傾斜地はどう活用する?メリット・デメリットと注意点を紹介

傾斜地に建つ新築のイメージ

    「傾斜地」に家を建てると聞いて、どのようなことを想像しますか?

    「地盤が弱そう」「災害のときが怖い」なんとなくこんなことを想像して購入をためらってしまう方も少なくないのではないでしょうか。

    そこで今回は、傾斜地に家を建てることのメリットやデメリット、注意点などをわかりやすく解説していきます。

    「購入を検討している土地が傾斜地にあるけど大丈夫かな?」と不安に思っているという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

    傾斜地とは

    傾斜地とは、その名の通り傾斜がついている土地のことです。

    斜めになって傾いている土地のことを傾斜地と呼びます。

    山を造成して作った傾斜地は、街並みが綺麗に見えることなどから近年人気が出てきています。

    傾斜地のメリット

    斜めに傾いている傾斜地にネガティブなイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。

    そんな方に向けて、傾斜地に家を建てるメリットを解説します。

    比較的安く土地が手に入る

    傾斜地は、一般的な平地に比べて土地の価格が安い傾向にあります。

    土地の状況によっては擁壁の追加工事や傾斜を平坦にするための工事が必要になる場合もありますが、設計などを工夫することで、住宅購入の総額を抑えられる可能性が高くなります。

    傾斜を活用した家づくりができる

    高低差を活用した家づくりができるのも傾斜地のメリットです。

    傾斜地ならではの眺望を楽しめる家にできます。

    さらに、傾斜地を活かして地下を作ることも。

    平地に家を建てる場合にはわざわざ作らなければならない地下部分が、傾斜地であれば必ずできます。

    KJ

    その地下部分を埋めることもできますが、あえて残してガレージを設けるなどの工夫ができます。

    採光が取りやすい

    傾斜地に家を建てる場合は目の前を遮る建物がないことがほとんどです。

    そのため、太陽の光を室内に取り込みやすくなり、日中は自然採光で明るい家になります。

    隣の家との高さが違うので、風通しの良さも感じられるでしょう。

    外部からの視線が気になりにくい

    傾斜地に家を建てると隣の家との高さが変わることが多く、外からの視線が気になりにくいのもメリットのひとつです。

    道路に面している位置や建物の角度によっては、道路からの視線も気になりにくくなります。

    傾斜地のデメリット

    比較的安く手に入り、傾斜を活用した家づくりができる傾斜地ですが、いくつかのデメリットもあることを頭に入れておきましょう。

    デメリットを把握したうえで、傾斜地に家を建てるかどうか判断しましょう。

    造成工事や基礎工事が高額になる

    傾斜地特有の土地の高低差を埋めるための造成工事や基礎工事などの費用が高額になる可能性がある点は大きなデメリットといえます。

    例えば、高さが2mを超える崖に面した敷地に家を建てようとする場合、崖が崩壊しないようにコンクリートやブロックなどで作られた安全な擁壁を設置する必要があります。

    造成された宅地で販売されている土地の場合はすでに擁壁が作られていることも多いですが、安全な擁壁がない場合には、その工事費用は施主が負担しなければなりません。

    また、傾斜地の地盤が緩い場合にも、地盤改良のための工事が必要になります。

    土地自体は安く購入できたとしても、基礎工事や地盤工事に高額な費用が発生する可能性がある点を把握し、購入前に土地の状態を確認するようにしましょう。

    地震に弱い

    傾斜地では、地盤の盛土がおこなわれている場合も多いもの。

    盛土をおこなうと、地盤の締め固めが弱いケースもあり、地盤を強化するなどの対策をする必要があります。

    特殊な基礎工事をする場合、費用が高額になるだけでなく、実績が少ない工務店やハウスメーカーに依頼すると、適切な耐震性が確保できない可能性も捨てきれません。

    傾斜地に住宅を建てるのであれば、十分な施工実績のある会社を選択しましょう。

    擁壁が倒壊する可能性がある

    コンクリートやブロック、石などを積み上げて作られる擁壁が倒壊する可能性があることを頭に入れておきましょう。

    特に、家を建てようとしている傾斜地にすでに擁壁が作られているような場合には、事前にしっかりと安全性をチェックしておく必要があります。

    大きな亀裂は入っていないか、大きく破損している部分はないかなどに加え、水抜き穴や排水溝などが適切に設置されているかなどを確認しておきましょう。

    雨水が流れてくる可能性がある

    傾斜地の下側に家を建てる場合、大雨や台風などの際に雨水が上から流れ込んでくる可能性があります。

    道路よりも低い位置に土地がある場合、流れ込んできた雨水の逃げ場がなくなってしまうことも。

    床下や床上まで浸水してしまうと、建物が傷み腐食を進行させる原因となってしまいます。

    KJ

    傾斜地の下側に家を建てる場合、大量の雨水が流れ込んできた時の雨水の逃げ場がある土地かどうか、ハウスメーカーや工務店などに相談するようにしましょう。

    傾斜地の住宅を購入する際の注意点

    傾斜地には、魅力的なメリットもいくつかのデメリットもあることを解説してきました。

    次に、実際に傾斜地の土地や住宅を購入する際に注意しておきたいポイントを紹介します。

    崩壊危険区域に指定されていないか

    傾斜地の土地や住宅を購入する前に、必ず確認しておきたいのが「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されているかどうかです。

    急傾斜地崩壊危険区域とは各地方自治体が、がけ崩れにより危害が生じる恐れがあると指定している場所のことです。

    各自治体の役所に行けば、指定区域の地図などを見せてもらえます。

    宅地建物取引業法では、急傾斜地崩壊危険区域内にある土地や建物の売買について規定されており、「急傾斜地法に基づく制限があることを重要項目として説明すること」が義務付けられています。

    購入の際に説明がない場合は、念のため「急傾斜地崩壊危険区域に指定されてないですか?」と確認してみてもいいでしょう。

    宅地造成法が改正されてから造成された土地か

    平成18年9月30日に宅地造成等規制法が改正、施行されました。

    これは、過去に起こった震災などの災害で比較的傾斜がゆるやかな造成の傾斜地で地すべりなどが発生したことを受けたものです。

    この法律の施行前に造成された土地では、災害に対する安全性が不十分な可能性が高いです。

    傾斜地の土地を購入する場合には、必ず宅地造成等規制法が改正されたあとに造成された土地であるか。

    また、改正前に造成された土地であっても、法改正後に何らかの防災に対する措置がされているかなどを所有者や管理者に確認しておきましょう。

    十分な事前調査をおこない傾斜地を購入しよう

    傾斜地は隣家と屋根の高さが違うことで、採光や通風に優れた魅力的な土地です。

    傾斜地ならではの特徴を活かした素敵な家づくりが叶うでしょう。

    一方で、地震や大雨などの災害に比較的弱いこともあり、購入前にその安全性をしっかりと確認する必要があります。

    十分な事前調査をおこなうことによって土地の特徴やデメリットをしっかりと把握したうえで購入するかどうかを決定しましょう。