OW124で暮らしに自然を取り入れる|空間に馴染むシンプルなデザインが魅力

    鳥のクチバシや目のようなフォルムをあしらったビークチェア「OW124」は、作品に彫刻的なデザインを盛り込むことに長けたオーレ・ヴァンシャーが手がけたアームチェア。

    シンプルながらも至る所で自然を感じられるOW124は、長い年月使用しても飽きの来ないタイムレスなデザインが魅力です。

    今回は、クリエイティブかつ使いやすいデザインで世界中から愛されるOW124について紹介します。

    OW124とは?

    「OW124」とは、コペンハーゲン家具職人ギルド展で1951年に発表された独創的なアームチェアです。

    ビーク(鳥のクチバシ)のように見えるアームにより、「ビークチェア」とも呼ばれています。

    デザインを手がけたのは、家具に彫刻的な要素をうまく組み込むデザイナー「オーレ・ヴァンシャー」。

    彼は多岐に渡る分野でその才能を発揮していますが、残念ながらその多くが市場に出回っていません。

    そこでヴァンシャーのデザインを世に広げるために動き出したのが、北欧を代表する家具メーカー「カール・ハンセン&サン」です。

    同社は「この作品をきっかけに、ヴァンシャーの才能あふれる家具たちをもっと多くの人に知ってもらいたい」と考えました。

    そんなOW124は、シンプルながらもユニークなデザインが魅力的。

    コーディネートによっては主役にも引き立て役にもなり、使い道が広い家具といえるでしょう。

    見た目も楽しいユニークなフォルム

    OW124の最大の特徴は、どの角度から見ても楽しいユニークなフォルムです。

    腰を掛ければ後方に沈み込むような緩やかな傾斜がつけられており、リラックスした空間にもよく馴染みます。

    また座面の傾斜に合わせて、クチバシに似たアバンギャルドなアームも傾いているため、体と同じように腕もゆったりくつろげる点が魅力です。

    そしてフレームから突き出すようなアームの意匠を作り出すためには、熟練した職人の技術が必要不可欠。

    優れた職人だからこそ作れるOW124はまさに彫刻といえるでしょう。

    「鳥の目」を木のボタンで表現した遊び心

    OW124のアーム部分

    クチバシのようなアームがポイントのOW124ですが、そのほかにも遊び心を取り入れたヴァンシャー。

    フレームから突き出したアームのコーナーには、フレームよりも少し濃い色合いをした木製のボタンを用いて「鳥の目」を表現しました。

    これにより、さらに鳥を連想させる椅子となったビークチェア。

    自然に寄り添ったナチュラルな空間を作りたい場合に適した椅子といえるでしょう。

    木材×レザーで高級感のある佇まい

    OW124のスタンダードな素材は、クールでスタイリッシュな雰囲気を醸し出せるレザーです。

    フレームにはオーク材やウォルナット材といった、美しい木目が際立つ素材が使われており、木材×レザーで目を引く高級感が魅力といえます。

    また、落ち着きのある印象を与えるファブリック素材のOW124も存在します。

    レザーよりも若干柔らかい座り心地で設置する場所を選びません。カラーも豊富で幅広い空間によく馴染むでしょう。

    サステナブルな素材を用いたチェア

    現代にふさわしいサステナブルな素材を使ったチェアとしても有名なOW124。

    前述のとおり椅子のフレームには天然木が使われているほか、アームの留め具には木製のボタン、張地には天然レザーなどが用いられています。

    ユニークで美しいプロポーションを実現させたり、機能性を高めたりするだけではなく、環境への配慮も怠らなかったヴァンシャー。

    それが彼のポリシーでした。そして流行に囚われないタイムレスなデザインは、まさに洗練された空間を作り出すために必要な1脚といえるでしょう。

    ヴァンシャーの代表作「コロニアルチェア」に通ずるOW124

    コロニアルチェア

    OW124よりもあとに発表された、ヴァンシャーの代表作としても名高い「コロニアルチェア」。

    ビークチェアとよく似ていますが、コロニアルチェアのほうがよりクラシックモダンな雰囲気を感じ取れます。

    OW124の魅力は圧倒的なシンプルさです。アームと一体化したフレーム、座面や背もたれといった最低限のパーツや装飾のみ。

    一方でコロニアルチェアはOW124よりもフレームが複雑化しており、至る所に天然木の直線的なデザインが見受けられます。

    そのため空間をシンプルかつナチュラルに飾りたい場合にはビークチェア、エレガントでモダンな雰囲気を楽しみたい場合にはコロニアルチェアを選んでみてください。

    OW124の導入事例を紹介

    最後にOW124を使った空間のコーディネート事例を紹介します。

    OW124で洗練された部屋を堪能したい人はぜひ参考にしてください。

    コーヒーテーブルを複数のOW124で囲む

    OW124のある空間

    広さに余裕のあるリビングには、コーヒーテーブルを複数のOW124で囲ってみましょう。

    床から座面までの高さが約40cmと低いOW124は、コーヒーテーブルのような小ぶりの家具とマッチします。

    このとき、OW124のカラーや素材を統一すればまとまりのある空間が作れるでしょう。

    反対に異なるカラーや素材を用いたOW124同士を組み合わせれば、美術館のような独創性を楽しめます。

    眺望の良い窓の側にスタンディングライトを添えて配置する

    OW124のある空間

    美しい山や川、整えられた中庭などを堪能できる眺望性の良い窓がある家庭の場合には、窓の近くにOW124を配置してみてください。

    座面が緩やかな傾斜になっていて、ゆったりと背もたれに寄りかかれるOW124はリラックス空間にピッタリのチェアです。

    夜には読書ができるようにビークチェアの隣には、シンプルなスタンディングライトを添えてもよいでしょう。

    ローテーブルと組み合わせたカフェ空間

    背の低いOW124は、同じく床に近いローテーブルとも相性抜群です。

    まるでおしゃれなカフェのような空間を楽しめるでしょう。

    またカフェやホテルのロビーで活用する商業用の家具としてもおすすめです。

    シンプルながらも座り心地の良いOW124で、何度でも訪れたくなる空間を実現できます。

    彫刻的なOW124でアーティスティックな空間を作ろう

    今回は、彫刻的なデザインを取り入れて家具作りを行うデザイナー、オーレ・ヴァンシャーが手がけたOW124を紹介しました。

    基本構造のフレームから突き出したようなクチバシや鳥の目を表現した木のボタンは、素材以外からも自然を感じられる要素です。

    シンプルかつナチュラルなアームチェアで毎日の暮らしによく馴染むOW124を、日常的に使用する椅子としてぜひ導入してみてください。