住宅を購入する際、住宅ローンを利用して頭金を支払うのが一般的です。
しかし「頭金はいくら準備すればいいのか」「頭金準備中は何に気をつければいいのか」など疑問が出てくるもの。
この記事では頭金の目安額や決めるときの注意点、準備するときのポイントを紹介します。
頭金の基礎知識を知って、資金計画に役立ててください。
目次
そもそも頭金とは
頭金とは、住宅価格から住宅ローン借入額を差し引いた金額のことです。
例えば、4,000万円の住宅に対してローン借入額が3,500万円の場合、頭金は500万円の計算になります。
つまり頭金とは、ローン借入額を除いた自己資金であり、一般的には預貯金や親族からの贈与で手配する場合が多いでしょう。
住宅購入の際には、不動産登記費用や住宅ローン手数料などの諸費用がかかりますが、頭金はこれらを含めません。
あくまでも住宅価格分に充当できる部分と考えます。
支払うタイミングは先払いが基本であり、売買契約から引き渡しまでの間に支払います。
頭金はいくら必要?
頭金の一般的な目安は、住宅価格に対して1~2割程度といわれています。
頭金は必ずしも用意するものではないので、金額に決まりもありません。
しかし、国土交通省による「令和3年度 住宅市場動向調査」の資料には、注文住宅で土地から購入した場合23.5%の自己資金比率が報告されています。
さらに令和元年の「フラット35」の注文住宅の利用者は、自己資金618万円で建設費の17.5%というデータもあります。
頭金を支払うメリット
頭金を払えば、毎月の返済額を抑えられます。
しかし、それ以外にも以下3点のメリットがあります。
借入額が少なくなり、借入期間も短くできる
頭金を支払えば住宅ローンの借入額も減るため、支払う総合計額が少なくなります。
さらに想定していた返済額を変えずに借入期間を短くできるので、その分金利の負担が抑えられる点もメリットです。
下記の表を参考に見ると、頭金の有無で総合計の額も大きく変わることがわかります。
頭金額 | 借入額 | 住宅ローン合計返済額 | 頭金あわせた総合計 |
---|---|---|---|
頭金なし | 3,500万円 | 約4,657万円 | 約4,657万円 |
1割:350万円 | 3,150万円 | 約4,191万円 | 約4,541万円 |
2割:700万円 | 2,800万円 | 約3,726万円 | 約4,426万円 |
金利優遇や住宅ローン審査に通りやすくなる
頭金を支払えば、金利の低い住宅ローンが利用できます。
例えば「フラット35」は、最長35年間金利が固定される住宅ローンです。
「借入期間20年以下」「借入期間21年以上」「融資率9割以下」「融資率9割超」で金利が異なる点が特徴です。
借入期間の長さや借入額で金利が優遇されるので、頭金を支払うメリットといえます。
また、融資率も低いほど住宅ローンの審査も通りやすくなるのです。
売却や借換の手続きがスムーズになる
将来的に売却する際、頭金の支払いがメリットになることもあります。
物件価格よりも住宅ローンの残高が多く残っている場合は、売却するには預貯金で補填しなくてはいけません。
また、住宅ローンの借換をしたくても金融機関に断られることもあります。
しかし、頭金を支払っていれば借入額が減りローン残高も少なくなるので、後のリスクを抑えられるでしょう。
頭金の金額を決めるときの注意点
ここでは、頭金の金額を決めるときの注意点を4つ解説します。
ライフプランを立てる
頭金を決めるときは、必ずライフプランを立てましょう。
次の大きな出費がいつ頃でいくら必要かなど目安が把握できて、無理のない頭金額を割り出せるためです。
例えば、お子様の教育費やマイカーの買い替え、老後の資金など、今後のライフイベントに出費はつきもの。
ライフプランを立てながら大まかな時期と金額を予測しておけば、頭金の金額を決めるのに役立ちます。
住宅購入の追加費用も視野に入れる
実は盲点なのが、住宅購入の追加費用です。
住宅購入を機に家電や家具を買い替えたり、場合によっては住宅設備のグレードを上げたりなどが想定されます。
住宅ローン借入後に不足分を追加で借り入れることはできません。
追加費用も視野に入れつつ、どのように工面するか考えた上で頭金を確保しましょう。
手元の資金を残しておく
頭金を準備することは大切とはいえ、万が一のためにある程度の資金は手元に残しておきましょう。
ケガや病気のリスクに備えておけば住宅購入後の生活にもゆとりが生まれます。
最低でも生活費の6ヵ月~1年分残しておけば安心できるでしょう。
諸経費分も考慮する
住宅購入の際にかかる諸費用の支払いは、現金一括が基本です。
住宅価格の頭金とは別に現金が必要であることも考えておきましょう。
下記が諸費用の一例です。
- 住宅ローン手数料
- 不動産会社へ払う仲介手数料、登記費用、印紙代
- 設計料
- 各種保険料など
諸費用がいくらかかるのかを把握しておけば、頭金の金額を決める参考になります。
頭金を準備する期間に気をつけること
頭金は多いほどメリットも大きく、月々の家計の負担が減ります。
しかし、頭金を用意することは一般的とはいえ、住宅購入のすべてを左右するわけではありません。
下記では準備期間に気をつけること3点を解説します。
準備に時間をかけすぎない
頭金を貯める期間中、多くの人は賃貸住宅に住むことになるでしょう。
しかし、目標の金額になるまで時間をかけすぎるとデメリットになる場合もあります。
主な理由は以下の2点です。
- 準備期間中に金利が上がる可能性がある
- 購入の機会を逃す
現在は超低金利だからこそ、将来的に物件価格や住宅ローンの金利が上がる可能性があります。
さらに家賃の高い賃貸に住む期間が長いほど家賃料の負担は増えて、かえって生涯の住居費が増えてしまう場合も。
また、頭金にこだわりすぎると購入意欲がなくなり、住宅購入のタイミングを逃してしまうことにもつながります。
繰り上げ返済を視野に入れる
頭金確保に重きをおくのも大切ですが、購入後の繰り上げ返済を活用して住宅を購入することも視野に入れましょう。
繰り上げ返済ができれば、総合計額の軽減や返済期間の短縮が見込まれるためです。
例えば、頭金500万円を目標に準備するのではなく、15年後に500万円を繰り上げて返済することを目標としてください。
毎月の返済額に貯蓄額を用意する必要はありますが、繰り上げ返済額を減らしたり、返済時期を変更したりすることも可能。
どちらの場合が適しているか、専門家に相談してみましょう。
借入のタイミングを考慮する
頭金の準備期間中は、借入のタイミングもあわせて考えましょう。
理由は「住宅ローンの借入期間は最長35年」であり「完済時の年齢は80歳未満」という条件があるためです。
例えば、申込み時の年齢が44歳以上だと最長の35年ローンは組めません。
また住宅ローンを組む時期が遅れると返済完了が退職後に流れ込むことも。
ローンが組める条件は年齢・年数が大きく関わってくるので、将来を見据えた上で借入のタイミングを検討しましょう。
頭金はライフプランに合わせた無理のない資金計画が大切
頭金を用意しておけば、生涯における住宅費の総合計を減らす効果が期待できます。
しかし、頭金を支払いすぎて生活予備資金が工面できず、急な出費にも対応できなければ元も子もありません。
頭金を用意する場合は、将来を見据えてライフプランを考えて、無理のない範囲で資金計画を立ててくださいね。
不安であれば専門家に相談することをおすすめします。
このことから、頭金を準備しておけばメリットがあり、相場は住宅価格20%前後が一般的といえるでしょう。