましょう。

    建築会社が倒産しないと保証されない

    倒産には2種類あり、破産して完全倒産する会社と、会社更生法を受けて再建を目指す会社があります。

    住宅完成保証制度を適用できるのは前者のみで、事業を精算した会社に対してです。

    建築途中の住宅は基本的に建築会社の所有となるため、建築会社と建て主が完全に契約解除をする必要があるからです。

    会社更生法を受けて再建を目指す会社は、契約解除をせず建築を続ける場合や、管財人の判断で請負契約をすべて解除する場合もあり、状況によって異なるので注意が必要です。

    保証制度に登録する会社とは?

    住宅完成保証制度はすべての建築会社に対応しているわけではなく、審査を通過した会社を登録しています。

    具体的には、どのような審査基準を採用しているのでしょうか。

    厳しい審査基準をクリアしている

    住宅完成保証制度に登録できるのは、

    • 資本金3億円以下
    • 従業員数300人以下の中小企業

    で、過去3年間の決算内容から財務状況など一定水準をクリアした会社です。

    建築実績などの技術的な面や法令に基づく処分歴などを判断材料として、健全な経営をしているかを審査します。

    定期的な審査にもパスしている

    住宅完成保証制度の有効期限は1年間なので、登録事業者は毎年決算内容を審査され、経営状況を確認されます。

    さらに毎年、事業者登録料を納めなくてはなりません。

    この制度に登録すると、中小企業は健全経営が対外的に保証されるので、安心と信頼を得られるという営業効果としてのメリットもあります。

    工事保険に加入している

    保証会社によっては、登録事業者に対して請負工事の各種損害保険への加入を義務付けています。

    これは建て主に対して安全と安心を提供するためです。

    保証制度を利用するには?

    住宅完成保証制度を利用したい場合は、建て主側からのアクションが必要です。

    ここからは制度を利用するための方法を説明します。

    建築会社が登録しているかを確認

    建築会社の住宅完成保証制度への登録は義務化されてはいません。

    登録するには厳しい審査を通過しなければならず、さらに事業者登録料を収めることもあって、建築会社によっては申請を行っていないこともあります。

    建築会社と契約をする前に、住宅完成保証制度の登録事業者かを確認しましょう。

    保証会社によって保証内容や保証上限金額が異なるので、どの保証会社に登録しているかも重要な判断基準です。

    建築会社に申請の依頼

    住宅完成保証制度を利用するためには、個々の建物に適用するための申請が必要です。

    申請できるのは登録事業者である建築会社ですが、責務ではありません。

    そこで、建築会社との契約時に「住宅完成保証制度を使うことはできますか?」と建て主の利用意思を伝えて、申請してもらいましょう。

    建て主の費用負担はない

    保証料金は建築会社が保証会社に支払いますが、建築会社によっては建築費用に含まれる場合があるため、気になる方は確認すると良いでしょう。

    料金は保証会社や保証される範囲によって異なりますが、およそ4〜10万円程度です。

    倒産しそうな会社の見分け方

    これから家を建てたい方は、住宅完成保証制度を利用するにせよ、できれば倒産する会社を避けたいですよね。

    どんな建築会社を選択すれば良いか、注意点を2つ解説します。

    多額の着手金・不自然な支払い請求は赤信号

    多額の着手金を要求する会社は、倒産する可能性があります。

    工費の支払いは3〜4回に分けて支払うのが一般的です。

    • 契約時|契約金:住宅価格の10%
    • 着工時|着手金:住宅価格の30%
    • 上棟時|中間金:住宅価格の30%
    • 完成時|最終金:住宅価格の30%

    このように支払金額には相場があるので、言われるがままに支払わないようにしましょう。

    「着手金を70%支払っていただければ、全体の費用を2割安くします」などという請求は危険なので注意してください。また、支払い回数が多くなったり、不自然な支払い請求は疑わしいでしょう。

    住宅完成保証制度に加入していない

    住宅完成保証制度には登録審査料や事業登録料を支払わなくてはなりませんが、倒産しそうな会社にとっては大きな負担です。

    経営状況が疑わしい場合は、契約前に住宅完成保証制度に加入しているかを確認しましょう。

    「保証制度に加入していない=倒産しそう」というわけではありませんが、契約内容や言動・対応に不自然な点がある場合は、契約の有無を総合的に判断することが大切です。

    住宅完成保証制度は建築会社の状況を見抜く指標のひとつ

    この記事では、住宅完成保証制度の仕組みなどを解説しました。

    2020年頃からの新型コロナウイルスの世界的パンデミックが大きく影響し、建築業界はウッドショックによる木材の高騰や、現場作業員の人材不足に悩まされています。

    安心して家づくりするためには、住宅完成保証制度の登録事業者に住宅建築を依頼するなどして、万が一のリスクに備えましょう。