新築で家を建てるときに気を付けたいのが、見積書の内訳です。
ネットの広告や看板、チラシなどでよく見る価格は、実は建物本体の建築費用のみを表示しているケースが非常に多いです。
広告の価格を鵜呑みにしていざ見積もりを出してもらったら、予想をはるかに上回る金額を提示され驚いてしまうことも…。
新築物件を建てるときは、建築費のほかにどのような費用が必要になるのかチェックしておくことが大切です。
今回は新築広告の提示価格に含まれない付帯工事や諸経費についての豆知識を分かりやすく解説します。
目次
付帯工事に関する基礎知識
新築住宅の販売価格に表示されない費用の中でも特に代表的なものが「付帯工事費」です。
そもそも付帯工事とはどのようなものなのでしょうか。順を追って解説していきます。
付帯工事費とは
付帯工事費とは、家本体の建築以外にかかる工事費用のことです。
家を建てる前に行う地盤改良工事や、家を建築するための足場を組み立てる工事、電気・水道・ガスなどの配管を通す工事、庭・玄関門・駐車場などを設置するための外構工事などが含まれます。
これらの工事はあくまでもオプション扱いになるので、広告やチラシなどで記載される販売価格には含まれていません。
また付帯工事費は、地域・土地・広さ・デザイン・住宅設備などによっても金額が大きく変動するため、変動しにくい建物本体の価格のみを表示することが多いです。
付帯工事費は住宅の生活に欠かせない工事なので、本体建築費と同様に住宅ローンの対象になります。
付帯工事費以外にかかる費用は?
付帯工事費以外の費用については、「諸経費」があります。
住宅ローンを借りるときの手数料や、ハウスメーカーに支払う手数料、固定資産税・不動産取得税などの税金、土地の登記にかかる費用、仮住まいへの引っ越し費用などさまざまな項目が含まれます。
工事費以外でかかる経費の総称なので、新築物件の購入手続きにかかる費用と覚えておけば良いでしょう。
こちらは新築物件の建築に直接関わる費用ではないので、住宅ローンを適応することができません。諸経費については、新築物件の購入時に自ら用意しておく必要があります。
付帯工事費の相場はどれくらい?
建物建築費・付帯工事費・諸経費の3つを足した金額が、見積書に記載される「総工事費用」になります。
「総工事費用」=「建物建築費」+「付帯工事費」+「諸経費」
総工事費用の内訳割合については、建物本体の建築費用が70%、付帯工事費が20%、諸経費が10%程度になります。
つまり販売価格(本体価格)が3500万円だった場合、800〜1000万円程度は付帯工事費・諸経費として見積書にプラスされる可能性があると覚えておきましょう。
また、土地の購入にメーカーが関わっていない場合は、土地の購入は自分で行う必要があります。
付帯工事費に含まれる主な費用とは
付帯工事にはどのようなものが含まれるのでしょうか。
新築物件を建てるときに発生しやすい工事をまとめましたので、見積書をチェックするときの参考にしてみてください。
価格帯は建てる家のデザインや土地の状況に左右されることが多く、全ての工事が必要になるわけではありません。
もちろんコストカットも可能なので、希望の項目と照らし合わせながら確認していきましょう。
解体工事費
所有している土地に古い家が建っている場合、まずは解体工事をして更地に戻さなければなりません。
大型重機による取り壊し、廃材の運搬、土地の整備などが工事内容になります。
家の規模によって費用が変動しやすく、家や土地が大きいほどコストも高くなります。付帯工事の中でも特に高額になりやすい項目の一つです。
元から更地の土地を購入・所有していた場合は、費用をゼロにすることができます。
足場工事費
家を建てる前には、作業員が移動するための仮設足場を作る必要があります。
工期が長期間に及ぶ場合は、休憩所やトイレなどのスペースを設置する必要があり、工事が大掛かりになればなるほどコストも高くなります。
仮設の足場は作業員が安全に仕事に取り組むうえで重要な要素なので、コストカットをしにくい項目です。
地盤調査・地盤改良工事費
家を建てる前に必ず行うのが地盤調査です。
地盤調査とは、これから建てる家にふさわしい強度や固さがあるかどうかをチェックする調査のこと。
もしも脆弱性が認められた場合は、地盤改良工事をする必要があります。
地盤改良工事にはいくつかの種類があり、使う素材や構法によって大きく費用が変動します。値段だけで選ぶのではなく、土地の状況に合わせて施工方法を決めるのがおすすめです。
屋外給排水・電気・ガス工事費
電気・水道・ガスなどの配管を家の敷地まで引いてくる工事です。
一部照明器具や家具の設置費用もこちらに含まれる場合があります。
「1階・2階それぞれにトイレを設置する」「特殊な場所に水回りを増設する」など、特殊な配管・配線設置を必要とする場合は、通常よりもコストが高くなる可能性があります。
土地や間取りに左右される部分が多いので、工夫をすればコストカットも十分可能な項目と言えるでしょう。
冷暖房・空調工事費
冷暖房などの空調設備も付帯工事に含まれます。
空調を連結するための基礎工事や、エアコン家電自体の購入費用、設置費用などが該当します。
部屋数が多いほど作業工程が増えるので、家の広さによって費用が変動しやすいです。
回線などの通信工事費
インターネットや電話回線の開通に必要な回線工事費になります。
将来的に使いたい回線の種類や性能によっても最適な配置は異なるので、間取りの段階である程度位置を考えておくのがおすすめです。
コストカットしたい場合は、後回しにすることも可能です。
外構・造園費
外構とは家の外部分全般のことを指します。
駐車場や庭などを設置する場合は、外構・造園工事費が必要になります。
駐車場と玄関門のみのシンプルな外構ならコストを抑えられますが、素材やデザインに凝るとそのぶん費用が高くなります。
施工を後回しにすることも可能ですが、家本体と合わせてデザインしたい場合は事前に構想を練っておくのがおすすめです。
付帯工事の契約前にきちんと把握しておきたいこと
新築物件の見積書を提示された場合は、付帯工事の項目をよく確認しておきましょう。
契約前に疑問点や気になるポイントを確認しておけば、金銭トラブルを事前に回避できるようになります。ここからは本契約の前に特にチェックしておきたい項目について解説していきます。
付帯工事費は概算と言われたけど問題ない?
フルオーダーの注文住宅は設計プランによる金額の変動幅が大きいため、先に見積もりを出さないとわからないことが多々あります。
そのため、付帯工事費は概算で算出されるケースが多いです。
結論から言うと、これは気にしなくても大丈夫。全体の設計バランスによって工事の概算費用が上下する程度なので、後になってから予算を大幅にオーバーした請求が来ることはほとんどありません。
どこまでが本体工事でどこからが付帯工事かは工務店によって認識が異なるので、より正確な金額予想を立てたい人は、事前に担当者に気になる点を質問しておくと良いでしょう。
購入する土地によって付帯工事費は大きく異なる
付帯工事費は総工事費の20%程度を占めますが、実際のところ価格は土地のスペックに左右される部分が大きいです。
前述した通り土地の強度が足りなければ地盤改良工事をする必要がありますし、傾斜地にある土地も別途工事が発生する可能性があります。
寒い地域では通常よりも多くの断熱素材・空調設備を設置することになり、結果的に付帯工事費が増えてしまうことも。
付帯工事費を節約したい場合は、後々かかることが予想される工事費も計算に入れたうえで土地選びを進めるのがおすすめ。
土地が安いからと検討せずに購入してしまうと、後々多くの費用がかかってしまうことがあります。
比較検討するときに注意!付帯工事費の確認方法
付帯工事費の詳細な内訳を計算してもらう場合は、土地の広さ・延床面積・世帯数・住宅設備・外構の有無などの条件を細かく伝えておきましょう。
実際に住むときの条件をできる限り固定したほうが、理想の住環境に近い見積もりが出やすくなります。
「大体これくらいの予算で抑えたい」といった希望がある場合は、おおまかな費用帯をあらかじめ伝えておくのもおすすめ。
住宅の性能・設備面で優先順位を付けておくと、コストカットをするときに判断しやすくなります。
付帯工事費の内訳を把握して予算オーバーを防ごう
今回は付帯工事費の項目や内訳について分かりやすく解説しました。
付帯工事費と諸経費に関する知識を深めておけば、販売価格と見積書のズレによる予算オーバーを防ぎやすくなります。
細かなコスト計算をするときにも強い味方になるので、物件購入前に重要な項目をチェックしてみてくださいね。