近年人気がある「古民家リノベーション」。
劣化がひどくなければ壁や床などの基礎部分はそのまま再利用されるため、コストを抑えられる点が人気の理由です。
しかし古民家リノベーションはメリットばかりではありません。
デメリットを把握しておかなければ古民家の購入を後悔する可能性もあります。
そこでこの記事では、古民家リノベーションのメリットやデメリット、費用相場について解説します。
DIYのセルフリノベーション術も紹介するので、極力自分で家を改造したい人はぜひ参考にしてみてください。
目次
古民家リノベーションのメリットとは?
まずは古民家をリノベーションするメリットから紹介します。
梁や柱を活かした伝統的日本家屋の魅力を活かせる
古民家リノベーションは、元の梁や柱を活かした古き良き日本家屋の風情を楽しめるところが最大のメリットといえるでしょう。
古民家をリノベーションするときには、元の柱や梁を残して工事を行います。
古民家の柱や梁に使われる木材の多くは「ケヤキ」や「ヒノキ」です。
ケヤキは800年、ヒノキは1200年と耐久年数が長く、リノベーションするときに素材をそのまま残しても十分使えます。
木材を活かしたデザインにすることで、和モダンな雰囲気の住宅を楽しめるのです。
風がよく通り夏は涼しい
クーラーなどの冷房機器が発達していなかった時代に建てられた古民家。
夏の暑さを耐え凌ぐために、通気性を重視して作られていることがほとんどです。
そのため、夏は涼しく過ごしやすい点もメリットといえるでしょう。
また通気性がよければ、カビも発生しにくくなるため掃除が楽になるかもしれませんね。
自治体から補助金が下りる場合がある
古民家のリノベーションには、国や市区町村などの自治体が行っている補助金制度を利用できる可能性があります。
補助金制度の種類は、耐熱・耐震リフォームや省エネリフォーム、バリアフリーリフォームなどさまざまです。
補助金を受けられる条件も自治体によって異なります。古民家限定の補助金制度を設けている自治体もあるため、ご自身が住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。
また、リノベーション業者のなかには補助金申請の代行サービスを実施している会社もあります。
補助金申請について不安があれば、申請代行のサービスがある業者を選んでみるのもひとつの手段です。
古民家リノベーションのデメリットとは?
続いて、古民家リノベーションのデメリットをみていきましょう。
密閉性が低いため冬は寒い
古民家は通気性を高める造りになっていることから、密閉性が低くなっています。
先ほど紹介したメリットのなかで「夏は涼しく過ごしやすい」とお伝えしました。
しかし裏返せば、冬は寒いということ。
そのため、古民家リノベーション行う場合、工事費用は嵩んでしまいますができるだけ密閉性を高める断熱工事も依頼しておきましょう。
エアコンや電気ストーブなどを追加して、暖かい生活環境を整えておくのもよいですね。
建物が劣化している可能性
築年数の経過した古い家である古民家では、建物の基礎が劣化している可能性も考えられます。
住宅の基礎が劣化していた場合、そのままでは再利用できません。
1981年に改正された新建築基準法に則り、基準以上の強度や耐震性が必要です。
また長い間放置された木造物件は、雨漏りやシロアリなどの問題も抱えています。
もしも購入した古民家物件の劣化が激しく、補強工事などの対策が必要だった場合には、想定していた費用を大きく上回る可能性があることも覚えておきましょう。
新築と変わらないほど費用がかかる場合も
古民家リノベーションは「古い物件をリノベーションするだけだからコストを抑えられる」と簡単に考えてしまう人も多いでしょう。
しかし実際には、新築とほとんど変わらないほど高額な費用がかかる可能性もあります。
これまでのデメリットで挙げた「断熱工事」や「補強工事」以外にも、いらなくなった廃材を撤去する費用なども必ず発生するコストです。
またリノベーションをする範囲が広ければ、それだけ費用がかさみます。
古民家で使われている希少性の高い材料にこだわれば、材料費にも高額なコストがかかるでしょう。
このように、予想を超えるような費用がかかってしまう場合もあることを念頭に置いておいてください。
古民家はDIYでセルフリノベーションできる?
古民家リノベーションは、自分でDIYできる部分と、プロに任せなければ危険な部分があります。
ここでは、DIYできるセルフリノベーションについて解説しましょう。
床板剥がしや簡単な解体で準備を整えよう
「床板や畳を剥がす」「扉・障子・ふすまなどの建具を外に運び出す」など、簡単な解体作業については力があればご自身で行えます。
ただし床板などを剥がすときに、釘や尖った木材で怪我をしないように注意しましょう。
革のグローブやヘルメット、安全靴などを準備しておくと安心です。
また、解体した廃材を運べるような軽トラックなどを持っている場合には、ご自身で廃材処理場まで直接運べます。
漆喰や珪藻土を使った壁塗り作業は親子でも取り組める
漆喰、珪藻土などを使った壁塗り作業は、親子でも取り組める人気のDIY作業のひとつ。
難しい道具は使わず、誰でも簡単に使いこなせるコテで壁塗りができます。
凸凹することもなく平らに塗るためには熟練した技術が必要です。
しかし、そこをあえて凸凹させるようなデザインにすれば、遊び心があるおしゃれな壁に仕上がります。
また漆喰や珪藻土は和との相性も抜群のため、古民家リノベーションではよく使用される材料といえるでしょう。
障子の張替えやキッチンのタイル貼りなどは自力でも可能
障子やふすまの張り替え、キッチンのタイル張りなどの細かい内装仕上げ部分はDIYが可能です。
こうした内装仕上げをDIYする場合、プロよりもクオリティは劣るものの、手先が器用な人ならばある程度きれいに仕上げられるでしょう。
また住宅の基礎工事などとは異なり、失敗しても命に別状はありません。
そのためDIY初心者でも挑戦しやすい部分といえますね。
業者に依頼した場合の相場と費用を抑えるためのポイント
最後に、古民家リノベーションを業者に依頼した場合の費用相場と、コストを抑えるためのポイントを紹介します。
相場はスケルトンリフォームか部分施工かで変わる
古民家のリノベーション工事は、以下の二つに大別できます。
- 梁や柱などの骨組みを残してほかはすべて解体する「スケルトンリフォーム」
- 基礎部分などを残しながら劣化してしまった部分のみをリフォームする「部分施工」
そのため、古民家のリノベーションと一口にいっても費用相場は大きく異なるのです。
下記は、スケルトンリフォームにかかる古民家リノベーションの費用相場です。
坪数 | 費用相場 |
---|---|
20坪 | 1,400〜2,200万円 |
30坪 | 1,700〜2,500万円 |
40坪 | 2,000〜2,800万円 |
50坪 | 2,600〜3,100万円 |
60坪 | 3,200〜3,400万円 |
費用相場は上記のとおり、やはり金額の幅が広くなっています。
前述のとおり、リノベーション をする場所が広かったり、基礎が劣化していたりする場合には高額な費用がかかるため一概にはいえません。
古民家リノベーションを行うときには、複数の業者に見積もりを取ってもらい決めていきましょう。
施工の優先順位を決めておく
工事内容の優先順位を決めておくと、本当に必要な工事のみを行えて費用も抑えることが可能です。
古民家リノベーションで優先させておきたい工事は「耐震工事」と「水回りの改修工事」、そして「断熱工事」です。
先にも説明しましたが、現在では新しい建築基準法により耐震基準が高まっています。
そのため、その基準を下回る建物は耐震補強工事が必要です。
古民家リノベーションにおいても、耐震補強工事を行い建築基準法に則る必要があります。
また、古民家リノベーションで最も改修が必要になる箇所は水回りの設備です。
この2つの工事に合わせて、断熱工事も優先度が高い工事といえるでしょう。
古民家リノベーションの施工実績が多い業者を選ぼう
業者を選ぶときには、古民家リノベーションの施工実績が多い会社を選びましょう。
なぜなら、古民家リノベーションに慣れている業者ならば、湿気や乾燥などの土地の特徴を活かしながら工事設計してくれるからです。
また古民家リノベーションで欠かせない耐震や断熱、水回りの改修工事などもはじめから検討してくれます。
シロアリや雨漏りの調査についても実施してくれるでしょう。
こうしたことにプラスして、補助金申請などに詳しい業者を見つけられるとよいですね。
事前に計画をしっかり立てて快適な古民家ライフを!
この記事では、古民家リノベーションのメリット・デメリットや費用相場などについて解説しました。
低コストで古き良き日本家屋の風情を楽しめると人気の古民家リノベーションですが、建物の劣化がひどい場合には思った以上に費用がかかるケースも少なくありません。
古民家リノベーションを検討中の人は、購入予定の物件の調査を入念に行い、見積もりで費用を把握しておきましょう。
事前に綿密な計画を立てられれば、快適な古民家ライフを実現できる可能性が高くなります。