家事の中でも、洗濯にストレスや苦手意識を感じる人も多いのではないでしょうか。
洗濯は工程が多く、間取りによっては移動が長い場合もあるため、体にも負荷がかかる家事です。
しかし、家の間取りを決める際に洗濯の動線を工夫することで、その手間を大幅に減らせる可能性があります。
この記事では、洗濯の動線を短くする間取りを考える上での工夫やアイデアを紹介します。
洗濯家事をラクにしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
洗濯に必要な動線とは
一般的な洗濯の動線を分解してみると、以下のような作業に分けられます。
- 脱いだ洗濯物を洗い方別に分ける(手洗い・ドライコースなど)
- 洗濯機または手洗いで洗う
- [移動]物干し台に干す
- 乾いたら取り込む
- [移動]たたむ・アイロンをかける
- [移動]収納する(複数箇所の場合あり)
この[移動]の多い作業を毎日繰り返すのは、かなり負担になると考えられます。
そこで、洗濯をラクにするために、動線を可能な限り短くすることを検討してみましょう。
洗濯の動線をラクにする工夫
ここでは、洗濯の動線をラクにする工夫として、3つの[移動]を短くする方法を紹介します。
洗濯→干すまでを短くする
体への負担を軽くするために効果的なのは、洗濯機と干す場所の距離を短くすることです。
一般的な戸建て住宅でよく見かけるのは、1階の洗面所にある洗濯機を使い、2階のベランダで干すという動線です。
そこで、廊下からベランダに直接出られる間取りにすると、部屋を通らずに済むため、距離を短縮できます。
しかし、水分を含んだ重い衣類を持って階段を上がり、ベランダで何度も屈んだり立ったりを繰り返しながら干すのも、かなりの重労働です。
そこで、少しでも動きを軽減するために、洗面所に物干しバーを設置する方法があります。
先に衣類をハンガーに通しておき、そのままベランダで干せば、干す作業の負担を軽くできるでしょう。
干す→たたむを短くする
干すとたたむを短くするためには、たたむ場所を干す場所から近い動線にすることがポイントです。
一般的に、たたむ場所はベランダに隣接する部屋か、庭に接するリビングになる場合が多いでしょう。
しかし、アイロン置き場が遠かったり、洗濯物を置いておけなかったりと不便を感じることもあります。
そこで干す場所の近くに、家事室や家事専用スペースの設置を検討してみましょう。
最も使いやすい間取りは、洗濯機のある洗面所内やすぐ隣にすることです。
洗濯機と干す場所とたたむ場所を近い動線で結べると、格段に移動がラクになります。
たたむ→収納までを短くする
洗濯動線のたたむと収納までを短くするために、収納場所をできるだけ少なくしましょう。
例えば、干す場所の近くにファミリークローゼットを設置したり、家族の衣類以外を入れられる収納棚を洗面所に作ったりすると効率が良いでしょう。
ただし、収納場所をまとめると朝の身支度時間で混み合ったり、思春期の子どもが嫌がったりなど、デメリットも考えられます。
そのため、家族構成に合わせた十分な広さや、プライバシーを守れる収納設計が大切です。
洗濯の動線の常識を見直す
効率的な洗濯動線を作り、家事をラクにするためには、洗濯に関する常識を見直してみましょう。
「洗濯物は太陽の光で乾かすもの」「洗濯物はたたんでしまうもの」という当たり前をやめることで、手早く洗濯ができる動線作りが可能になる場合があります。
ベランダ干しをやめる
分譲戸建て住宅やマンションではほとんどの場合、物干し金具がベランダに設置されています。
しかし、洗濯洗剤の進化や、住宅性能による室内環境の変化によって、室内でも問題なく干せるようになってきています。
例えば、リビングに洗濯用ラックを用意し、エアコンや送風機を使って室内干しを日常にすると、洗濯の動線を短くすることが可能です。
また、ランドリールームなど室内干し専用の場所を設置すると、生活スペースに余裕が生まれるでしょう。
室内干しで気になる部屋干しの臭いは、換気を適切にすることで防げるため心配ありません。
干す場所の近くに換気扇を設置したり、扇風機で空気の流れを作ったりすれば解決します。
たたまないで収納する
洗濯の動線を短縮する方法として、干した洗濯物を取り込んだ後、たたまないという選択もあります。
例えば、ハンガーで干したものをハンガーのまま収納したり、タオルや下着類は専用ボックスなどにたたまず収納したりする方法です。
たたむ作業を短縮できると細かい作業が減るため、家事の効率が上がります。
乾燥機をフル活用する
洗濯物を干すのをやめて乾燥機をフル活用すると、洗濯動線が格段に短くなります。
共働き世帯に人気の乾燥機は、天候の悪い日も気にせずにしっかり乾燥できるため、重宝するアイテムです。
しかし、温風で乾かす乾燥機は繊維を傷めやすく、電気代がかかるというデメリットがあります。
そのため、衣類を極力傷めず、省エネできるタイプの乾燥機選びが重要です。
洗濯の動線を短くする間取りのアイデア
ここでは、洗濯の動線を短くする間取りのアイデアを紹介します。
ランドリールームがある間取り
洗濯専用スペースであるランドリールームを設けると、洗濯動線をかなり短縮できます。
ランドリールームとは、洗う→干す→たたむまでの作業をするスペースです。
ランドリールームは洗面所共有タイプと完全個室タイプがあり、室内干しスペースや家事スペースを設けるため、2畳以上のスペースが必要です。
おすすめの間取りは、キッチンや浴室の隣です。
料理しながら、お風呂の準備をしながら洗濯作業ができるため、家事動線全体が短縮できます。
キッチン横に洗濯機がある間取り
リビングダイニングと同じ空間にあるキッチンの横に、洗濯機を置く間取りもおすすめです。
キッチンの横にあれば、洗濯のために洗面所へ移動する必要がなくなり、キッチンでの作業と同時並行で洗濯家事が可能になるためです。
海外風の統一感のあるインテリアとして見せたいなら、ビルトインタイプの洗濯機がおすすめです。
また、洗濯洗剤やアイロンなどの収納場所を確保するために、広いパントリーを設けておくと便利でしょう。
洗面所に大型収納棚を設ける間取り
収納場所をまとめるため、洗面所に大型収納棚を造作すると、干す→収納までの洗濯動線を短くできます。
家の中に細かく収納場所を分けるよりも、個人の衣類以外の布ものは、洗面所の収納にまとめると便利です。
タオル・下着・靴下・パジャマ・部屋着などをしまっておけば、脱衣→洗濯までの動線が短くなり効率的です。
家族にとっても、外出先から帰ってきた後やお風呂の後などの着替えもラクにできます。
洗濯機置き場を2階にする間取り
洗濯機置き場をベランダのある2階に設置すれば、ワンフロア内で移動できるため、体への負担が軽減できます。
また、2階に家族のクローゼットがあれば、自室で室内着に着替えた後、脱衣した洗濯物を洗濯カゴに入れやすく効率的です。
さらにベランダで干した洗濯物も、同じフロア内で収納ができれば、洗濯→干す→たたむ→収納までの洗濯動線が大幅に短縮できます。
常識を見直して洗濯の動線を快適にしよう
今回は、洗濯の動線を短くする間取りを考える上での工夫やアイデアを紹介しました。
住宅の広さやライフスタイルによって、洗濯の動線を短くする方法は異なります。
しかし洗濯作業がラクにできれば、家事全体にかかる負担を軽減できます。
できるだけ洗濯に関する常識にとらわれず、快適にできる洗濯動線を検討しましょう。