近年、洗面所の化粧台とは別にシンクを設ける「スロップシンク」の需要が高まっています。
とはいえ「洗面所だけで事足りるのでは?」「どのような場合に活用しているの?」と疑問を抱く方も多いはず。
この記事では、スロップシンクがオススメな人やメリット、設置場所の例をご紹介します。
スロップシンクがある住宅をイメージできるので、ご自身に必要な設備であるか検討する材料にしてください。
目次
スロップシンクとは何?
スロップシンクとは、汚れ物にも対応できる底の深い流し台のことです。
主な用途は、汚れた雑巾や靴、さらに大型の掃除道具など、洗面台やキッチンで洗うには気が引けるものを洗えます。
構造はシンク部分単体で壁面に設置して、水栓金具とセットで使用する仕組み。
圧迫感を感じることはあまりないでしょう。
スロップシンクを検討する際に最も大切なこと
スロップシンクを検討する上で1番重要なことは、「スロップシンクを活用する用途を明確にすること」です。
用途を明確にすれば、下記のことがスムーズに決められます。
生活動線 間取りにおけるスペースの確保 シンクの形・深さ・素材・デザインなど 「スロップシンクがあれば使うかも」と安易な理由で設置すると、あまり使う機会がなく、後悔する場合も。
さらに使わなければシンク内にゴミが溜まったり、配管にある封水が蒸発して下水の臭いがあがることもあります。
せっかくお金をかけたのに、無駄になりかねません。
スロップシンクをどのように活用するのか、使いやすい場所はどこかをイメージしましょう。
スロップシンクのメリット
スロップシンクの需要が高まっている理由は主に2点のメリットがあるからです。
汚れものがすぐに洗えて、効率が上がる
スロップシンクが生活動線にあれば汚れものはすぐに洗えて、作業効率が上がります。
例えば泥汚れの衣類などは洗濯機で洗う前に、浴室で洗う方も多いでしょう。
さらに漂白剤につけ置きして、バルコニーで干すこともありますよね。
それらの動作はすべて洗面所で完結しますが、干す場所との行き来やその後の片付けが面倒なことも。
しかしスロップシンクをバルコニーに設置すれば、行き来の手間が省けて洗濯の効率はグンとあがり、洗面所や浴室を汚すことはありません。
衛生面で役に立つ
スロップシンクがあれば衛生面で安心です。
泥汚れや花粉や黄砂などのアレルギー物質が付着した服は、部屋や空気を汚す原因になります。
例えば玄関近くにスロップシンクがあれば、外からの汚れやアレルギー物質をふるい落とし、洗い流せます。
掃除の手間も省け、部屋を清潔な状態を保ち、さらに家庭内の感染対策にも役立つのです。
スロップシンクの導入がオススメな人
スロップシンクのメリットは理解できても、我が家に必要な設備なのかまだイメージしにくい方もいるでしょう。
下記ではスロップシンクの導入がオススメな人の一例と、その場合の理想の設置場所をご紹介します。
小さい子どもがいる家庭
設置場所:ランドリールーム・バルコニー
スロップシンクは、小さいお子様がいる家庭で重宝します。
幼児なら食べこぼしの衣類のつけ置き洗い、小中学生なら持ち帰った上履きや習字・絵の具セットを洗う場合などです。
日常生活での汚れが発生したときに、スロップシンクがあれば家事の手間がはぶけます。
お子様の成長とともに洗濯や掃除のお手伝いなどを促すきっかけになるかもしれません。
アウトドアや屋外スポーツが趣味の人
設置場所:ランドリールーム・バルコニー・勝手口・ガレージ
スロップシンクは、キャンプや釣りなどのアウトドアが趣味な方や屋外スポーツをされる方にもオススメです。
キャンプであれば、油まみれのバーベキューコンロや泥で汚れた道具を洗うのに最適です。
釣りならば、釣ってきた魚を入れるクーラーBOXなどは魚の生臭さが気になり、どこで洗うか迷いますよね。
屋外スポーツが趣味ならば、砂や泥汚れのユニフォームを洗面所で洗うのは躊躇するのではないでしょうか。
そのような場合でもスロップシンクならば気兼ねなく活用できます。
ペットを飼っている家庭
設置場所:ランドリールーム・玄関付近
ペットを飼っているご家庭なら深型のスロップシンクを選択すれば便利です。
お散歩後に足を洗うときや日々のシャワーなど、スロップシンクなら抜け毛や泡汚れが飛び散る心配がありません。
ぺットとの楽しいひと時を過ごすアイテムになるでしょう。
ガーデニングや家庭菜園がしたい人
設置場所:玄関付近・勝手口・庭・バルコニー・ガレージ
新築を建てるきっかけで、ガーデニングや家庭菜園を始める方にスロップシンクはオススメです。
ホースをつなげば水やりが簡単になり、効率がよいためです。
さらに土のついた野菜を屋外で洗い流せるので、キッチンはきれいな状態が保てます。
もちろん長靴や使用した道具の手入れもできて、室内も汚さずに済むのです。
スロップシンクで後悔しないためのポイントは?
スロップシンクは、用途が明確であるからこそ活きるアイテムです。
相場は本体購入費、取付け費、配管工事費など合わせて10~15万円です。
お金をかけるからこそ、設置して後悔はしたくはありません。
設置にあたり、下記の4点を注意すれば後悔することはないでしょう。
壁・床の素材に注意する
シンクの素材やデザインに目が行きがちですが、シンク周辺の壁・床の素材にも気を配りましょう。
汚れものを洗うので水や汚れが飛び散ることも想定して、周囲も水に強く掃除しやすい素材を選ぶことをオススメします。
例えば、壁はタイルやカビを防げる壁紙など、床はクッションフロアやフロアタイルなどがあります。
用途にあった素材選びが重要です。
取り付ける高さに注意する
スロップシンクは取り付ける高さにも配慮しましょう。
通常のシンクとは違い深型が多い形状です。
使用の際は楽な姿勢がとれる位置だと効率も上がります。
ペットのシャンプー用なのか洗濯用なのか、用途で高さも異なるので心地よい高さを検証しましょう。
お湯が使えるようにする
スロップシンクで後悔したポイントに多いのが「お湯がでない」こと。
例えば庭の水やりが目的ならばお湯が出なくても問題ありません。
しかしペットのシャンプーに使いたい、寒い季節も快適に使いたいという理由ならば給湯設備は必須です。
汚れたものはお湯を使うと落ちやすくなるので、可能ならば給湯管を引きましょう。
配管を露出させない
スロップシンクは通常の洗面台に比べて構造がとてもシンプル。
したがって配管部分が露出してあるデザインが一般的です。
あえてデザインを楽しむのであれば問題ないものの、寒冷地域で屋外に設置予定の場合は配管凍結に注意が必要です。
保温チューブなどで対策することは可能ですが、できれば配管が見えないデザインを選びましょう。
スロップシンクがあれば手間がかからず暮らしが快適に!
日常生活で出る汚れものを、気にせず洗えるスロップシンク。
住宅設備の中で必須のアイテムではありませんが、あれば家事の効率が上がり衛生的です。
さらにスロップシンクがあることで、趣味の幅が広がることも。
設置を検討する際は家族で用途をじっくり考えて、快適なライフスタイルを実現させましょう。
また、スロップシンクは間取り図に「SK」と記載していることも。これは洗面台やキッチンのシンクとは別の「シンク(sink)」を意味するといわれています。