いま、日本だけではなく世界中で「サステナブルな社会」を目指す動きがあり、注目が高まってきています。
社会というとなかなか自分事として捉えにくいこともあるかもしれませんが、社会全体で取り組むことだけではなく、個人の暮らしの中にも「サステナブル」は取り入れることができます。
今回は衣食住の観点でいますぐできるサステナブルな暮らしのアイデアをご紹介します。
目次
サステナブルな暮らしとは?

「サステナブル」とは、英語で表記すると「Sustainable」で「持続可能な」「継続可能な」という意味を持ちます。
サステナブルな暮らしとは、わかりやすく表現すると、「地球の限りある資源を大切にして未来に残していこう」という思いで、環境に優しい丁寧な暮らしといえるでしょう。
具体的な定義はありませんが、今ある資源を当たり前だと思わず、個人としてできることをしていきましょうといった意味です。
近年では、「SDGs」という言葉やロゴを見聞きする機会も増え、意識する人も増えてきたのではないでしょうか。
2030年までの「SDGs」の17の目標とは?
近年よく見聞きするようになって知っている人も増えてきた「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」。
これは、2015年にニューヨーク国連本部において開催された、「国連持続可能な開発サミット」に国連加盟193ヶ国の首脳らが一堂に会し、全会一致で採択された目標です。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」というように訳されています。
このSDGsでは環境問題をはじめ、貧困、質の高い教育、経済成長、ジェンダーなどの17の事柄を課題として掲げており、2030年までに達成することを目指しているのです。
江戸時代に学ぶべき?
サステナブルやSDGsと聞くと難しく感じてしまって、生活の中で具体的に何ができるのかピンとこないかもしれません。
しかし、サステナブルな暮らしのヒントが実は江戸時代にありました。
ものが少なく貴重だったため、何度も修理して繰り返し使うというのが当たり前の時代でした。
「傘の古骨買い」や「鋳掛屋」といった職業もあり、傘や金属製品が壊れても修理してまた売りに出したり、何度も同じものを使ったりしていたのです。
今は壊れたらすぐに捨ててしまうようなものでも、大切に扱っていました。
「衣」から実践するサステナブルな暮らし

さっそくサステナブルな暮らしを目指す上で、身近なことでできることからやってみましょう。
まず、衣食住の「衣」。つまり、生活するのに必要な衣服のことです。
持っている服が多く、実は着ていないものがクローゼットにたくさん眠ったままという方も多いのではないでしょうか。
サステナブルな暮らしは、衣服でもアクションを起こすことができます。
4つの実践法をご紹介します。
使わないアイテムはリサイクルにする

クローゼットや収納ケースなどに、どのくらいの服が入っていますか。
もし持っている服の中で、着ていない、もう使わないアイテムがあれば捨てるのではなくリサイクルしましょう。
どれだけお気に入りの服でも、もう着ないものは次に着てくれる人に渡るように手放しましょう。
捨てるのではなく、手放すのです。
身近な人にあげたり、リサイクルショップやセカンドハンドショップに売りに行ったりするのが面倒な場合は、郵送可能なサービスやフリマアプリなどを利用するのもおすすめです。
買い物をする時に「長持ち」というポイントで選ぶ
ショッピングに行くとき、どのようなことを重視して購入しますか。価格や品質、ブランドなど、それぞれ選ぶポイントがあるでしょう。
サステナブルという観点でいうと、「長持ちするか」という視点で選ぶことができます。
例えば、価格が高くても、金継ぎして何度も使えそうな器とか、耐久性や耐水性の高い木の家具とか。
もし今までそのような観点で買い物をしていなかったら、手に取るときに少し意識することから始めてみるのもいいかもしれません。
生活用品はオーガニックで環境に優しい素材の商品を選ぶ

環境に優しいと言われているオーガニック素材を選ぶというのも今すぐできることのひとつ。
例えば、よく聞くオーガニックコットン素材の服を選んだり、オーガニック素材へ転換を進めているブランドを選んだりすることができます。
オーガニックコットンは、従来のコットンと何が違うのか。
それは、生産するのに使用する水の量が圧倒的に異なるのだそう。温室効果ガスの排出量が少ないというデータもあるようです。
しかし、現状オーガニックコットンの生産はコットン全体のうちの1%にも満たないので、生産を増やす上での課題があるのも事実。
そういう点も含めて、まずその事実を知り、オーガニック素材に注力するブランドを知って選ぶことから始めるのもいいかもしれません。
直せる物は直して再利用する
先ほど江戸時代の文化でもご紹介したように、ものを大切にして、直せる物は何度も直して使い続けることも、意識したいポイントのひとつです。
例えば、靴底がすり減ってしまったら、補強や靴底張り替えの修理をしてもらったり、服に小さな穴が空いたら、縫って部屋着にしたりなど、できることはたくさんあります。
購入するときに、長持ちする本当に大切にしたいものを選び、何度も修理して使い続けることで再利用する習慣が生まれてくるでしょう。
「食」から実践するサステナブルな暮らし

次に毎日の生活に関わる「食」。
近年、フードロスの問題もよく耳にしますよね。フードロスとは食品ロスとも呼ばれ、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
途上国などでは食糧不足による飢餓が長年問題になっている一方で、日本をはじめとする先進国などではフードロスの問題が深刻化しているのです。
約8億人以上が飢えに苦しんでいる一方で、世界では年間13億トンあまりの食品が廃棄されています。
日本での食品廃棄物は年間2,842万トン、そのうちフードロスが612万トン(農林水産省及び環境省「平成29年度推計」)もあり、とてももったいない事態になっています。
今回は食に関わるサステナブルな暮らしのポイントを4つご紹介します。
スーパーへの買い物はエコバッグを持参

2020年7月よりプラスチック製買い物袋が有料化され、最近はエコバックを持つ人が増えてきていますね。
スーパーなどへ買い物に行く際は、必ずエコバックを持参してプラスチック製買い物袋をもらわないのはもちろん、リサイクル素材でできたエコバックを選ぶのもいいかもしれません。
買い物で忘れてしまいがちなのが、コンビニ。
ちょっとした買い物だとエコバックを持っていくのを忘れてしまいがちですが、常に持ち運びやすいデザインや大きさを選ぶのもひとつのポイントです。

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食材は地元の旬の物にする

地元の旬の食材を使った料理や地産地消もサステナブルな暮らしのひとつ。
どうしてこれらがサステナブルになるのか理由はわかりますか。
それは日本の四季や輸送に関係しています。
ある一定の食材を年中通して食べようと思うと、ハウス栽培など様々なエネルギーが必要になります。
また地域のものや国内のもの以外のものを手に入れようと思うと、輸送や輸入エネルギーがかかるのです。
あまり神経質になる必要はありませんが、そういった側面があることを知り、地元の旬の食材を選ぶことで新たな発見もあるかもしれませんね。
もったいない買い溜めを避ける
フードロスにも繋がる買い溜め。
一度にたくさんの食材を買ってストックしておくと、結局何が家にあるのかわからず、いつの間にか賞味期限や消費期限が過ぎて廃棄することになってしまいかねません。
冷蔵庫は何が入っているかを見えるように整理整頓し、必要なものを必要な分だけ買うように心がけましょう。
マイボトルやマイ箸を持参する

外出や外食するときにもできることがあります。
マイボトルやマイ箸を持っていくことです。
マイボトルを持参することで、ペットボトル飲料やコーヒーショップでのプラスチックや紙コップを利用せずに済みます。
また、マイ箸を持参することで飲食店やコンビニなどでの割り箸の利用を減らすことができますね。
「住」から実践するサステナブルな暮らし

最後に「住」環境における、サステナブルな暮らしのポイントを4つご紹介します。
もしこれから家を建てようと計画している方は特に、意識して取り入れてみるといいかもしれません。
マイホーム購入は人生においても非常に大きな買い物。
せっかく手に入れたマイホームに長く安心して暮らすためのヒントにもなるかもしれませんよ。
可変性のある間取りや建て方を意識しながら家を建てる

サステナブルな住宅において重視されることとして、シンプルで可変性のある家を建てることが挙げられます。
家族構成の変化や生活スタイルの変化に応じて、間取りを変えやすくしたデザインにすることで、子どもの世代も長く暮らしていけるような家にすることができます。
具体的には、障子や襖を季節に応じて取り外しできるようにするなど。
近年サステナブル住宅の考え方が広まってきつつあるので、家を建てる計画時に設計士やメーカーに相談してみるといいでしょう。
長く住み続けるためにも丈夫な構造は大事
デザインや間取りだけではなく、家を建てる上で重要なのが構造や性能です。
構造がしっかりとしていないと、自然災害など様々なリスクによって、安全が脅かされてしまいます。
長年暮らしていくためにも、また増改築やリフォームをする可能性も踏まえ、骨組みがしっかりとした丈夫な構造や適した材質を選ぶことが大切です。
快適で暮らしやすいという点も重要なので、断熱や遮熱などの様々な性能も加味して選ぶようにしましょう。
創エネ・省エネのエコな設備を取り入れる

先ほど性能も重要という話はしましたが、具体的にはどのようなことができるのでしょうか。
ポイントは創エネと省エネです。
屋根や外壁の断熱性を考えたり、ドアやガラスなどを断熱性のドアや二重ガラスにすることで、電力を使う量を減らし省エネな暮らしをすることができます。
一方、創エネは太陽光発電にして、その電力を暮らしに取り入れたり、電気自動車を利用したりすることで、自然エネルギーを活用する創エネができます。
省エネを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することによって、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標とした「ZEH住宅(Net Zero Energy House)」を選ぶのも一つの手です。
環境に優しい建材を使う
家を建てるときだけではなく、遠い未来に解体するときのことも考えておきましょう。
再利用ができる建材を選んだり、建材も環境に優しいものを選ぶのも住環境でできる一つのアクションです。
先ほどの性能や構造を踏まえて、あなたが住む環境にとってどんな建材が選択できるのか、詳細は設計や検討の段階で相談してみましょう。
ほかにも、廃棄処分される衣類を回収して「サスティナブルボード」を作るという動きも出てきています。そのような素材を使用した家具を選ぶのもいいかもしれませんね。
シンプルな生活!サステナブルライフを始めてみませんか?

衣食住の3つの観点から、それぞれ4つのサステナブルな暮らしのヒントをご紹介しました。
ご紹介したのはあくまでひとつで、これが全て正解というものでもありません。
今回ご紹介したサステナブルの意味、そして私たちの今の生活や未来の環境への影響を考えて、アクションを起こしてみることが大切なのかもしれません。
1つでもできそうなことがあれば取り入れて、あなたもサステナブルな暮らしを始めてみませんか。
このように、修理やリサイクルをして「ものを大切に扱う」という点で、江戸時代に学ぶことは多いのではないでしょうか。