ポール・マッコブは、アメリカを代表する家具およびインダストリアルデザイナーです。
2019年からデンマークの老舗家具メーカー「フリッツ・ハンセン」より商品が復刻されたことで、再注目されています。
この記事では、ポール・マッコブの歴史やデザインの特徴、代表作について詳しく解説します。
目次
再注目されるデザイナー「ポール・マッコブ」とは?
家具・インダストリアルデザイナーの「ポール・マッコブ」は、1917年にアメリカ・ボストンに生まれました。
アメリカの代表的なデザイナーである「イームズ夫妻」や「ジョージ・ネルソン」などと同時代に活躍。家具だけでなく室内装飾や食器など、幅広いアイテムを手掛けています。
2019年よりフリッツ・ハンセンから商品が復刻されたことがきっかけとなり、再び注目を集めています。
遠近法とスケールを活かしたデザイン
マッコブのデザインの大きな特徴は、遠近法とスケールにあります。
テーブルやシェルフ、ランプなど、配置する空間の細部にまで意識を向けてデザインされているのです。
細い線を活かしたシンプルなフォルムからは、完璧主義者であるマッコブの人間性がうかがえます。
独学でデザインを学ぶ
小さい頃から芸術家に憧れ、地元の美術学校に進学したマッコブ。
デザインは完全に独学でしたが、遠近法について深く理解していたことから、デザイナーとしての道を切り開きます。
美術学校を卒業した後は、デザイナーを目指してボストンからニューヨークへと移住。
20歳のときにはデパートのディスプレイ兼インテリアデザインを担当します。
その後、家具デザイナーとしてニューヨークを中心に活動し、1945年には自身の会社を立ち上げました。
数多くの賞を受賞する
マッコブは1950年から5年連続でMoMA主催のグッドデザイン賞を獲得し、アメリカを代表するデザイナーの一人となりました。
その後も数多くの名誉ある賞を数多く受賞しています。
彼の成功はアメリカで「市民の家具」として、高く評価されました。
ポール・マッコブの代表作5選
ポール・マッコブの手掛けた作品は、直線的なフォルムによる軽やかさが印象的です。
流行に左右されないシンプルなデザインなので、長く愛用できます。
ここからは、代表的なものを5つご紹介します。
マッコブを象徴する作品プランナーコーヒーテーブル
1952年にデザインされた「プランナーコーヒーテーブル」は、マッコブのアイコン的な作品です。
2018年に復刻してからは、フリッツ・ハンセンより生産されています。
ブラック粉体塗装のスチールベースの脚と、重厚感のある大理石の天板がマッチ。
一つ一つ異なる石の模様や、触れたときの質感を楽しめます。
ミニマルながらも、マッコブの個性を感じるデザインです。
シンプル・モダン・レトロ・ナチュラルなど、さまざまなテイストのインテリアに馴染むのも嬉しいポイント。
天板は長方形か楕円形、大理石の種類はクリームとチャコールからセレクトできます。
圧迫感がなくシャープなプランナーシェルフ
マッコブが得意とするシャープなラインを活かした「プランナーシェルフ」。
部屋のデザインを形作るという意味合いから、この名が付けられました。
背面がないため、開放的な印象です。
スチールフレームには適度にマット仕上げを施し、丸みをもたせています。
棚板にはオーク材を使用。フレームとの一体感を高めるため、面取りされているのがポイントです。
他の作品と同様に、細部にまでマッコブのこだわりが感じられます。
大きさや構成の異なる3種類から、配置するスペースに合うモデルを選んでくださいね。
時代を超えても色あせないテーブルミラー
「テーブルミラー」はシンプルかつ実用的なのが特徴の「プランナーシリーズ」の一つとして、1950年代にデザインされました。
ブラック粉体塗装のスチールフレームと、カッラーラ大理石の組み合わせが、スタイリッシュで上品な雰囲気を醸しだしています。
ミラーは360度回転させられるので、さまざまな角度での使用が可能です。
復刻デザインは、時代を超えても変わることない機能およびデザイン性を実現しています。
乳白色のシェードが特徴的なPM-02
手吹きのガラスシェードが印象的な「PM-02」。
プランナーシリーズとしてフリッツ・ハンセンより復刻されたテーブルランプです。
筒形のシェードと、直線的なベースのコントラストが上品な雰囲気。
乳白色のシェードは光を拡散させる効果があり、温かな空間を演出できます。
3本脚のベースは無塗装の真鍮か、ブラック粉体塗装のスチールから選べます。
使い勝手の良い小ぶりなサイズも嬉しいポイント。
デスクコーナーやベッドサイド、シェルフなど、いろいろな場所に馴染みます。
機能美を実現したマガジンホルダー
1950年代にデザインされたマガジンホルダーも、フリッツ・ハンセンから復刻された作品の一つ。
機能美を実現したアイテムになっています。温かみを感じるファブリックと、洗練された印象のスチールの組み合わせが印象的。
バスケットに使用されているウール混の生地は、取り外しが可能です。
お手入れが簡単なので、清潔な状態を保てます。
粉体塗装のスチールフレームは、雑誌が垂直に収まるように作られており、上部がハンドル状になっているため移動するときもスムーズです。
直線的で上品な作品を生み出すポール・マッコブ
無駄のないシャープなデザインを得意とするマッコブ。
どの作品も細部にまで、こだわりが感じられます。上質で飽きのこないデザインは、一生ものとして長く愛用できるものばかりです。
シンプルかつスタイリッシュな家具や照明が好きな方は、ぜひチェックしてみてくださいね。