コーポラティブハウスで楽しく暮らそう!メリット・デメリットと入居までの流れを紹介

    コーポラティブハウスとは、「ルームシェア」とも「シェアハウス」とも違う新しい住まいの在りかたです。

    しかし、まだ新しい住宅スタイルなので情報が多くありません。

    そのため、いざ始めようと思っても、計画前には気付けなかったトラブルやデメリットが浮き彫りになるというケースもあります。

    プロジェクトがスタートしてから後悔をしないように、あらかじめコーポラティブハウスのメリット・デメリット、入居までの流れを確認しておきましょう。

    コーポラティブハウスとは

    キッチン

    コーポラティブハウス」とは、複数世帯でひとつの建物を購入し、自由にプロデュースをする建築方式を指します。

    シェアハウスやルームシェアと混同されがちですが、内容はまったく異なります。

    シェアハウスやルームシェアは賃貸を複数人で分け合い、ひとつの空間に住むもの。

    しかしコーポラティブハウスでは、複数世帯でひとつのマンションやアパートのような集合住宅を分譲します。

    そして分譲した部屋は、それぞれが好きなようにプロデュースをできるというものです。

    戸建住宅・マンションとの違いは?

    「購入した部屋をプロデュース」と聞くと、戸建の注文住宅やマンションのリノベーションでも良いのでは?と思うかもしれませんね。

    しかし、戸建・マンションとコーポラティブハウスの大きな違いは、かかる費用の安さやご近所との距離感にあります。

    コーポラティブハウスの場合、建築家やデザイナーと直接やりとりをするケースが一般的なので、費用を抑えてセルフプロデュースの家が作れる場合が多いのです。

    さらに、コーポラティブハウスの参加者同士は計画段階で顔見知りになります。

    そのため、マンションでよくある「距離感のあるご近所付き合い」が少なくなる傾向にあります。

    コーポラティブハウスのメリット

    コーポラティブハウスはまだ新しい住宅購入のシステムです。

    そのため、認知度はあまり高くありません。

    しかしコーポラティブハウスに注目する人たちは、コーポラティブハウスならではのメリットに着目し、計画実行に踏み出した人が多い印象です。

    具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。

    自由な設計ができる

    コーポラティブハウスの特徴でもありメリットでもあるのが、にぎやかな集合住宅でありながら個々で自由な設計ができるという点。

    ある意味、集合住宅と戸建の良いとこどりをしているとも言えます。

    • 費用を抑えつつ自分らしい暮らしを実現したい
    • 集合住宅でも人付き合いを大切にしたい

    という人にとって、コーポラティブハウスは有効な選択肢となるでしょう。

    注文住宅・分譲マンションよりも低価格

    コーポラティブハウスは、注文住宅や分譲マンションのリノベーションよりも費用を抑えて、家を自由に設計できるメリットがあります。

    仲介業者は挟まずに直接デザイナーや業者とやりとりするため、本来かかるはずの販売手数料・仲介手数料をカットすることができるのです。

    ハウスメーカーであれば、モデルルームの運営費や宣伝費用が購入費に含まれる場合が多いですが、そのような見えない上乗せ費用もありません。

    このようにコーポラティブハウスは、低予算で理想の家づくりをしたい人に適しています。

    ご近所付き合いが濃厚になりやすい

    コーポラティブハウスの場合、ご近所さんとは設計段階から顔を合わせて、お互いに意見を交換している仲です。

    すでに普通のご近所付き合いよりも一歩踏み込んだ関係性のため、住んでからのお付き合いも稀薄にはなりにくいでしょう。

    あらかじめ関係を構築しておけば、集合住宅で起こりやすいトラブルなどもある程度緩和できる可能性があります。

    コーポラティブハウスのデメリット

    時計の飾られたシェルフ

    ここまでコーポラティブハウスのメリットをご紹介しましたが、デメリットの把握も大切です。

    ご自身にとってメリットがどこまで価値のあるものなのか、デメリットを知ったうえで判断してみてください。

    売却しにくい

    コーポラティブハウスの中には、こだわりを詰め込みすぎた家もあります。

    そのためオーナー以外の住居者には間取りや生活様式がマッチせず、売り手がつかないことも少なくありません。

    しかし、これはよほど奇抜なデザインだった場合です。

    一般的な生活のしやすさや見た目を重視したコーポラティブハウスなら、買い手に困ることはあまりないでしょう。

    居住者が集まらないと計画できない

    コーポラティブハウスは、部屋数が埋まらないと計画がスタートできない場合があります。

    そのため自分の思い描いていた計画通りに進まないことに、ストレスを感じるかもしれません。

    しかしコーポラティブハウスのコーディネート業者によっては、人数が集まらなくても計画をスタートしてくれたり、埋まらない枠は分譲として売り出したりと、臨機応変に対応してくれる場合もあります。

    資金調達が難しい

    コーポラティブハウスは資金調達が難しいとされています。

    まず、通常の戸建や分譲マンションとは違い、コーポラティブハウスでは入居前に支払いが発生します。

    しかしまだ住宅が完成しておらず、これからどんなデザインになるのか、いくらデザイン費用がかかるのか未確定の状態では、住宅ローンも希望額では通りにくい傾向です。

    そのため、入居前の支払いは自己資金で補うか、「つなぎ融資」と呼ばれるシステムを使用するのが一般的です。

    あまりに奇抜すぎるデザインでは売り手がつかない可能性もあり、充分な担保として認められない可能性もあります。

    居住者同士のトラブルが発生する可能性

    コーポラティブハウスでは一緒に住む住人と、建築段階から計画を進めていきます。

    通常の戸建や分譲マンションとは違い、近い距離感を築けますが、その近い距離感ゆえにトラブルが発生する可能性も否定できません。

    また、計画段階で意見が食い違ったことで、入居後も気まずいまま……ということもあり得ます。

    距離感が一般的なご近所さんとは異なる場合が多いため、あらかじめ、どの程度の温度で付き合うのか、線引きをしておいた方が良いでしょう。

    コーポラティブハウス入居までの流れ

    ダイニング

    コーポラティブスハウスへの入居を決めてから、実際に住むまでの一般的な流れを把握しておきましょう。

    1. プロジェクトを探す
      希望する立地や条件のコーポラティブハウスの良いものが見つかれば、説明会に参加。応募をして建設組合の結成が完了します。
    2. ローンの申請
      通常の住居とは違い家が完成していないため、家の価値がわかりません。そのため、一般の住宅ローンは申請が難しいです。代わりに、工事が終わるまでの期間は「つなぎ融資」を申請します
    3. プロジェクト開始
      入居希望者が埋まったら建築家や設計士と直接やり取りをし、希望の間取りを計画します。
    4. 事務手続き開始
      工事・土地の取引などの事務手続きも中間業者を挟まず、自分たちで行います。
    5. 工事が無事終了後、入居可能
      また、入居までの間に、10回前後は居住者たちと集まって、建物の名称や管理に関することについて話し合いをします。

    これがコーポラティブハウス入居までの基本の流れです。

    デザインだけでなく交渉や申請もすべて自分たちで行うため、時間がかかります。

    しかしそのぶん、できあがったときの喜びもひとしおです。

    コーポラティブハウスに向いている人

    息子を肩車する父
    Photo by Kelli McClintock on Unsplash

    コーポラティブハウスは、ご近所と協力しながらひとつの住居を完成させていきます。

    そのためコミュニケーションが苦手な人や、自分の意見を言うのが得意でない人などは、完成までにストレスを感じてしまうかもしれません。

    それとは逆に、アクティブで意見をどんどん交換したい人や、人との関わりを断ちたくない人は、コーポラティブハウスに向いているといえます。

    また、費用を抑えてどこまでも家にこだわりたい人にもおすすめです。

    せっかく理想の家が完成しても、「やっぱり自分にはコーポラティブハウスは向いていなかった」と思うのは、非常に残念ですよね。

    自身がコーポラティブハウスの特性に向いているのか、きちんと見極めてから計画に移しましょう。

    コーポラティブハウスで楽しい毎日を

    家族で食事を楽しんでいる様子
    Photo by Tyson on Unsplash

    コーポラティブハウスは通常の住居とは違い、自分たちのこだわりをたくさん詰め込みつつ費用を抑えることができます。

    そのぶん、手間やご近所付き合いなどでデメリットが生じる場合もありますが、理想の住まいを理想の価格で手に入るのは何よりのメリットでしょう。

    家のこだわりを追求したい人は、ぜひ検討をしてみてください。