分離発注って何?理想の注文住宅を目指すなら押さえておきたい基礎知識

    「分離発注」とは、注文住宅を建てるときに施工会社を通さず、建て主が直接各専門業者に依頼する方法です。

    建築コストの削減といったメリットがある一方、手間やリスクがあるのも事実。

    この記事では、家づくりを検討している方に向けて、分離発注の意味や導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

    「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、基本的な知識を押さえておきましょう。

    分離発注とは?

    「分離発注」とは、建築工事をするときの発注方法のひとつです。

    施工会社を介さず、建て主が電気・給排水工事、各種設備会社などの専門業者と直接契約して、家づくりを進めていきます。

    とはいえ、建築の専門家ではない建て主が何から何まで行うのは難しいもの。

    そのため、設計を依頼した建築家や設計事務所と契約を結び、サポートを受けながら進める場合も多く見られます。

    設備工事方法の一括発注とは?

    設備工事の方法には、分離発注のほかに「一括発注」があります。

    一括発注とは「総合発注方式」とも呼ばれ、建てるときに必要な「設計」「施工」といった作業を、建設会社がまとめて発注する方式です。

    建設工事の全体管理も建設会社に委託するので、やりとりはすべて建設会社を通しておこないます。

    一括発注のメリットは、やりとりがシンプルであること。

    工事に関する相談をするときは建設会社だけで良いので、建て主の手間が少なく、進行がスムーズです。

    その反面、専門業者に直接要望を伝えられなかったり、見積りの内容が分かりにくく、余分な費用が掛かってしまったりするデメリットがあります。

    分離発注を導入する3つのメリット

    この章では、分離発注を導入する代表的なメリットを3つ解説します。

    分離発注するかどうか検討中の方は、判断材料にしてくださいね。

    1:建築コスト削減が見込める

    分離発注の一番のメリットは、建築費の大幅な削減を期待できることです。

    ハウスメーカーや工務店を通さないので、建築工事全体を取りまとめる住宅会社の手数料をカットできます。

    またコストバランスを判断しやすいのも嬉しいポイント。

    各専門業者が、建て主に直接見積りを提出するため、それぞれの工事の内訳がはっきりと分かります。

    適切な部分のコストを抑えれば、予算内に収めやすくなります。

    2:建て主の要望が叶いやすい

    建て主の要望を各専門業者に伝えやすいのも、分離発注の魅力です。

    密にコミュニケーションが取れるので、間違った情報が伝わるリスクが減り、マイホームへのこだわりが反映されやすくなります。

    また工事内容が明確になるため、より納得した家づくりが可能です。

    建て主の希望をしっかりと理解したうえで施工してもらえるので、高い品質が期待できます。

    3:建て主も家づくりに携われる

    分離発注では、建て主が家づくりに関わる機会が多々あります。

    建て主が現場監督の役割を担うため、ある程度の知識が必要ですが、自然と家づくりに詳しくなります。

    各専門業者の大変な部分も分かるので感謝の気持ちが生まれ、よりマイホームへの愛着が湧くでしょう。

    分離発注を導入する3つのデメリット

    分離発注にはメリットがある反面、工程管理の手間や自己資金の準備といったデメリットが数多く存在するため、知識が乏しい人には難しい発注方法です。

    特に大きな3つのデメリットを確認してみましょう。

    1:建て主の負担が大きい

    分離発注の場合、手間と時間が掛かります。

    一括発注における工務店の役割を建て主がすべて担当しなければなりません。

    各専門業者を探したり、多くの業者と直接契約したり、工事のスケジュール管理に関わったりと、するべきことがたくさんあります。

    また、工事の手順を把握するなど、ある程度の知識も必要です。

    もともと建築のプロではない建て主が工事を管理するのは、かなり難しいもの。少しでも手を抜くと工事に支障をきたす可能性もあります。

    2:ある程度の自己資金が必要

    分離発注をおこなうなら、ある程度の自己資金が必要です。

    一括発注と異なり融資が受けにくく、各工事の開始前に業者への支払いが生じます。

    そのほかにも、完成後のメンテナンスといった費用が掛かることを考えておかなければなりません。

    3:責任の所在が分かりにくい

    分離発注では、トラブルが発生した場合、どの業者によるものなのか判断するのが難しい傾向にあります。

    建築を専門としていない建て主が現場に立っても、全工程のチェックはできません。

    基本的には「自分の責任にある」という意識を持ち、問題が起こったときは的確かつ迅速に対応する必要があります。

    分離発注の向き・不向き

    分離発注には向き・不向きがあります。

    「導入するメリット・デメリットは分かったけれど、まだ迷っている」という方は、参考にしてみてくださいね。

    分離発注に向いている人

    分離発注に向いている人の条件として、デメリットをカバーできるのはもちろん、自分の考えを持って意図を明確に伝えられることが挙げられます。

    各専門業者から受けた意見や提案を、すべて採用してしまうと、コンセプトの統一感が失われます。

    数多くのアイデアから自分の理想に合ったものを選ぶ力が必要です。

    また、工事業者や建築業界について詳しい人も向いているといえます。

    いずれにせよ、「家づくりに関わりたい」という高いモチベーションが必要になります。

    分離発注に向いていない人

    「建築費用を抑えたいから」といったマイナスな理由で検討している方には、分離発注をおすすめしません。

    判断を間違えたり、管理を怠ったりすると、工事の期間が延びて一括発注よりもお金が掛かる可能性があります。

    知識・スキルが足りていないと家自体の品質も劣化しやすいため、安易に分離発注をするのは絶対にやめたほうがいいでしょう。

    内容をしっかりと理解したうえで分離発注を検討しよう

    この記事では、分離発注の特徴や導入するメリット・デメリットについて詳しく解説しました。

    手間と時間、自己資金の問題などはありますが、人によってはリスクを乗り越える価値があるのも事実です。

    まずは家づくりにおいて何を優先したいかを明確にし、現実的に対応できるかどうかをイメージしたうえで、分離発注を検討してみてくださいね。