中古住宅・中古マンションなどのリノベーションで、もともとあった「押入れ」をなくそうとしていませんか?
押入れは一般的なクローゼットよりも奥行きがあり、使い方によっては利便性の高い収納スペースとして活用ができます。
間取りに残しておけば、収納容量のある場所として重宝する可能性があります。
この記事では、押入れを残しておくメリットや使い方のアイデア、リノベーションする際の注意点などを解説します。
家の中を上手に片付けたい方は、押入れのある生活を検討してみましょう。
目次
押入れをリノベーションで残すメリット
ここでは中古住宅やマンションをリノベーションするときに、押入れを残すメリットを解説します。
どこを残してどこを壊すかなど間取りを自由設計することは、リノベーションの大きな利点です。
目的を持って、見極めていきましょう。
リノベーション費用を削減できる
押入れを残すひとつ目のメリットは、リノベーション費用を削減できることです。
スケルトン状態にしてフルリノベーションすると、間取りは自由に再設計できますが、その分費用がかかります。
間仕切りの壁をすべて変更しなくても室内の使い勝手を良くすることは可能であり、さらに予算を節約できます。
クローゼットと使い分ける
ふたつ目のメリットは、リノベーションでよく採用されるクローゼットと、収納場所として使い分けられる点です。
押入れとクローゼットは、もともと使用目的が違います。
サイズも大きく異なるため、収納したいものによって使い分けると片付けやすくなり便利です。
間口 | 奥行 | 高さ | |
押入れ | 1間 (約182cm、柱や仕上げ材を除くと実質約170cm弱) | 半間 (約91cm、柱や仕上げ材を除くと実質約80cm弱) | 1間(約182cm) 上部は約90cm 下部は約75cm |
クローゼット | 約90〜120cm | 約45〜60cm | 約175cm |
リノベーションで人気のウォークインクローゼットを広めに作って、あらゆるものを収納しようと考える方もいるでしょう。
しかし、クローゼットは衣類を収納するものなので、使いやすい奥行きや設置場所が限定されます。
押入れは衣類以外の大きなものを収納することも可能なため、収納庫や倉庫としての活用が期待できます。
リノベーションした押入れの使い方アイデア
この章では、リノベーションによって生まれ変わった押入れの使い方のアイデアを紹介します。
押入れを上下に分けている中段板は簡単に外せるため、今後の使い方をイメージして、取り外すかどうかを選択しましょう。
衣類以外の収納場所にする
押入れの特徴である奥行きの広さを活かせば、大小さまざまなものを収納する収納庫・倉庫として利用できます。
来客用布団はもちろん、キャンプ道具や季節物の家電、大きいサイズのスーツケースや高さのある脚立なども収納できます。
この場合は押入れの中段板を残すと、隙間なく収納しやすいでしょう。
ただし、下部の出し入れがしにくくなるため、キャスター付きのワゴンなどを上手に使いましょう。
クローゼットにする
押入れをクローゼットに変更することも可能です。
ハンガーパイプを設置するだけならば、それほど費用がかかりません。
中段板を取り外せば、ロングコートやワンピースなどもかけられます。
押入れ内部に収納棚を追加したり、間仕切りを入れたりすれば、デッドスペースができないようにする工夫も可能です。
大容量の本棚にする
本の置き場所に困っているなら、大容量の本棚として活用する方法もあります。
頑丈なキャスター付きのラックを用意すれば、奥行きを活かした大型の書庫として使えるでしょう。
押入れならば大型の本棚もそのまま収納できるため、本棚がインテリアのイメージと合わない場合、丸ごと隠すこともできます。
書斎にする
押入れの奥行きを活かして、書斎や作業スペースにするのもおすすめです。
押入れの間口に合わせて作業台や収納棚を設置したり、パソコン用のコンセントを設置したりすれば、ワークスペースや子どものスタディスペースとして活用できます。
趣味や家事スペースとしても使えるため、家族全員が重宝する場所になるでしょう。
洗濯機置き場にする
長期滞在型ホテルなどで見かける、扉付きの洗濯機置き場として使う方法もあります。
押入れは奥行きがあるため、大容量サイズの洗濯機も収納可能です。
間口の幅に合わせて衣類用洗剤やタオルなどの収納を一緒に作っておくと、家事効率の上がる洗濯機置き場として使えますよ。
ミニキッチン・洗面台にする
押入れの奥行きを活かして、ミニキッチンや洗面台にする方法もあります。
二世帯住宅やペットのいる家庭では、小さいシンクがあると重宝する場合もあるでしょう。
押入れの形状を活かして作れば、奥行きもちょうど良く、部屋の間取りを邪魔しないサイズで作れます。
押入れをおしゃれにリノベーションするポイント
押入れをリノベーションする際に、おしゃれに仕上げるポイントを紹介します。
狭いスペースですが、ほんの少しこだわるだけでイメージを一新できるため、楽しみながら選択してみましょう。
フローリングと押入れの床を同一素材にする
押入れのある部屋のフローリングと、押入れの床を同一素材にしてみましょう。
そうすることで、部屋の奥行きが広く感じられたり、押入れの「和」要素がなくなったりして、まとまりのあるおしゃれな空間を演出できます。
書斎やミニキッチンなど扉をつけない場合は、押入れだった部分も含めて、部屋全体を統一感のあるコーディネートにしましょう。
押入れ内部の壁紙にこだわる
押入れをクローゼットや収納として使う場合は、調湿性や防臭性などの機能がある壁紙を選びましょう。
特に戸建て住宅の1階の押入れは、湿気がこもりやすくカビが発生しやすいからです。
さらにおしゃれに見せるなら、部屋の壁の色と違った色を選択するのもいいでしょう。
狭い空間だからこそ、グレーやベージュ系など、トーンの濃淡程度でも違いが引き立ちます。
押入れの扉にこだわる
押入れに扉をつける場合、扉のデザインによって大きく印象を変えられます。
押入れに使える扉の種類は以下の4タイプです。
種類 | 特徴 |
---|---|
折れ戸 | クローゼットの扉として一般的なタイプ。 狭いスペースでもフルオープンできます。 |
引き戸 | 近くに家具を置く場合に向いています。フルオープンはできません。 引き戸の数を増やすと大きく開きます。 |
開き戸 | ドアのように扉が大きく開くため、開くための空間が必要です。 |
カーテン・ロールスクリーン | 押入れの上部にレールを取り付け設置できます。 開閉しやすいですが、間取りによってはホコリが舞いやすくなります。 |
押入れをリノベーションするときの注意点
押入れをリノベーションする際には、いくつか注意点があります。
施工業者に相談しながら、対策を検討してください。
戸建て住宅は床に補強が必要な場合もある
古い戸建て住宅の場合、押入れの床に補強工事が必要な場合があります。
押入れ内部は部屋と違って弱い下地になっており、ベニヤ板が貼られているだけの押入れもあります。
補強工事をしないと、重いものを収納した際に、床が抜ける恐れもあります。
施工業者に補強する必要性や工事費用を確認しておきましょう。
断熱材でカビ・結露対策をする
押入れをリノベーションする際には、壁に断熱材を入れるなど、カビや結露対策をしましょう。
押入れは窓や換気扇がないため、湿気がたまりやすい欠点があります。
リノベーションした後もこまめに扉を開けて換気し、湿気を逃してカビが発生しないように気を配りましょう。
押入れの特徴を活かしてリノベーションしよう
押入れを残しておくメリットや使い方のアイデア、リノベーションの注意点などを解説しました。
押入れは工夫次第では、クローゼットとは違ったタイプの収納場所として活用できます。
「収納が足りない」とあとから後悔しないためにも、収納する目的やものの配置などをしっかり検討して、押入れを使い勝手のいい収納スペースにしましょう。
押入れを残しておく選択肢も念頭に置いて、全体の間取りや予算を考えてみるといいでしょう。