タイニーハウスとは、最低限の設備を備えた極小スペースの家のことです。
風変わりな見た目とミニマムな居住スペースが特徴的ですが、実際に住む場合はどのようなポイントに気を付けるべきなのでしょうか。
今回はタイニーハウスを特徴や種類、住むときの注意点、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。
目次
タイニーハウスとは?
タイニーハウスの名前の由来は、英語のタイニー(tiny:ちっぽけな、とても小さい)という単語にあります。
明確な定義はありませんが、通常の住宅よりもかなり小さな家という意味があります。
4〜7畳くらいのスペースで、最低限の生活インフラ(シャワー・トイレ・キッチンなど)を備えており、本体価格が1,000万円以下のものをタイニーハウスと定義する場合もあります。
施工予算は規模や設備によっても異なりますが、最小限の設備を備えたもので80〜100万円程度、ハイクラスのモデルだと800万円程度のものが主流となっています。
始まりはアメリカ
タイニーハウスという考え方はアメリカから広まりました。
全てが揃った邸宅に住むことが最高の幸せという価値観が根付くアメリカにおいて、一人の建築家が「そもそも幸せと家の大きさは関係あるのか」という疑問を提議。
ハリケーンによる自然災害や、サブプライムローン問題で多くの人が家を失ったこともあり、家や暮らしに対する考えを見つめ直す機会が増えていきました。
そして徐々に、生活コストを抑え、少ない物だけで暮らすミニマムな生活スタイルが浸透。
時代に合った居住スタイルが、タイニーハウスを生み出したのです。
広大な土地と自然、自由なライフスタイルが尊重されるアメリカらしい考え方といえるでしょう。
狭小住宅との違いって?
日本には狭小住宅という言葉がありますが、タイニーハウスとの違いはどこにあるのでしょうか。
狭小住宅とは、狭い土地に建てられた家のことを指します。
対するタイニーハウスは土地に関する制約がなく、比較的広い場所に建てられるのが一般的。
また、通常の住宅とは異なり、移動可能なタイプも存在します。
戸建てが中心となる狭小住宅では、2階建や地下室の建築など、縦に長い間取りが多いですが、タイニーハウスは基本的に全て平家の間取りになります。
タイニーハウスのメリット
タイニーハウスのメリットは、通常の住宅と比べて施工コストが安く済むことです。
必要最低限の設備を備えているので値段が上がりづらく、少ない物だけで身軽に生活することができます。
カスタマイズの自由度が高いので、こだわりを好き放題に詰め込めるのも魅力!
移動や施工の手間も少ないため、自然の近くに拠点を構えることも可能です。
趣味に没頭できる環境を作れるので、独身やミニマリストにはぴったりの家と言えるでしょう。
タイニーハウスのデメリット
タイニーハウスのデメリットは、居住空間としての不便さです。
設備や快適性を犠牲にコストダウンしているため、ガス・水道・電気などの生活インフラが貧弱になりがち。
場合によってはトイレやシャワーなどを設置できないこともあります。
狭いため来客などを招きづらく、複数人で住むには不向き。
ほぼ全てがワンルームかつ平家タイプなので、防犯にも不安が残ります。
建てる前に考えておくべきこと&注意点
タイニーハウスを建てる前に注意したいことは、将来的なライフプランと法律関係の知識です。
家族で住むにはかなり不便な居住空間なので、同棲・結婚・出産については特に真剣に考える必要があります。
決して一人だけのわがままで決めず、大切な人と話し合った上で検討するべきです。
また、移動可能なタイニーハウスの場合は、固定資産税や住民票などの扱いが通常の住宅とは異なります。
建築するときは建築基準法や耐震性能、地盤調査などが必要になる場合もあるので、施工費用や法律周りの知識を十分に勉強してから検討するのがベストです。
タイニーハウスの種類と特徴を紹介
一口にタイニーハウスと言っても、その種類は多種多様です。
ここからは、国内で主流となっているタイニーハウスの種類と、それぞれのタイプの特徴・魅力を紹介していきます。
スモールハウス
スモールハウスは、タイニーハウスの中でも最も基本的な住宅タイプの一つです。
通常の物件と同じく基礎や土台を作り、その上に極小間取りの家を建築します。
カスタマイズ性が高いため、サーフィンやキャンプなど、趣味を活かしたライフスタイルにはぴったりの生活空間と言えるでしょう。
必要最低限の生活インフラを備えたモデルが多いため、本格的な居住スペースとしては活用しにくいのがデメリットです。
トレーラーハウス
トレーラーハウスとは、車で牽引可能な家のこと。
シャーシと呼ばれるタイヤのついた土台の上に居住可能なスペースが乗り掛かっています。
車両扱いなので固定資産税がかからず、ミニマムかつ土地に縛られないライフスタイルを実現できるのがメリット。
最大の特徴は、牽引することで国内のどこにでも移動可能なこと。
森・海・川の近くなど、アウトドアやキャンプ主体の生活をする人に愛用されているのが特徴です。
キャンピングカー
キャンピングカーは、車と居住スペースを合体させたハイブリットな家です。
車と一体になっているので居住スペースは少なくなりがちですが、そのぶん移動しやすく小回りが効くタイプのタイニーハウスです。
車種によってお部屋のスタイルやコンセプト、カスタマイズの自由度が大きく変わるのが特徴。
スペースが限られているのでシャワーやトイレは設置しにくいですが、最小限のスペースと装備で旅をしたい人にはぴったりです。
コンテナハウス
コンテナハウスとは、輸送用のコンテナから着想を得たデザイン性の高い住居です。
頑丈かつコストも安いため、通常よりも簡単におしゃれな住居が手に入るのがメリット。
インテリアやカスタマイズの自由度が高いので、一見するとコンテナに見えないスタイリッシュな見た目の家に仕上げることも可能です。
機密性や断熱性が低く、耐用年数が少なめなのはデメリットですが、一風変わった居住空間に憧れている人にはおすすめです。
タイニーハウスを建てるならどんなメーカーがある?
実際に国内でタイニーハウスに住みたい場合は、どのようなメーカーに相談すれば良いのでしょうか。
今回は国内でも有名なタイニーハウスのブランドと人気商品を厳選して紹介します。
無印良品の「無印良品の小屋」
シンプルで質の良い商品を手掛ける「無印良品」が展開するタイニーハウスは、わずか6畳スペースのミニマムな小屋。
シャワー・トイレ・キッチンがなく、必要最低限の生活スペースのみを備えた居住空間です。
そのぶん導入コストが安く、どんな環境にでも対応できる汎用性の高さが魅力!
書斎や趣味の部屋として建築する人が多く、最近では二拠点生活用のセカンドハウスとしても注目されている人気商品です。
snow peakの「住箱」
国内で根強いファンを獲得しているアウトドアブランド「snow peak」が展開する「住箱」は、シンプルな見た目の木製のトレーラーハウスです。
自分のこだわりを100%追求できるようにあえて素朴な素材を使い、ミニマムな見た目にする作り手のこだわりを感じます。
日本各地のキャンプ地を旅するのも良いし、店舗兼自宅として活用するのもあり。
汎用性とデザインを両立したスタイリッシュなタイニーハウスです。
BESSの「IMAGO」
BESSが展開する「IMAGO(イマーゴ)」は、商業用店舗・ワークスペースなどに向いた実用型ログハウスです。
様々な魅力が詰まった10平米の空間は、活動スタイルによって自由自在にカスタマイズが可能。
基礎工事以外は自分たちで組み立てを行うため、施工費用もかなり安く済むのも嬉しいポイント。
店舗利用を想定しているので居住はしにくいですが、ショップ・カフェ・ギャラリー・ワークスペースなど、多彩な用途に活用できるのが強みです。
casa cago
「casa cago」は、組み合わせる家をコンセプトに作られた設計自由度の高いスモールハウスです。
従来の建築で無駄になりがちな要素を無くすべく、1カーゴ=6畳のスペースを組み合わせて間取りを構築する設計方法をとっているのが特徴です。
ミニマムな空間を繋げるだけなので、簡単かつ直感的に理想の家を構築することが可能。
シンプルな構造なのでメンテナンスしやすく、耐震性も高い。
自分の生活にフィットしたライフスタイルを好きに作れるのが魅力です。
タイニーハウスという新しい生活スタイル
この記事では、タイニーハウスの基本的な知識や、種類・特徴・魅力について解説しました。
タイニーハウスは、居住という概念を根本から変えるほどのパワーを秘めた新しい生活スタイルです。
多様な価値観が尊重される今の日本では、今後ますますシェアが広がっていくことでしょう。
自分が好きなことを追求するための箱庭が欲しい人は、タイニーハウスの建築を検討してみるのも良さそうですね。