最近の光熱費の上昇により「省エネに暮らしたい」と、願う方は多いのではないでしょうか。
実は住宅設備の中で、光熱費の削減に一役かっているアイテムが「トリプルガラス」です。
「普通の窓との違いは?」「窓を変えるだけで何が変わるの?」と、疑問を感じますよね。
ここではトリプルガラスの魅力について紹介します。
エコな暮らしに直結するアイテムなので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも窓の役割とは
窓の役割には、下記があげられます。
- 風を取り入れる
- 熱の流入を防ぐ(断熱)
- 自然の光を取りいれる
- 空間つくり
快適に暮らすには、窓の性能を考える必要があります。
窓は「障子」と「枠」でできています。
障子とはガラスが入っている部分。
枠はガラスを覆っている部分で、サッシと呼ばれています。
それぞれ種類があるので、解説していきますね。
窓ガラスの種類
窓ガラスには、大きく分けて3つの種類があります。
単板ガラス
単板ガラスは、名前の通りガラス1枚のこと。
昔ながらの住宅に使われています。
価格も安く加工がしやすい点がメリットですが、近年は単板ガラスを選ぶ人はほぼいません。
なぜならガラス1枚では外気の温度の影響を受けやすく、暖房費がかかるからです。
今の時代には合わないといえるでしょう。
ペアガラス
ペアガラスは、ガラス2枚構造でつくられています。
ガラスの間に隙間があり、その空間に断熱性を高める空気やガスが入っているものもあります。
中の空気層が厚いほど断熱性が高まる構造です。
2000年代から徐々に普及しており、今では一般的な住宅に取り入れられています。
トリプルガラス
トリプルガラスとは3枚のガラスを使い、ガラスの間に2層の空間がある窓ガラスのこと。
厚さは正面から見ると一見わかりにくい構造です。
ペアガラスに1枚追加しただけですが、断熱効果はペアガラスの約4倍もあるといわれています。
近年SDGsの流れから、住宅やオフィス、病院などにもトリプルガラスが使用される傾向にあります。
仕組みに関しては後で詳しく解説します。
サッシの種類
![吹抜けの窓](http://timberyard.net/cozylife/wp-content/uploads/2022/08/565-2.jpg)
窓のサッシの種類でも効果が変わります。
下記は主なサッシの種類です。
アルミ
アルミサッシは軽くて強度があり、サビに強いことが特徴。耐久性にも優れています。
しかし、熱伝導率が高いので断熱性はありません。
昔はコンクリートの建造物はスチール、木造住宅は木製のサッシが主流でした。
しかし1960年代後半からアルミサッシが一気に普及し、今日に至っています。
樹脂サッシ
樹脂サッシは枠全体がプラスチックでできていて、熱伝導率が低いのが特徴。
アルミの1000分の1の熱伝導率だといわれています。
断熱性が高く結露が発生しにくく衛生的で、近年注目されているサッシです。
高価ですが、将来的なランニングコストを抑えられます。
アルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシは屋外側にアルミ、室内側に樹脂を使用したサッシのことです。
アルミのデメリットである断熱性の低さを樹脂が補う形でつくられており、現在主流のサッシです。
アルミ<アルミ樹脂複合サッシ<樹脂サッシ
樹脂サッシはアルミサッシの約1000倍の断熱性があります。
トリプルガラスの仕組みは?
トリプルガラスは3枚のガラスを使用し、その2層の間(中空層)に空気やガスを封入して断熱効果を高めています。
中空層の厚みや封入する気体の種類、構成するガラスの種類によって効果が変わります。
ここでは中空層に封入する主な気体や、特殊な加工について紹介します。
アルゴンガス・クリプトンガスを封入
トリプルガラスに用いられているガスは主にアルゴンガス、クリプトンガスの2種類があります。
これらのガスは不燃性であり、空気に比べて熱伝導を約30%抑えることが可能です。
さらに密閉することにより高い断熱効果が期待できます。
真空タイプ
真空は微量な分子しか存在しない状態です。
空気がないので熱伝導がゼロに近く、熱の移動も起こりません。
真空タイプは高価ですが、強力な断熱効果が期待されています。
Low-Eガラス
Low-Eガラスは特殊な金属(酸化錫、銀など)を貼った膜でガラスをコーティングし、遠赤外線を反射しやすくする仕様です。
![](http://timberyard.net/cozylife/wp-content/uploads/2021/03/cova.png)
Low-Eガラスを用いてトリプルガラス仕様を選択すれば、より断熱性が高まります。
トリプルガラスのメリット
トリプルガラスはエコな暮らしに直結するアイテムです。
主なメリットは4点あります。
1:断熱効果が高い
トリプルガラスの一番のメリットは断熱効果が高い点です。
エアコンの快適な空気も逃げないため、冷暖房費を抑えられ、室内温度を快適に保てるのです。外気は壁や窓を伝って室内に入り込みます。
壁の断熱性をよいものに選んでも、窓の性能がよくないと熱が逃げやすくなるでしょう。
窓に断熱効果があることは、省エネに暮らす一歩でもあります。
2:結露がつきにくい
外からの冷気も抑えられるトリプルガラス。
窓が冷たくならないので室内との温度差も生じにくく、結露が発生しにくい効果があります。
こまめに掃除する必要もないのでカビやダニの発生も防ぎ、衛生的にもよいでしょう。
3:防犯性が高い
トリプルガラスは防犯面でも効果を発揮します。
泥棒の侵入経路は戸建住宅の場合、65%が窓ガラスを破って侵入、25%は窓の無じまりという調査結果があります。
しかし5分以内に侵入できなければ約7割が断念するというデータもあります。
トリプルガラスにすれば防犯面はより強化されるでしょう。
4:遮音性・防音性
外からの騒音や家の中から生じる生活音を気にしないで暮らすことは、快適な暮らしに必要な要素でしょう。
トリプルガラスは厚みもあることから、遮音性・防音性に優れています。
住宅が密接している地域の家で使うと、プライベート空間が確保されるため、安心できますね。
トリプルガラスのデメリット
トリプルガラスには3点デメリットもあります。
デメリットも理解しつつ、あなたにとってどんな窓が必要かを検討する材料にしてください。
1:価格が高い
トリプルガラスは高性能な分、高価格です。
なぜならアルゴンガス・クリプトンガスが希少性の高いガスだからです。
またガラスの枚数が多いことも関係しています。
予算に余裕がない方は、必要性の高い場所だけトリプルガラスを採用しましょう。
![](http://timberyard.net/cozylife/wp-content/uploads/2021/03/cova.png)
価格は高いですが、光熱費の軽減や住み心地など、長期的な目線で考えることをオススメします。
2:厚みがあって重い
トリプルガラスは厚みをもたせて強度を保っているため重量があります。
しかし最新のものは、さまざまな工夫やサッシの組み合わせがあり、デメリットが解消されつつあります。
ぜひモデルルームで実際触って体感してみてください。
3:窓枠・サッシが制限される
リフォームでトリプルガラスを検討されている方は、施工の工夫が必要です。
窓の幅やサッシの種類、重量によっては簡単な工事が必要な場合があるからです。
さまざまな種類があるので、検討する際は業者に相談してみましょう。
なぜトリプルガラスが選ばれるのか
省エネ政策で後れを取っている日本。
国は省エネ政策として「2050年脱炭素社会実現」「2030年温室効果ガス46%排出削減」をかかげています。
そして最も高い目標設定をされているのが「家庭部門」です。
家庭での二酸化炭素排出量削減には、トリプルガラスの採用が最も効果的とされています。
脱炭素による再生可能エネルギー発電コスト(各家庭での光熱費)は、『2020年1キロワット時あたりの平均発電コスト8.9円が、2050年には19.2円と、2倍越えに上昇する』といわれています。
2021年6月30日 日経より
これは家庭での光熱費の上昇は、二酸化炭素の上昇にもつながるということを表しています。
少ないエネルギーで快適な生活ができる住まいつくりは、家の断熱性が一番重要なのです。
現在約7割もの住宅で使用されている単板ガラスをトリプルガラスに変えるだけで、熱流出を約80%も抑えられるともいわれています。
日本の住宅は窓の省エネに関する義務基準はなく、あるのは推奨基準のみです。
環境意識の高い欧州などからは大きく後れを取っています。
トリプルガラスのメリットは断熱効果で「冷暖房費(光熱費)の削減」できる点です。
つまりトリプルガラスを取り入れれば、少しでも脱炭素社会に貢献できるのです。
トリプルガラスを取り入れてエコな暮らしを実現しよう
![窓辺に置かれた植物](http://timberyard.net/cozylife/wp-content/uploads/2022/08/565-3.jpg)
トリプルガラスを選択するメリットには、結露防止などの身近なこともあれば、これからの環境を考えたSDGsへ貢献できることもあります。
たかが窓ですが、されど窓。
窓の性能は住宅の性能に直結します。
窓で家族の快適な空間と環境面も考えるなら、トリプルガラスは今の時代に適した窓だといえるでしょう。
ランニングコストを考えた上で、ぜひ検討してみてください。