通常ガラスとの違いは?窓の防犯対策「防犯ガラス」の特徴とメリットを解説

    通常のガラスと防犯ガラスの違いについて知っている人はどれくらいいるでしょうか。

    多くの人が網入りのガラスを防犯ガラスだと勘違いしており、詳しい性能や認定基準について正しく理解していない人がほとんどです。

    この記事では、防犯ガラスの特徴・性能・認定基準・使用するメリットなどをわかりやすく解説します。お家にぴったりの防犯ガラスを選ぶときの参考にしてみてください。

    防犯ガラスの基準や特徴

    防犯ガラスとは、2枚のガラスの間に強度を高めた特殊な中間膜を入れ込んだガラスのことを指します。

    防犯に特化した中間膜が衝撃吸収の役割を果たすため、工具などで簡単に破られる心配がなく、ガラスの飛散を防止する効果もあります。

    販売するメーカーによって、ガラスの厚さの種類や中間膜の強度、サイズ、デザイン、追加できるオプションなどが異なります。

    ガラスの防犯性能に関する基準

    外観

    防犯ガラスとして認められる商品は、日本板硝子協会が定める厳しい基準をクリアした窓ガラスに限られます。

    強度・耐久度のチェックは実戦を想定した耐久実験で測定しており、割れ具合や衝撃吸収度などを細かく確認して数値を出しています。

    侵入手口の中でも特に多い打ち破り・こじ破りなどを想定し、高い防犯水準を満たしたものだけが防犯ガラスとして販売することを許されるのです。

    防犯性能の高い建物部品の基準

    CPマークのついた窓

    防犯ガラスを語るうえで欠かせないのがCPマークです。

    CPマークとは、国が定めた厳しい防犯基準を満たした建物設備に貼り付けられるマークのこと。

    玄関口・鍵・窓・サッシなど、幅広い設備が認可の対象になっています。

    一般的に防犯ガラスと呼ばれるものは、いずれもCPマーク基準を満たしたもの。

    マーク自体が泥棒よけの効果を果たすため、購入を検討するときはCPマークの有無をしっかりと確認しておきましょう。

    ちなみにCPマークの語源は、防犯(Crime Prevention)の頭文字をとったものです

    有名な防犯ガラス「セキュオ」ってどんな商品?

    セキュオの図
    http://nsg-t.com/simplified-chart/secuo/

    日本板硝子株式会社が販売する「セキュオ」は、最もポピュラーな防犯ガラスブランドの一つです。

    ガラスの厚さ・サイズ・強度などのバリエーションが非常に豊富で、断熱・防災・紫外線カットといった機能も備えています。

    最高強度を誇る中間膜を備えたシリーズもあるので、住宅・店舗・ビルとどんな建物でも採用しやすいガラスです。

    商品が豊富で強度や価格の比較もしやすいので、迷ったらまず最初にチェックしておきたいブランドです。

    YKK AP・LIXILの防犯ガラスは追加機能が豊富!

    大手ハウスメーカーである「YKK AP」や「LIXIL」なども、防犯ガラスのラインナップ充実に力を入れています。

    防犯性能はもちろんのこと、遮光・防音・防露といった住宅性能をアップさせるタイプや、視認性や紫外線カット率を細かく選べるタイプなど、アップグレードで機能を追加できる防犯ガラスが豊富にあります。

    どのメーカーも基本構造は同じなので、追加オプションや補償、デザインなどを参考にしながら、好みの防犯ガラスを選んでみてください。

    防犯ガラスと誤解されがちなガラス

    非常に多い誤解ですが、「網入りガラス」や「合わせガラス」などは、防犯ガラスではありません。

    網入りはガラスの飛び散りを防ぐ目的であり、合わせガラスは単に断熱性能を高めたガラスになります。

    これらは通常のガラスと比べてわずかに侵入しにくくなるだけで、防犯効果はほぼないと言って良いでしょう。

    すでに説明した通り、防犯ガラスの定義は「2枚のガラスの間に特殊な中間膜を張っている」ことです。名前や見た目に惑わされないように商品を選びましょう。

    防犯ガラスにすることでどんなメリットがある?

    キッチンの窓から見える電車

    実際に防犯ガラスを取り付けると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

    代表的な項目を5つ紹介します。

    防犯性の高さをアピール

    防犯ガラスを破るには相当な時間と労力がかかるので、防犯ガラスを設置しているだけで抑止力になります。

    泥棒は侵入に時間がかかるほど逮捕されるリスクが高まりますし、何度も音が出れば、それだけ通報される可能性も高くなります。

    防犯ガラスは一目見れば判断できるものが多く、侵入難易度の高さから狙われにくくなる効果が期待できます。

    安全性が高い

    防犯ガラスは構造上、ガラスの破片が飛び散る心配がありません。

    万が一ガラスを破られた場合に怪我をしにくくなり、後始末や取り替えもスムーズに行うことができます。

    台風や地震といった災害時にも効果を発揮するので、防犯以外の目的で採用するのも良いでしょう。

    紫外線カット効果

    ガラスの間に入っている中間膜は、高い紫外線カット率を誇っています。

    メーカーや商品タイプによっても異なりますが、カット率は70〜99%と高い数値。

    市販のガラスフィルムなどと比べてもほとんど劣化しないので、一度設置すれば取り替えの手間なく紫外線をカットできます。

    断熱性に優れている

    2枚のガラスと中間膜を貼り合わせているため、一般的なガラスと比べて断熱効果が非常に高くなっています。

    熱効率が良いので、夏は適度に熱を逃し、冬は保温効果を高く保つことができます。

    寒冷地や低日射地域などでは、断熱性を高めるために防犯ガラスを採用するのもおすすめです。

    防音効果

    ガラスと中間膜のおかげで音の振動が少なくなるので、通常のガラスと比べて防音性能が高くなります。

    追加で防音性能を高めてくれる独自の防犯ガラスもあるので、各メーカーのラインナップを確認しておくと良いでしょう。

    デメリットはある?

    数多くの強力な防犯性能を持つ防犯ガラス。あえてデメリットを挙げるとするならば、自分からガラスを破りにくいことです。

    地震や火災といった災害時に脱出可能なルートを用意しておかなければ、防犯ガラスがかえって脱出の邪魔になってしまう恐れがあります。

    また、一度破られたり傷がついたガラスを取り換えるときは、当然ながら交換・修理費用が高くなります。

    防犯ガラスと併用できるセキュリティー対策

    セキュリティーをさらに強化したい人は、防犯ガラスとセットで導入できる防犯設備を設置するのがおすすめです。

    ここからは防犯ガラスと相性の良い防犯グッズや設備を紹介します。

    防犯フィルムを貼り付ける

    大きな窓ガラスのある家

    「防犯ガラスを導入するのは予算的に少し厳しい」という人におすすめなのが、防犯フィルムです。

    耐用年数が少し低くなりますが、防犯ガラスとほぼ同等の強度を誇り、価格が安いので気軽に貼り替えできるというメリットがあります。

    スーパーや百均などで販売されている保護フィルムはほぼ効果がないので、CP表示がついた防犯フィルムを選び、専門業者に施工をお願いしましょう。

    窓に補助錠をつける

    いくら防犯ガラスといっても、絶対に破られないわけではありません。

    泥棒の侵入確率をさらに下げたいなら、窓に補助鍵を付ける方法もあります。二重構造にすれば侵入するときに破らないといけない場所が増えるため、大幅に時間がかかるようになります。

    開け閉めの手間が余分にかかってしまいますが、防犯性をさらに高めたい人にはおすすめです。

    窓にシャッターをつける

    シャッターが閉まっている様子
    Photo by Pawel Czerwinski on Unsplash

    窓の内側から開け閉めできるシャッターを設置する方法も有効です。

    サッシやガレージなどでよく見る設備ですが、窓用の小型シャッターも豊富に販売されています。

    防犯ガラスとシャッターを組み合わせれば、窓からの侵入はより困難なものになります。

    雨風や強風による損傷も回避できるので、災害対策にも効果が高いです。

    面格子をつける

    換気目的のみの窓であれば、思い切って面格子を設置してしまうのもおすすめです。

    「景観が損なわれる」「窓から顔を出しにくくなる」などのデメリットはありますが、窓からの侵入はほぼ不可能になります。

    小さな子供やペットの飛び出しを防ぐ効果もあるので、家庭の状況によっては採用も考えられる設備です。

    防犯ガラスでセキュリティーを強化しよう

    窓から日が差し込んでいる様子

    今回は防犯ガラスにまつわる豆知識や導入のメリットについて解説しました。

    泥棒の侵入経路はほとんどが窓からなので、強固な防犯ガラスを設置しておくことで侵入リスクを大幅に下げることができます。

    通常のガラスよりもコストはかかりますが、安全性を高めたい人はぜひ設置を検討してみてください。