快適な暮らしを実現するために欠かせない「明かり取り窓」。
窓としての基本的な性能を持ち合わせているのはもちろん、特に採光計画で重要な役割を果たす窓です。
この記事では、注文住宅の家づくりで知っておきたい明かり取り窓の知識や種類、効果的な設置パターンを詳しく解説します。
目次
明かり取り窓とは?
自然光を取り入れることを「採光」と呼びますが、「明かり取り窓」は、建物の内部に採光を取り入れる目的で設置する窓のことです。
光が室内に差し込むことで明るさを確保でき、人工照明の使用削減による省エネや快適性の向上にも寄与します。
採光は建築基準法により、居室の床面積の7分の1以上の大きさの窓面積が必要と義務づけられているのもポイントです。
明かり取り窓を設置するメリット
明かり取り窓を設置することで得られるメリットを挙げてみましょう。
部屋が明るくなる
明るさを足したいお部屋や日光が入りにくい廊下など、高い位置に明かり取り窓を設けると、十分な光が差し込み空間を明るく演出できます。
開放感が生まれる
明かり取り窓を設置することで光や屋外の風景を室内に取り入れることができ、解放的な空間が生まれます。
自然光は人の心理的な健康や幸福感にも直接的な影響を与えるため、明かりにこだわることで心豊かな環境を作れるでしょう。
外観や内観にアクセントをつけられる
窓は家のアクセントにもなります。
窓枠のデザインやユニークな形状の窓を取り入れるとお住まいに個性が出ますし、屋外に面した明かり取り窓は、光や外の景色を取り込み、外観だけでなく内観のアクセントにも効果的です。
風通りがよくなる
開閉が出来る窓を明かり取り窓として取り入れれば窓の開閉によって風通りができ、お部屋の換気も可能に。
風が心地いい春や秋は、窓を開けておくことで明るさと風が室内に入り気持ちよく過ごせるでしょう。
明かり取り窓を設置するデメリット
明かり取り窓にはデメリットもあります。
窓設備を検討する上で注意が必要な点は以下のようになります。
プライバシーや防犯性への懸念がある
屋外に面している窓は、外から室内を覗かれないよう、窓の大きさや位置を十分検討する必要があります。
浴室やトイレ、洗面所、寝室など、プライベートな空間は特に注意し、空き巣などが出入りできない窓の大きさや種類を選び、必要に応じてカーテンやブラインドを設けましょう。
曇りガラスを採用するのも効果的です。
夏は暑さが増し断熱性が下がる
直射日光を取り込みやすい位置にある窓は、猛暑の夏に室内温度が上がります。
また、窓が増えるほどそれだけ断熱性能は下がるため、窓の数や大きさを決める時は断熱性能の優先度も考慮しましょう。
掃除がしにくい
高い位置に明かり取り窓を設置すると手が届きにくく、掃除がしにくいデメリットがあり、小まめなお手入れができなかったり、清掃会社に高所窓の清掃を依頼しなくてはいけないこともあります。
閉め忘れの心配がある
開閉式の明かり取り窓を換気のために開けておく場合、視線よりも高い場所であれば閉め忘れる可能性があります。
それにより防犯面の不安が出たり、雨が吹きこむこともあるため、外出時や夜間には十分な注意が必要です。
明かり取り窓の種類と設置事例
明かり取り窓には様々な窓の大きさ、種類があり、それぞれに目的や適した設置があります。
ここでは、設置事例と合わせて明かり取り窓をご紹介します。
明かりの欲しい場所に採光と装飾性を加える「FIX窓」
開閉のできない固定された窓である「FIX窓」は、開閉の必要がない場所に採光や装飾目的で設置するのが一般的で、設置場所や大きさも自由度が高いのが特徴です。
採光が良く、開閉しないことで防犯性が高まり、気密性が高いため冷暖房の効率がアップします。
リビングに明るさをプラスする「高窓」(ハイサイドライト)
目の高さよりも上の窓で、天井に近い位置に設置する「高窓」は、採光しやすく、外からの視線も入りにくいのでプライバシーも守られ、空間に開放感が増し換気にも最適です。
1階のリビングに明るさをプラスしたい場合には高窓を設けるとよいでしょう。
吹き抜けや屋根裏部屋を明るく照らす「天窓」(トップライト)
建物の屋根に設ける「天窓」は、天空からの光や風を取り入れられ、部屋全体を均一に明るく照らします。
このことから、吹き抜けに設置することも多く、広がりのある空間づくりに最適です。
天井にあることでプライバシーを確保できますが、光が眩しいこと、夏は室内が暑くなる点も理解しておきましょう。
障子付きで和室に適した「地窓」(ローサイドライト)
床に近い足元に設ける「地窓」は、和室に設けられることの多い明かり取り窓です。
FIX窓で固定する場合は障子付きにすることでプライバシーを守れ、開閉タイプにする場合は面格子を付ける、人が出入り出来ない大きさにするなどの防犯対策が必要でしょう。
ベーシックで万能に取り入れられる「引き違い窓」
2枚のサッシを左右に惹き違うように開閉する横長形状の「引き違い窓」は、最もベーシックで万能な窓タイプです。
開口を調節できるため解放感や風通しも好みに合わせられます。
リビングと庭、テラスを段差なく繋げる「掃き出し窓」
床から天井付近までの大きな窓タイプが「掃き出し窓」で、掃除の際に外にゴミを掃き出せる形状が特徴です。
床と窓枠がほぼ同じ高さで段差がなく、リビングから庭やテラスとの繋がりがスムーズなことから開放感も増します。
キッチンの通気に効果的な「上げ下げ窓」
上下方向に開閉する「上げ下げ窓」は、一般的に縦長の形状で通気しやすく、キッチンの換気にも効果的。
引き違い窓よりも気密性や断熱性能が高く、防犯性にも優れる窓タイプです。
インテリアにデザイン性をプラスする「スリット窓」
細長いスペースにはめ込む「スリット窓」は、玄関階段スペースなどに設けられることが多く、暗くなりがちな場所にプライバシーを守りながら採光を取れる窓です。
道路の面した壁面に複数設けるケースもあり、内観・外観にデザイン性もプラスできます。
風通り良く、欲しい明かりを取り入れられる「欄間用窓」
掃き出し窓などの上部から天井までのわずかな高さに設置する「欄間用窓」は、開口を広く取れることで風通りが良く、高所から採光が得られるため室内に自然な光を取り込めます。
室内ドアの上部に設置することもあり、廊下に面した窓からの明かりを室内に取り入れる場合にも効果的です。
明かり取り窓は方向や位置を十分検討することがポイント
季節や時間により光が差し込む方向や角度が変わるため、明かり取り窓の位置をよく検討することが大切です。
採光だけでなく、換気や防犯、プライバシーなど、様々な目的を満たす最適な明かり取り窓を設置できるよう設計者と相談しましょう。
明かり取り窓で快適な住空間のある家を造ろう
ここまで、明かり取り窓についての知識や種類、効果的な設置事例を解説致しました。
窓からの採光で明るさや開放感が得られるメリットと合わせ、プライバシーや防犯、換気等をふまえた広い視野で明かり取り窓を上手に設置しましょう。
安全で快適な窓を設ける家づくりの参考にしてください。