車やバイク好きの方は、ビルトインガレージに一度は憧れを抱いたことがあるのではないでしょうか。
ビルトインガレージがあれば、雨風にさらされず駐車できるだけでなく、大好きな車やバイクをメンテナンスする趣味部屋にもなります。
ビルトインガレージを設置するとどんなメリットがあるのか、そしてデメリットや注意すべきことは何かというのは気になるところ。
今回は、ビルトインガレージ設置を検討するなら知っておきたいポイントをご紹介します。
ビルトインガレージとは?
外国の映画やおしゃれな住宅紹介のテレビ番組で見ることも多いビルトインガレージ。
ビルトインガレージとは、”建物の中に車を駐車できるようにして、シャッターやドアを設置して1つの部屋のようにしたクローズド空間”のこと。
一階スペースもしくはその一部を駐車スペースにしたガレージを指し、インナーガレージとも呼ばれています。
後付けは可能?
一軒家に住んでいて、新たにビルトインガレージを増設したいと考えている方もいるかもしれません。後付けすることは可能なのでしょうか。
結論からお伝えすると、”後付けすることは可能”です。
ただし、注意すべき点があります。
それは、
✓建ぺい率・容積率の問題
✓建築基準法・民法上の問題
✓防火指定地域内における構造問題
などの法律的なところにあります。
建築基準法・民法上の問題は、外壁は隣との境界線をどのくらい離す必要があるかという点です。
建築基準法上のいくつかの外壁後退距離規制と、民法にある第234条(境界線付近の建築の制限)とで基準がわからず混乱したり、お隣さんと揉めるケースもあるようです。
法律上の問題だけでなく、近所付き合いにも関わるので、ビルトインガレージを設置する際にしっかり確認しましょう。
防火指定地域内における構造問題3.3.
防火指定地域内における構造問題は、ビルトインガレージの外壁に関わってきます。
防火地域と準防火地域の場合、外壁は防火性能を備える必要があります。このように、いずれの問題も設置前にしっかり設計士に確認し、各自治体の規則も含め確認する必要があります。
これらはあくまで注意ポイントの一部なので、実際に後付けする時には設計士に確認するようにしましょう。
ビルトインガレージのメリット
設置条件などは設計士に確認して進めることができますが、使い勝手など具体的なビルトインガレージのメリットやデメリットは想像しづらいかもしれません。
ビルトインガレージを採用することで、どのような良いことがあるのでしょうか。
通常のガレージと比べて便利な点も多くあります。
ここからは、ビルトインガレージのメリットを6つご紹介するので、ぜひ使用イメージを膨らませてみてください。
秘密基地のような車の趣味部屋に
まず、なんと言っても、ビルトインガレージというクローズド空間だからこそ叶うのが「趣味部屋」です。
シャッターやドアで空間が区切られるので、室内の部屋という感覚で、趣味のものを置いたり、飾ったりすることができます。
車やバイクはもちろんですが、ロードバイクやサーフボード、などのアウトドアグッズ置き場にするのもいいですね。壁にウォールクライミングを作った例もあります。
一人はもちろん、夫婦やお子さんと遊ぶ空間にするのもいいかもしれません。
盗難や雨・風から車を守れる
普段からこまめに大事な愛車をメンテナンスしていても、自然現象には敵いません。
外に駐車している場合、雨が降れば雨水の跡や汚れが残ります。
また、風にさらされることで、土埃や黄砂、花粉などが積もって汚れたり、日差しで塗装が日焼けすることもあります。洗車したところなのに、すぐに汚れているという経験をした人も多いのではないでしょうか?
自然現象以外にも、盗難や傷を付けられるリスクもあります。
このような点を踏まえると、ビルトインガレージは家の一部で室内なので、そういったリスクを避けることができるのです。
乗降や荷物を運ぶ負担が軽減できる
車を持っている方の中には、普段から頻繁に使うという方もいれば、たまにしか使わないという方もいるでしょう。
通勤や送り迎え、買い物などの日常使いから、キャンプやドライブなどの週末使いなど、用途も様々だと思います。
頻度や用途に関わらず、できれば家で支度をしたらすぐに車に乗って、お出かけしたいですよね。
また、買い物やキャンプなどに出かけて帰ってきた時、何度も往復して重い荷物を持ち運ぶのはできれば避けたいところ。
そういった点でもビルトインガレージはとても便利です。
室内に直結していることで、乗降や荷物の出し入れがとても楽になりますよ。ご年配で足腰の弱いご家族がいる場合でも、負担を減らしてあげることができるでしょう。
庭のスペースを犠牲にせず駐車問題を解決
一軒家の場合、敷地内の庭に駐車するという選択肢もあるでしょう。
しかし、その場合せっかくの庭としてのスペースが狭くなってしまいます。ガーデニングを楽しみたい人にとっては、景観にも影響します。お子さんがいる場合は、せっかくの遊ぶスペースが狭くなり、駐車時のリスクもあるでしょう。
そのような点でも、ビルトインガレージは庭のスペースを気にせず駐車することができます。
駐車場を借りるより安い場合がある
敷地内に駐車できず、駐車場を借りているという方もいるでしょう。
その場合、金銭的な影響も大きいかもしれません。
駐車場を借りる場合、住んでいる地域にもよりますが、月約1万円以上の駐車代がかかってきます。
何年間その場所で暮らし、車を所有するかにもよって異なりますが、ずっと駐車代を払うよりも、ビルトインガレージを設置した方が安い場合もあります。
設置費用だけで考えるのではなく、長期的なコスト面も考慮して検討してみましょう。
固定資産税が安くなる
金銭面のメリットは、駐車代だけではありません。忘れてはいけないのが「税金」です。
ビルトインガレージは、”住宅の延べ床面積の5分の1未満であれば床面積に含まない”という緩和措置があります。
つまり、駐車スペースをビルトインガレージとして設置した方が床面積は小さくなるため、固定資産税が安くなるというわけです。
これは嬉しいメリットですね。
ただし、シャッターの設備内容によっては、課税対象になることもあるので、詳しくは設計士さんに確認しましょう。
ビルトインガレージのデメリット
防犯面や金銭面なども含めて、メリットの多いビルトインガレージ ですが、デメリットはあるのでしょうか?
設置してから後悔しないためにも、ビルトインガレージを設置するにあたって、デメリットになり得ることを4つご紹介します。
費用が高い
デメリットの一つとして挙げられるのが費用の問題です。
憧れのビルトインガレージということもあり、あれこれと設備を増やしているうちに、予算を超えてしまうということも少なくありません。
予算を決めたら、どんな設備が必須なのかを洗い出し、見積もりも1社だけではなく、複数もらって比較するようにしましょう。
建物構造のバランスが重要!
強度が弱くなる可能性がある
ビルトインガレージを設置するときに、忘れてはならないのが強度の問題です。
大事なマイホームに長く安全に暮らすためにも、必ず確認したいポイントのひとつ。
ビルトインガレージは開口部が広いという構造上、強度が落ちて耐震性能が劣ります。地震の揺れや倒壊の危険性をできる限り低くするためにも、強度を補強する設計にするのがおすすめです。
また、SE構法であれば、耐震性能を維持しつつ大空間を作ることが可能になります。デザインの自由度が高いビルドインガレージを建築できるので、興味がある人はぜひチェックしてみてください。
家全体の間取りの自由度が下がる
ビルトインガレージは住宅の1階部分にスペースを取るため、どうしても家全体の間取りの自由度が下がってしまうことがあります。
何階建ての家にするかによっても、居住空間への影響は様々ですが、一番影響があると共通して言えることは玄関と階段の自由度が下がってしまうこと。1階部分でビルトインガレージの場所が決まると、自動的に玄関や階段の場所は決まってきます。
このように玄関や階段を含めた間取りにこだわりたいという方にとっては、少し選択肢を狭めてしまうかもしれません。
幅を広く取る必要がある
駐車することを踏まえると、少なくとも車1台を駐めるのに必要な幅をとることになります。
そして、多くの場合、ただ駐車するだけではなく、趣味の部屋として作業したり、飾ったりすることを想定するため、広く幅を取る必要性があります。
使いやすさを考えると、1階のスペースを広く使うことに抵抗を感じる人がいるかもしれません。
SE構法では、在来工法では実現できない通常9mまでのスパンを可能にし、最大3台の駐車スペースを作ることが可能です。
ビルトインガレージを建てるときに注意するポイント
メリットとデメリットをしっかり把握したうえで、ビルトインガレージを設置しようと決断したら、次に押さえておきたいのは設計時の注意点です。
初めてビルトインガレージを設置するとき、なかなか細かな点までは気付けないもの。
あとから、「使い勝手が悪い!他の選択肢もあった!」と後悔しないためにも、チェックしておきましょう。
趣味部屋として使うならエアコンや収納・照明のことも考えよう
ビルトインガレージはクローズド空間とはいえ、”外気温の影響は受けやすい傾向”にあります。
そのため、冬は寒く、夏は暑くなり、湿度も大きく変動するでしょう。
趣味部屋として利用することも踏まえ、快適かつ安全に使用するためにもエアコンの設置をおすすめします。また、作業することを考えると照明も欠かせません。電気代も気になる点ではありますが、総合的に判断するようにしましょう。
その他、収納スペースや棚なども設置すると、物を整頓しながら綺麗に使うことができるかもしれません。
換気設備が必要
ビルトインガレージは屋内空間であることから、”排気ガスが溜まりやすい”という特徴もあります。
その他にも、趣味部屋として利用する場合、塗装などの作業で揮発性ガスが出ることもあるでしょう。
健康上の問題になり得るので、空気の流れ、そして換気設備は整えておきましょう。
そして、設置場所によっても換気の効果は違ってくるので、どこに換気設備をつけるかも確認するようにしてください。
将来的な車の台数や買い替えを考慮してスペースを確保する
一度設置したビルトインスペースをさらに広くするというのは、なかなか大変なもの。
例えば、今は車を一台所有していて、近い将来に夢の外車を購入することを計画しているという方もいるかもしれません。他にも、今は小さな車に乗っているが、将来的に大きな車に買い替えるという可能性もあるかもしれません。
そうなると、車をもう一台購入した場合、二台の車を駐車するスペースが必要になります。
全ての可能性を考慮して設置するのは不可能ですが、ある程度、将来的な車の購入などの計画も含め、長期的な視点で検討しましょう。
家の敷地が広ければ、屋外設置型のガレージもあり
ビルトインガレージは室内のような空間というのが魅力ですが、同じような空間を確保できるのが屋外設置型のガレージです。
ビルトインガレージは住宅の1階スペースに設置しますが、屋外設置型なら居住スペースを狭めることなく、ビルトインガレージのようなスペースを手に入れることができます。
家の土地が広い場合は、こちらも比較検討してみてもいいかもしれません。
おしゃれなビルトインガレージを手に入れよう!
ビルトインガレージを設置するイメージは湧きましたでしょうか?
法律上の規則はもちろん、設置のメリットとデメリットをしっかり理解して、あなたにぴったりのビルトインガレージを設計してもらいましょう。
そして趣味を堪能できる時間と空間を手に入れて、車のある生活をより快適で豊かなものにしてください。
建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」のこと。そして、容積率とは「敷地に対する建物の延べ床面積の割合」のことです。
こちらの建ぺい率と容積率は、地域によって定められています。
また、建ぺい率と容積率を算出する際に、ビルトインガレージ などの車庫の面積も算入されるので、その点に注意して設置する必要があります。
地域によってはこの条件の緩和措置が適用されるケースもあるので詳しくは事前に確認するようにしましょう。