こだわり抜いた新築の家が完成するのは、誰しも待ち遠しいもの。
しかし「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」出典の紛争処理の傾向と特徴によると、2022年3月31日までに終結した紛争処理事件1,851件のうち戸建て注文住宅が67%を占めています。
つまり、新築のトラブルは他人事ではありません。
今回は、トラブル事例7選を紹介し、それらを回避するポイントを解説します。
家づくりを検討している方は必見です!
新築のトラブル事例7選
トラブルの内容を事前に知っておけば、心構えができるため対処できるかもしれません。
まずは、建築途中に発生しやすいトラブル7選を紹介します。
内装の汚れ・施工ミス・設備不備
トラブルで最も大きな割合を占めるのは、引き渡し時に補修箇所が見つかることです。
以下はその一例です。
設備や建材の詳しい説明がない
建てたいイメージを伝えた後、間取りや施工法など会社独自のオリジナリティを図面に表現してくれる一方、窓や床材等の詳しい説明がないトラブルもあります。
例えば、要望していないのに窓をトリプルガラスにされたり、床材を勝手に無垢材したりなど。
製品としては魅力的ですが高額であるため、見積り時に判明すると施工業者への不信感につながった事例があります。
事前の説明と異なる仕様
引渡し時、図面や打ち合わせで確認したことと仕上がりが違うトラブルもあります。
例えば、引き戸の向きを説明もなく勝手に変えられたという事例。
構造上の問題でそうせざるを得なかった背景が理由ですが、施工主としては依頼と異なる仕様であるのは納得いかないもの。
建築中、多少の設計変更は稀にありますが、通常は施工主の合意がなければ変更できません。
イメージした仕上がりではない
施工ミスがなくても、イメージと仕上がりが異なるトラブルも発生しています。
施工主側は希望や仕上がりイメージの食い違いがないよう何度も伝えたつもりでも、施工業者とイメージの相違が生じてしまうようです。
図面だけ見せられた際は、プロと素人の見方はまったく異なると捉えておきましょう。
思いがけない追加請求
建築中に追加工事請求が発生する場合、トラブルが起きやすくなります。
特に、口頭で追加工事を提案されて事情がわからないまま承諾すると、思いがけない請求額が発生するケースは少なくありません。
例えば、棚の設置や駐車場の屋根の取り付けなどがあります。
施工主は「建材の費用だけ」と考えがちですが、施工業者からすると人件費やその他の経費を上乗せする場合があります。
口頭だけで済ませる追加工事には注意しましょう。
着工や工期遅れ
工事請負契約を締結したにもかかわらず着工が遅れたり、追加工事で工期が延長したりするトラブルもあります。
背景には、施工業者側の発注遅れや打ち合わせを何度重ねても話が進まないなど理由はさまざま。
しかし、天候の影響や災害など予期せぬ事態でない限り、本来はスケジュール通りに工事が進められるもの。
着工や工期遅れが長引くと、仮住まいの計画や現在住んでいる賃貸料が狂う恐れもあるでしょう。
近隣トラブル
着工後に近隣トラブルが起こることもあります。
施工中、業者の車の出入りが頻繁になるため、近隣住民の通行を妨げてしまう恐れがあります。また、以下のトラブルも見逃せません。
新築のトラブルを回避するポイント
上記で紹介した新築のトラブルは、最悪の結果訴訟になりかねません。
しかし、以下で解説する6点をおさえておけばトラブルが回避でき、ご自身を救うことになるでしょう。
信頼できる施工業者を選ぶ
新築トラブルを避けるには、信頼できる施工業者選びが最も重要です。
以下は、信頼に値する施工業者を見極める方法の一例です。
- 実績が豊富である
- 質問時には明確な回答を得られてスムーズなやり取りができる
- 施工主側の依頼に合わせて最善策を提案してくれる
- トラブルが起きた場合の対処法を提示してくれる
担当者とコミュニケーションを密にとる
担当者と信頼関係を築くことで、「イメージ通りではなかった」というトラブルを避けられます。
頭で描いているイメージを伝えるのは意外に困難なもの。
うまく説明しづらい場合は、イメージに近い本を見せたりイラストを用いたりすれば担当者と想いを共有できます。
すると、自社のモデルルームやCGシミュレーションで説明するなどイメージを具現化してくれるので新たな提案を受けることもあるでしょう。
工事内容を細かく反映させた見積書を作成・確認書を熟読する
注文住宅の場合は、内外装・間取り・設備・面積などを自分の想いを詳細に反映させた見積書を作成してもらいましょう。
また、建築請負契約の締結や建築確認申請時は後になってトラブルが起こらないよう、契約の内容を熟読して吟味してください。
どちらも計画段階で施工業者任せだと反映されているか理解しにくいため、最初から積極的に参画してください。
万が一、何か不信感があるならば、必要な書面の提出を求めるなど納得いくまで確認してください。
建築業法第19条では「建設工事の請負契約の当事者は契約の締結に際して一定の事項を書面に記載し、署名または捺印して相互に交付しなければならない」と定めています。
しっかり目を通して契約締結してくださいね。
着工前は近隣に挨拶する
着工前に挨拶すれば、近隣住民とのトラブルを避けられる確率が高まります。
一般的に着工前は施工業者のみが挨拶する傾向です。
しかし、施工主が挨拶することでよい印象を与えられます。
この時点で互いの顔が分かって安心でき、後の住みやすさにもつながるでしょう。
挨拶内容は、簡単な自己紹介と完成予定日だけでもかまいません。
追加工事がある場合は見積りをとる
追加工事が生じたら必ず見積りを取り、工事の必要性を施工業者に聞きましょう。
その上で判断して工事を受け入れてください。
建設中に気になる点が見つかったり新たな要望が増えたりなど、工事の追加や変更が生じるのは珍しくありません。
とはいえ、合意のない追加工事は訴訟になる恐れがあります。
後になって「聞いていなかった…」とならないよう見積書と説明を必ず求めてください。
引渡し時は念入りにチェックし、修繕が完了するまで書類にサインしない
トラブルが発生しやすい引き渡し時は、施工ミス・汚れ・設備の不具合など念入りにチェックしましょう。
また、修繕が完了するまでは「引渡完了確認書」にサインしないでください。
サインしてしまうとその後施工ミスがあっても施工主の責任で対処しなければいけません。
引渡し時に気になるところがあれば申し出て、証拠として写真に残しましょう。
万が一新築時にトラブルが起こった場合の対処法
万が一 トラブルが生じたら「現状を正確に把握する・記録する」ことが重要です。
なぜなら、トラブルは当事者同士で解決するには難しい場合があるからです。
しかし、正確に把握して証拠があればしかるべき機関に相談しやすいため、解決の糸口が見つかりやすくなります。
万が一への対処法には、以下3つの機関に相談することをおすすめします。
引き渡し時に建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、住宅の施工ミスや欠陥の有無を診断してくれるサービスです。
専門家の視点で住宅を判断してくれるため、自分ではわからない施工ミスや不具合を見つけてくれます。
住宅専門の相談窓口であり、国土交通大臣から指定を受けた機関です。
住宅の欠陥やトラブルに関して電話やチャットで相談できます。
地方公共団体が運営している消費者のための行政機関です。
住宅トラブル全般の相談内容に対応しています。
地域によっては、弁護士や各部門の専門アドバイザーが在籍して相談に乗ってくれるセンターもあります。
新築トラブルを避けるためには信頼できる施工業者選びが重要!
こだわり抜いた家が完成するのは楽しみでもありますが、一方でトラブルが起こる危険性も含んでいます。
トラブルを避けるために最も重要なのは、信頼できる施工業者を選び、関係を深め、家づくりに積極的に参画することと理解しておきましょう。