【2023年版】ウッドショックは今後どうなる?住宅の買い時を探るポイントを解説

ウッドショックのイメージ

    マイホームの購入はタイミングがポイントだと言われますが、コロナ禍の影響から起こったウッドショックにより、住宅の価格が高騰しました。

    新築戸建ての購入を希望されている方にとっては今後の見通し、いつまでウッドショックが続くのか気になることでしょう。

    この記事では、ウッドショックが起こった原因から今後の動向を考察し、住宅購入のタイミングについての見解を説明します。

    ウッドショックとは?

    「ウッドショック」とは、コロナ禍で木材の価格が高騰した状態のこと。

    1970年代に起こった「オイルショック」になぞらえ作られた用語で、日本では2021年3月ごろから表面化してきたと言われています。

    ウッドショックが起こった4つの主な原因

    木材の価格が高騰したのはコロナ禍がきっかけですが、その中でどのような状況に陥り、何が変化してウッドショックが起こったのか、4つの主な原因について見ていきましょう

    コロナ禍の輸出制限

    コロナ禍で、世界各地の都市や港のロックダウン、外出規制から経済活動が停滞したのは記憶に新しいこと。

    コロナウィルス蔓延を防止するために輸送コンテナの取り扱いが減少し、木材のグローバルサプライチェーンに供給不足を招いたのです。

    住宅の建築などに使われる木材の7割弱が輸入材である日本にとっては大きすぎる痛手であり、輸入材と原木の供給量が大きく減ったことから価格が高騰し、納期も予測不可能となって大きな混乱が生じました。

    アメリカの超金利政策と住宅ブーム

    世界的に木材の供給不足が起こる中、木材の需要を加速させたのは、アメリカの超金利政策による住宅ブーム。

    コロナ禍でステイホームが進んだことから住宅ローン金利の引き下げが行われ、自宅をリフォームしたり郊外の戸建て住宅へ移住する人が増加。

    住宅市場が好調に推移したことからアメリカの木材需要が高まりました。

    ロシアの軍事侵攻による影響

    ウッドショックに追い打ちをかけたのはロシアのウクライナ侵攻です。

    世界全体の木材輸出量の21%を占める「森林資源大国」ロシアへの経済制裁により木材の輸入が難しくなりました。

    また、ウクライナも木材輸出国でしたが、開戦となったことで両国からの木材供給は停滞状態に。

    現在も続く戦況から、早期に終戦し経済制裁が解除される可能性は低いでしょう。

    山火事被害による森林の減少

    温暖化の影響や気候変動、異常気象により世界各国で熱波の被害や山火事、洪水が多発しています。

    2020年8月にカリフォルニア州で落雷により発生した火災は1か月以上も燃え続け、約1万2700平方キロメートル以上という過去最大の焼失面積を記録しました。

    これは東京都の5.8倍の面積に匹敵します。

    その後もオーストラリアやギリシャ、スペインで大規模な山火事が発生するなど、世界の森林は減少していて、木材の供給にも影響を及ぼしている現状です。

    ウッドショックによる影響

    ウッドショックが起こった原因は、新型コロナウイルスや世界情勢に関連するさまざまな要因が重なったことです。

    それにより状況が悪化して木材供給が滞り、世界中で木材の取り合い状態が発生したことで木材価格が高騰しました。

    そこで生じた影響について詳しく解説しましょう。

    世界の木材需要が急増

    新型コロナウイルスによる経済の停滞が再開してからもロシア・ウクライナからの材木供給は停滞したまま。

    山火事や虫害による原料不足、コロナ禍で休業を余儀なくされ労働者が減り、伐採が思うようにいかない製材工場の稼働率は下がっています。

    このような要因から世界的な木材の需給が逼迫する中、アメリカ、そして世界最大の木材輸入国である中国の新築需要の増加により木材需要が急増しました。

    住宅価格の高騰

    2021年における日本の木材自給率は41.1%で、アメリカやカナダ、インドネシアやマレーシア、欧州など他国からの輸入材に頼っています。

    輸入材の高騰や建築資材の慢性的な不足が国産材の価格上昇も招き、新築戸建ての住宅価格も高騰しました。

    また、注視すべき点は木材価格だけでなく、材料費や燃料費も高騰していること、さらには住宅ローンの長期金利が上昇していることであり、結果的に住宅購入にかかる費用に影響を及ぼしています。

    国産材による注文住宅が再注目

    ウッドショックの影響を大きく受けているのは、海外の安価な輸入材に頼ってきた「ローコスト」を標榜する住宅メーカーや、建売住宅のメーカーです。

    一方、国産材を使用する注文住宅であればその影響は少なく、国産材を使用する住宅には、国土交通省が行う「地域型住宅グリーン化事業」の補助金制度を利用することもでき、長期優良住宅を建てると最大110万円の補助金を受けられます。

    このことから、国産材による注文住宅が再注目されるようになりました。

    ウッドショックは2023年以降も続くのか?

    住宅購入を検討されている方は、ウッドショックが2023年以降も続くのか、今後の見通しが気になることでしょう。

    これにはさまざまな見解があり、先行きは不透明というのが現状。

    それには以下のような懸念材料が挙げられます。

    輸入木材の価格は2021年頃をピークに下落傾向

    木材や木製品の輸入平均単価は2021年末頃をピークに少しずつ輸入価格の下落傾向が見られ、当面はこの状態が続くと見られています。

    2020年と比較すると高値ではありますが、高止まりしているのは事実。

    農林水産省の「木材流通統計調査」によると、国産材の価格も徐々に下落傾向とのことですが、国内林業は労働力不足により市場価格を維持できず、国産材の供給を増やすことが難しいという課題があります。

    物価上昇は続く見通し

    コロナ禍がきっかけで世界中で物価が上昇し家計を圧迫しています。

    食料価格や生活用品、ガソリン代など相対的な価格高騰で厳しい生活を強いられている方もいることでしょう。

    この流れは建築資材にも影響し、今後も物価上昇は続くと考えられています。

    住宅価格はさらに上昇する可能性もある

    木材住宅の価格で木材の占める割合は住宅価格全体の約一割とされ、木材だけで住宅価格が決まるわけではありません。

    基礎や屋根、壁、内外装の仕上材のほか、電気や空調、給排水の設備も加わり構成されています。

    そのため、木材の価格が高止まりしても建築資材の価格高騰が続けば住宅価格がさらに上昇する可能性もあるでしょう。

    住宅購入は自分のタイミングで決めるのがベスト!

    ここまで、ウッドショックが起こった原因やそれによる影響、今後の見通しを解説しました。

    木材価格は高止まりしたものの、コロナ禍前より高値であるため新築戸建ての住宅価格は上昇しています。

    今後も一定期間ウッドショックとその影響は続くと見られ、世界情勢によっても事態の変動が考えられるため、住宅購入を検討されている方はご自身のベストなタイミングで購入されるのが賢明です。

    住宅ローンを組む期間を考慮して購入時期を検討されるのがよいでしょう。