中庭のある家を建てたいけれど、どのような間取りがベストなのかお悩みではありませんか?
中庭がある暮らしは日常に彩りを与えますが、なんとなく間取りを計画してしまうと後悔することも。
今回は、中庭の種類別のメリット・デメリット、後悔しない中庭作りのポイントなど詳しく解説します。
中庭の間取りで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
中庭の特徴
中庭とは、建物の内側に設けた壁で囲んだ、屋根がない空間のことです。
広さの目安としては、4~6畳であれば快適に過ごせます。
活用の幅は、広さによって多種多様である点が特徴です。
- テーブルセットを置いて、セカンドリビングとして活用
- ガーデニング、家庭菜園など趣味のスペース
- 二世帯住宅で活きる、つなぎの空間
中庭のメリット
中庭のメリットは活用の幅が広いだけでなく、以下3つのメリットがあります。
採光や通風に優れている
中庭のメリットは、密集した住宅街でも、家の向きや広さに関係なく採光や通風を取り入れられる点です。
日本の住宅は一般的に、南側に窓を設置して採光を取る設計が多いため、北向きの部屋は自然光が届きにくいことがあります。
しかし、中庭に面して南向きの窓を設置すれば、庭から採光を取り込めます。
さらに中庭の窓を活かせば風の通り道が増えるため、手軽に換気することが可能です。
プライバシーを確保できる
中庭は開口部が外から視界を遮る間取りであるため、周囲の視線は気にならず、プライバシーが確保できます。
隣家との距離が近い都心部や人通りが多い道路に面している住宅であれば、中庭を作ることで安心できる住まいが実現します。
開放感があり、家の中でも自然を感じられる
中庭のある間取りは庭に面する部屋が多いため、家のどこにいても外との距離感が近く、自然を身近に感じられて開放感があります。
例えば、中庭で子どもを遊ばせる、バーベキューや読書、ヨガなど、庭のある生活を日常に取り入れれば、暮らしの幅が広がるでしょう。
自然を取り入れた開放感のある空間があることで、家族が憩う場やおもてなしの演出につながります。
中庭のデメリット
中庭は豊かな暮らしにつながるメリットがある反面、デメリットもあります。
デメリットを理解していないと、「想像と違った」「生活しにくい」と後悔する可能性もあるため、必ず知っておきましょう。
コストがかかる
中庭のある家のデメリットは、建てるときや、建てた後にコストがかかることです。
建材費
同じ坪数であっても中庭を作る場合、外壁の面積や角の処理が増えるため、建材費や工事費用がかかります。
内訳は、中庭の照明や排水設備、窓ガラスのサッシや壁の補強などがあります。
メンテナンス費
中庭を作った後は、メンテナンス費がかかります。
設備などは、耐久性が約20~30年ある素材を選びましょう。
- 外壁の塗り替え
- ウッドデッキの塗り替え
- シンボルツリーの剪定
- 排水口の掃除
生活スペースが減る
中庭は密集した住宅地で効果を発揮しますが、その分居住空間が減ります。
限られた土地の中に建物と庭を作るため、リビングや寝室など、理想的な広さを諦めることになる可能性も。
対策として、中庭の目的をセカンドリビングとして活用することを考えましょう。
そうすれば、中庭の面積を含めたリビングの広さを確保できるため、スペースの割り振りがしやすくなるからです。
断熱性、耐震力が落ちる可能性がある
中庭の開放感を演出するためには、必然的に窓が多くなるでしょう。
その場合、断熱性に特化した窓ガラスでないと冷暖房の効き目が落ちて、光熱費が高くなります。
さらに、壁が少ないため耐震性も低くなる恐れもあり、耐力壁を設置するなど工夫が必要です。
熱や湿気がこもりやすい
中庭は建物に囲まれているため、計画的に設計しないと熱や湿気がこもりやすくなります。
例えば、中庭に室外機を設置していれば暖気がこもり、水はけが悪いと雨が降ったときは湿気により設備の劣化スピードが早まる可能性もあります。
中庭の間取りの種類
中庭のメリットを活かすには、最適な間取りプランニングを選択することです。
ここからは、中庭の間取り3種類のメリット・デメリットをご紹介します。
ロの字型
中庭の周りをすべて壁で囲み、外部と接しないタイプの庭です。
メリット | デメリット |
---|---|
・完全なプライベート空間が作れる ・防犯面に優れている ・デザイン性が高く、モダン建築で人気が高い | ・敷地にある程度余裕がなければ作れない ・水はけ対策しないとカビや苔が生えやすい ・3種類の中で1番コストがかかる |
コの字型
建物の壁がコの字になっており、3方が囲まれたタイプの庭です。
メリット | デメリット |
---|---|
・敷地面積をあまり必要としない ・一部が外に面しているため、広々とした庭が作れる ・光を取り込みやすく、開放感を演出しやすい | ・防犯面ではロの字型に劣る |
L字型
2辺が建物に接しているタイプの庭。
建物を「L」の形に建てて中庭を作るイメージです。
メリット | デメリット |
---|---|
・開放的な雰囲気が演出できる ・他の2種類と比べて間取りの自由度が高い ・敷地面積が狭い場合でも庭を作れる | ・外からの視線が気になりやすく、プライバシー性は劣る ・デザインや配置によっては、一般的な庭と変わらない場合もある |
後悔しない中庭作りのポイント
上記の種類別のメリット・デメリットを理解した上で、ここからは後悔しない中庭作りのポイントを5つ紹介していきましょう。
生活動線を考慮する
中庭の間取りを決めるときは、生活動線をイメージしたプランニングが重要です。
ポイントは、「パブリックスペース」「プライベートスペース」「収納・水回り」と3つに分けて考えることです。
例えば、家事動線を一直線に配置すれば、効率の良い間取りを実現します。
また、玄関周囲をパブリックスペースにすれば、プライベートな空間と分けられるので、来客時も快適に過ごせます。
中庭の間取りは、生活動線を整えれば快適な暮らしにつながるでしょう。
窓の種類・大きさ・配置を考慮する
中庭作りは窓選びや配置も大切です。
窓の種類や大きさ、配置、数などは、中庭のメリット・デメリットに大きく関わるからです。
ペアガラスや樹脂製のサッシを選んで断熱性を高める、採光を目的とした窓を上部に設置するなど、中庭のメリットを活かした窓選びや配置を工夫しましょう。
排水設備・電気設備を整える
中庭作りは、間取り以外に設備にも目を配りましょう。
特に、排水設備は中庭を維持するために必要であり、電気設備は中庭の過ごし方に大きく影響します。
例えば、台風や大雨の際は、中庭に雨水がたまります。
排水設備がなければ、コケやカビの原因になり、最悪の場合屋内に浸水する恐れがあるでしょう。
また、電気設備があれば、中庭でホットプレートが使えたり、高圧洗浄機も使えたりして用途の幅も広がります。
周辺や隣家の距離感を確認する
中庭を検討する前に、必ず周辺の立地や隣家との距離感を確認しましょう。
メリットである「採光・通風がとれる」「プライベート感がある」に大きく関わります。
隣の建物で遮られていないか、隣家の高さ、視線はどのあたりまで入るのかなど明確にしておけば、間取りをスムーズに検討できます。
手間とコストを抑える工夫をする
中庭作りはコストがかかり、メンテナンスも必要です。
メンテナンスの手間とコストを抑える工夫をすれば中庭作りのハードルが下がるでしょう。
下記はその一例なので参考にしてください。
- 人工芝を敷いてコストを抑える
- ウッドデッキやタイル、砂利を敷いて雑草が生えにくくする
- シンボルツリーは落ち葉が少ない樹種を選ぶ
中庭がある理想の暮らしをイメージして間取りを考えよう
中庭は、密集した住宅街でも適度に採光や通風を取り入れられ、開放的かつプライベート空間を実現できます。
しかし、間取り次第で快適な暮らしにつながるか、生活しにくい家になるかを大きく左右してしまいます。
自由度が高い注文住宅であれば、土地に合わせて理想の間取りが設計でき、施工までしてくれるので安心です。
後悔しないポイントを押さえて、中庭のある家作りを検討してくださいね。