工務店やハウスメーカーの保証制度とは?保証内容や比較するポイント

工務店 保証のイメージ

    注文住宅で家を建てる場合、こだわりの家を建てた後も安心して暮らすために、家の劣化やトラブルへの対処についても考えておく必要があります。

    そのためには、家を建てる工務店やハウスメーカーの保証制度について把握しておくことが大切です。

    この記事では、工務店やハウスメーカーと契約する保証内容や、各社を比較するポイントを解説していきます。

    将来にわたって快適に過ごすためにも、ぜひ参考にしてください。

    工務店やハウスメーカーの保証制度とは

    家を建てる施工会社を選ぶ際、保証制度の中身をしっかり理解しないと「保証内容が思っていたものと違った」と後悔する可能性があります。

    ここでは、工務店やハウスメーカーの保証制度の基礎知識を解説します。

    工務店やハウスメーカーの保証の種類は2つ

    工務店とハウスメーカーが提示する長期保証とは、2種類の保証が組み合わさっています。

    下記の表の保証は、主に構造部分を対象としています。

    保証の種類期間の説明保証期間
    初期保証引き渡しから無料で保証してくれる期間(瑕疵担保責任)10年
    延長保証条件付きで保証期間を延長した場合の最長保証期間30・60年〜永年

    初期保証は、すべての工務店とハウスメーカーが保証するもので、法律で義務化されています。

    一方、延長保証は、請け負う会社によって期間や内容・料金が異なり、広告などで強調される各社のアピールポイントです。

    延長保証の条件となる定期点検サービスについても、施工会社によって無料・有料があります。

    5〜10年ごとに有料点検や修繕が条件になる場合もあります。

    初期保証以外は、それぞれ設定基準が細かくあるため、しっかり確認しましょう。

    これ以外の保証としては、給湯器やユニットバス、フローリングなどの住宅設備や建材の保証があります。

    これらは、設備専門メーカーでの保証対象となり、一般的な製品と同様、一定期間の保証があります。

    初期保証:新築住宅の瑕疵担保期間10年は義務

    新築住宅を建築した工務店やハウスメーカーに対して、住宅品格法という法律で義務化されている、10年間の瑕疵担保責任という保証があります。

    保証の対象となる場所をまとめると、以下の通りです。

    • 家を支えている基礎、壁、柱、床版、梁など
    • 雨水の侵入を防ぐ屋根、外壁、開口部など

    引き渡し時には発見できなかったとしても、構造耐力上の主要な部分や、雨水の侵入を防止する住宅の構造部に欠陥があった場合、10年間は無料で修繕してもらえます。

    一方、雨漏りで壁紙がはがれた場合は、構造耐力上の主要な部分ではないため、保証の対象になりません。

    延長保証:10年以降の保証は会社ごとに違う

    瑕疵担保期間10年以降は、工務店やハウスメーカーによって保証内容や期間が異なります。

    大手ハウスメーカーでは「60年保証」と長期保証を設定している場合もあります。

    延長保証の条件として多いのは数年ごとの定期点検サービスで、点検の料金が有料か無料かは施工会社によって異なります。

    また、点検の際に見つかった欠陥を有料で修繕することが保証対象としての条件ということもあるため、契約前に必ず確認しましょう。

    延長保証に含まれる保証内容は各社でさまざまですが、一般的な内容は以下の通りです。

    • 構造部(基礎、柱、屋根など建物の主要部分)
    • 雨漏り
    • 防火性能
    • 地盤保証
    • 耐震保証
    • 設備機器保証
    • シロアリ駆除

    工務店やハウスメーカーによっては、建具や内装の保証を含めることもあります。

    このような定期点検や小さな修繕を繰り返すことは、大きな修繕を防ぐことにつながるため、家を長持ちさせる効果が期待できます。

    施工会社が倒産しても最低10年間は保証

    万が一、施工会社が倒産することがあっても、瑕疵担保期間10年については保証が継続されます。

    法律により施工会社の「保証金の供託」や「保険への加入」が義務づけられているためです。

    家を建てた人が保証を確実に受けられるような仕組みが整っているため、安心して家づくりを進めましょう。

    工務店やハウスメーカーの保証の違い

    ここでは、工務店とハウスメーカーの保証の特徴や違いを解説します。

    工務店の特徴

    工務店の保証内容は、会社の規模によって異なります。

    工務店は地域密着型であることが多く、困ったときの対応の速さが特徴です。

    家づくりの最初の打ち合わせからアフターサービスまでを同じ担当者であることも多いため、相談しやすかったり、トラブルが発生したときにすぐに対応してもらえたりするメリットがあります。

    また、専門性の高い工務店で耐震構法SE構法の住宅を建てれば、初期保証と延長保証を合わせて20年間、品質保証が受けられます。

    大手ハウスメーカーの特徴

    大手ハウスメーカーの多くは、初期保証後に長期間の延長保証を設定しています。

    保証内容も充実していて、安心感を得られます。

    しかし、一般的に工務店と比べると、定期点検サービスや修繕費用が高いことが多いようです。

    なぜなら、修繕の内容が保証内でも保証外でも下請け会社が請け負うため、マージンが発生するからです。

    さらに、大手ハウスメーカーは担当部門が細分化されており、定期点検や修繕工事については、家づくりの担当者とは別の担当者になるケースもあります。

    ローコスト住宅メーカーの特徴

    ローコスト住宅メーカーは、大手ハウスメーカーよりも建築費用が安く済むメリットがあります。

    一方、保証内容は大手ハウスメーカーよりも項目が少ない場合もあり、保証期間もやや短く、30年程度が一般的です。

    しかし、大手ハウスメーカー同様、保証内容は各社で異なるため、しっかり確認しましょう。

    工務店やハウスメーカーの保証を比較するポイント

    ここでは、工務店やハウスメーカーの保証を比較するポイントを解説します。

    基本保証を比較する

    初期保証の瑕疵担保責任により10年間は、構造耐力上の主要な部分や、雨水の侵入を防止する住宅の構造部の欠陥を保証されています。

    それとは別の基準で、施工会社ごとに基本保証が設定されているため、内容を確認しておきましょう。

    例えば、ある大手ハウスメーカーでは、初期保証10年と延長保証60年のうち、構造や雨漏り関連は30年間の点検・修繕共に無料としています。

    他のハウスメーカーでは、有料点検を条件として、地盤の保証を永年としています。

    このように、施工会社によって基本保証の内容は異なるため、注意して比較しましょう。

    延長保証と延長条件を比較する

    延長保証と延長条件も、各社ごとに大きく異なります。

    シロアリ駆除、耐震保証、地盤保証、設備機器保証などを採用しているメーカーもあります。

    延長条件の多くは、定期点検サービスと、有料での修繕工事であることが多く、中には延長条件を満たすごとに保証期間を延長する制度を採用している場合もあります。

    修繕には毎回費用がかかることを考慮し、自分の家にどの程度の保証が必要かを検討しましょう。

    定期点検サービスを比較する

    延長条件となる定期点検サービスは、点検するタイミングは施工会社によってさまざまです。

    また、一律に有料・無料とする会社もあれば、一定期間は無料で、後に有料に変更する会社もあります。

    定期点検サービスのメリットは、工務店やハウスメーカーから「点検のお知らせ」を発信してくれるため、忘れずにメンテナンスできることです。

    一方、自分で点検スケジュールを管理し、有料の定期点検を申し込み、実施する方法もあります。

    その場合、定期点検期間を自分でコントロールでき、費用を節約できるメリットがあります。

    それぞれのメリットがあるため、検討してみましょう。

    工務店の長期保証はフットワークの良さが魅力

    ここまで、工務店やハウスメーカーと契約する保証内容や、各社を比較するポイントを解説してきました。

    保証制度を考える際、大切なことは何を優先するのかです。

    保証期間の長さなのか、費用を抑えたいのか、それともトラブルに早く対処してほしいのかなど、さまざまな基準や考え方があります。

    注文住宅の場合、地元密着型の工務店に設計をお願いすると、間取りやスケジュールに融通が利きやすく、建築後の相談もしやすいといったメリットがあります。

    アフターサービスまで一貫して同じチームが担当してくれるため、安心して家づくりができるでしょう。