ヤコブセンが最後に残したエイトチェア|デザインの特徴と秘めた魅力を解説

    エイトチェアは、アルネ・ヤコブセンが死去する前年の1970年に発表された北欧家具です。

    彼の最後の作品ということもあり、高い技術とデザイン性が凝縮された名作といえます。

    この記事では、エイトチェアの魅力や特徴、現代インテリアへの活かし方について詳しく解説します。

    エイトチェアとは?

    リリー

    エイトチェアは、北欧を代表するデザイナーの一人であるアルネ・ヤコブセンが、デンマーク国立銀行に向けてデザインした作品です。

    1968年に最初のモデルとなるアーム無しタイプ「3108」が発表され、モデル名の下一桁をとり「エイトチェア」と呼ばれるようになりました。

    また背後から見たシルエットが花びらをイメージさせることから、百合を意味するLILY(リリー)」という愛称もあります。

    1970年には、アーム付きモデル「3208」が「デンマーク国際家具見本市」で初公開。

    しかし当時の技術では製作が難しく、生産された数の約4分の1しか製品として認められませんでした。その後、試行錯誤を重ね2007年に復刻を果たし、アルネ・ヤコブセンの名作の一つとなりました。

    曲線を主役にしたデザインが特徴的

    アームなしリリー

    エイトチェアの最大の特徴は、メリハリのある優美な曲線にあります。

    椅子のほとんどが滑らかなラインで構成されており、全身を優しく包み込むような立体感は、フリッツ・ハンセン社の代名詞ともいえる名作「セブンチェア」を超える仕上がりとの呼び声が高いです。

    エイトチェアのデザインは、成形合板技術を存分に活用したアルネ・ヤコブセンの建築技術の集大成といえるでしょう。

    エイトチェアは機能性も抜群

    リリー

    エイトチェアはデザインの美しさだけでなく、機能性にも優れています。

    表面にウォルナット材を使用することで、軽さと耐久性を実現。小柄な女性でも楽に持ち上げられるので、掃除をするときも快適です。

    アーム無しタイプは最大12脚までスタッキングすることも可能。

    積んだときの姿も絵になる美しさです。

    軽量のため簡単に重ねることができ、収納スペースをとりません。

    また座面裏に保護キャップが付いており、スタッキング時に椅子同士がぶつかるのを防止。傷が付かないよう配慮されています。

    細やかな気配りの数々にも、アルネ・ヤコブセンのこだわりを感じられます。

    使うシーンに合わせて選べる豊富なパターン

    エイトチェアは、アームの有無・素材・色など豊富なパターンから組み合わせを選べます。

    部屋の雰囲気に合わせて、お気に入りの1脚を見つけましょう。

    ベースは4本脚・クローム仕上げのスチールパイプ製。

    曲線を活かした本体とスタイリッシュなシルバー光沢の対照的な組み合わせが、デザインの美しさをより引き立てます。

    アーム付き・アーム無しを選べる

    2種類のリリー

    まずはアームの有無をセレクトしましょう。

    安定感を重視したい人や、フォーマルな雰囲気に仕上げたい場合は、肘掛け付きを選ぶのがおすすめです。

    一方のアーム無しタイプは、すっきりとした見た目が好きな人に向いています。

    使うシーンや好みに合わせて選んでくださいね。

    個性豊かな素材やファブリック

    様々なタイプのリリー

    エイトチェアの素材は大きく分けて3種類から選べます。

    • ナチュラルウッド
    • ファブリック
    • レザー

    布か革を使ったタイプは、シェル全体を覆うフルパディング仕様となっています。

    思わず目移りしてしまいそうな幅広いバリエーションの中からお気に入りを見つけましょう。

    2020年にエイトチェアが復刻

    アーム付きのリリー

    発表50周年を記念して、2020年にエイトチェアが復刻を果たしました。

    デザインされた当時のナチュラルウッドモデルがウォルナットに。

    もともと優れていたアルネ・ヤコブセンのデザインに加え、現代人の体形を考慮した作りで座り心地もアップしました。

    正しい姿勢を保ちながらも、ゆったりと腰掛けることができます。

    素材のウォルナットは耐久性に優れているのが魅力。

    光の当たり方により木目の美しさが際立ち、さまざまな表情を見せてくれます。時の流れと共に滑らかな質感に変化していくので、じっくり育てていくのも楽しみの一つです。

    エイトチェアを現代インテリアに活かす方法

    コーディネートに取り入れるときは、エイトチェアの曲線とは対照的な直線デザインや無機質な素材の家具と合わせるのがおすすめです。

    異なる雰囲気のアイテムとのコーディネートによって、エレガントな美しさが際立ちます。

    直線的なデザインのデスクと組み合わせる

    レザー仕様かつキャスター付きのリリー

    肘掛けが付いているタイプは、よりかしこまった雰囲気に仕上がるのでワークチェアにぴったり。

    直線的なデザインのデスクと合わせると、バランス良く仕上がります。

    アーム部分はゆったりと腕を預けられるよう設計されているので、安定感も抜群です。

    スタイリッシュな雰囲気のダイニングテーブルと組み合わせる

    ダイニングテーブルと置かれたリリー

    ダイニングチェアとして使うのであれば、スチール製などスタイリッシュな印象のテーブルと組み合わせて。優雅な曲線がより引き立ちます。

    肘掛けは付いていないタイプがおすすめです。複数並べても圧迫感がなく、すっきりとした印象に仕上がります。

    家具だけでなく照明とのコーディネートを考えるのも楽しそうですね。

    枠にとらわれず自身が「これだ」と感じる組み合わせを見つけましょう。

    ヤコブセンの技術が集約されたエイトチェア

    ダイニングテーブルと置かれたリリー

    エイトチェアにはアルネ・ヤコブセンがこだわった、成形合板の高度な技術が集約されています。

    「アントチェア」や「セブンチェア」を上回る曲線美は、実際に目で見て堪能したいものです。

    また、優れたデザインと機能性をもった北欧家具はエイトチェア以外にも数多くあります。

    ぜひその他の作品もチェックしてみてくださいね。