海外の設計思想に基づいたマイホームが手に入る「輸入住宅」。
おしゃれなデザインに惹かれて購入を検討する人がいますが、建築するメリット・デメリットをしっかりと理解しておかなければ、後々後悔してしまう要素が多いです。
この記事では、輸入住宅の特徴や定義、デザインの種類、建築するときの注意点について詳しく解説します。
輸入住宅とは
輸入住宅とは、海外の設計思想を元に建築する住宅のことを指します。
素材・設備・構法・デザイン・インテリアなど、住宅を構成する要素のほぼ全てに海外の設計思想を取り入れているのが最大の特徴。
単に日本で海外風の住宅の建築するわけではなく、海外から住宅素材やパーツを輸入して日本で組み立てる方法をとっています。
デザインは大きく分けて2種類
一般的に流通している輸入住宅のデザインは、ヨーロッパ系とアメリカ系の2種類に分類されますが、そのほかにもメーカーによってさまざまな輸入住宅を取り扱っています。
- ヨーロッパ系
シンプルで洗練された北欧スタイルが主流 - アメリカ系
開放的な雰囲気を持つ西海岸スタイルや、品格を感じさせるカナディアンテイストが人気 - パリスタイル
独特の装飾とインテリアが目を引く - ニューヨーカースタイル
異文化が混じり合う無骨 - フレンチスタイル
レトロで優しい雰囲気が人気
平屋から大邸宅までタイプはさまざま
間取りの大きさや住宅性能は、選ぶ輸入住宅のタイプによって大きく異なります。
湖畔にひっそりと佇むコテージタイプや、大空間と吹き抜けの開放感が自慢のサーファーズハウス、大きな庭でガーデニングも楽しめる大邸宅まで、ライフスタイルに合った住宅タイプを選べるのが魅力。
パッケージ化された建築プランがほとんどなので、細かい設計やデザインを決める必要がないのもメリットになっています。
輸入住宅はローコストで建てられるって本当?
輸入住宅はローコストで建てられるという噂がありますが、厳密に言うとこれは間違い。
輸入住宅は一般的な注文住宅と比べて建築コストが高く、ある程度広い土地が求められることから多めの予算が必要になります。
ただし、フルオーダーの注文住宅で一から海外風の住宅を建てるよりは、規格化されている輸入住宅のプランを選ぶほうが結果的にローコストになりやすいです。
その代わりに細かい間取りの変更ができず、こだわりを細部まで実現しにくいというデメリットがあります。
輸入住宅の特徴やメリットを紹介
輸入住宅に住むメリットとは何なのでしょうか?日本で一般的な住宅と比較したメリットを3つに絞って紹介します。
広々とした空間デザイン
海外仕様で設計された家は仕切りの少ない開けた部屋が多いため、開放的な雰囲気の空間で生活することができます。
日本の一般的な住宅は居室がコンパクトで天井も狭いので、なんとなく窮屈な印象を受けがち。
仕切りが少ない作りであれば、同じ面積でも広々とした印象を作ることが可能に。
北欧インテリアをはじめとした家具主体のシンプルなコーディネートでも、簡単にバッチリ決まるのが魅力です。
憧れの海外暮らしを体験できる
間取りの開放感だけでなく、住宅機能や家電設備などもオリジナリティー溢れるアイテムで構成されているのが特徴。
生活スタイルが洗練されている設計が多く、プランによっては海外ドラマで見るような優雅な生活を実現することも可能です。
広めの土地を確保したり、眺めの良いリゾートエリアに家を建てたりすることで、非日常感をさらに上げることもできます。誰もが羨む快適な暮らしを追求する人には特におすすめです。
住宅の基礎性能が高い設計
建築構法によっても変わりますが、輸入住宅は耐震性・耐久性・耐火性に優れる設計プランが多いのが特徴です。
例えば寒さの厳しい国で生まれた伝統的な住宅構法は、断熱性能などが高くなりやすい傾向にあります。
そのほかにも、暑い日差しをカットする独自の構法や、採光効率を最適化する間取り設計など、地域の特色に合わせた独自の設計システムを取り入れている事例が多数あります。
一般的な注文住宅よりも高いレベルの住宅性能を求める人は、欲しいスペックに応じた輸入住宅プランを探してみましょう。
輸入住宅を購入するデメリットは?
日本では珍しいタイプのマイホームが手に入る輸入住宅ですが、購入にあたってはいくつかの注意点もあります。
人によってはむしろデメリットのほうが気になる場合もあるので、特徴をよくチェックしておきましょう。
日本の暮らしにマッチしない可能性
輸入住宅は良くも悪くも海外の設計思想なので、建てる地域によっては今の暮らしに合わない可能性があります。
開放的な空間や独自の装飾は魅力的ですが、長く住んでみると意外に使いずらい・住みにくいと感じてしまうことがあり、後々後悔する人もいるようです。
おしゃれな外観も住宅街では浮きやすいので、建てる地域や土地条件を考慮して購入を検討する必要があります。
メンテナンスがしにくい
住宅素材や設備の大部分が海外仕様なので、メンテナンスがしにくいというデメリットがあります。
どんな住宅でも長く快適に住むためには定期的なメンテナンスや補修が欠かせません。
補修や修繕のたびに海外から素材を輸入するのは大変ですし、そもそも施工できるメーカーの数が少ないという問題もあります。
輸入住宅を購入するときは、メンテナンスや補償の内容・期間をしっかりと確認しておくのが大切です。
間取りの自由度が低い
輸入住宅はあくまでもセミオーダーの注文住宅なので、一から細かく間取りをデザインできるわけではありません。
メーカーが展開している輸入住宅のほとんどは、決められた間取りタイプの規格を選ぶか、部分別でデザインを組み合わせるかの2通り。
実現したい間取りや家具が導入できず、思い通りにいかないケースも多いです。構法による間取りの制約が多いため、リフォームや増築などはしにくいことも合わせて覚えておきましょう。
広めの土地が必要になる
輸入住宅はある程度広い土地に建てることを前提に企画されているため、狭い土地には建てにくいという問題があります。
間取りの細かい変更がしにくいので、希望のプランを選べないケースも出てきます。
あらかじめ広い土地を持っている場合は問題ありませんが、土地探しもセットとなると建築難易度がさらに上がります。
たとえ建てられたとしても、絶好のロケーションや豊かな土地を持っていないと、輸入住宅のメリットである開放感を活かしにくくなってしまうかもしれません。
輸入住宅を後悔せずに購入するポイントは?
輸入住宅は特殊な仕様の家なので、実際に購入するときに気を付けたい注意点がいくつかあります。
後悔せずに憧れの輸入住宅を購入するためのポイントを3つ紹介します。
予算管理を徹底する
住宅素材を海外から輸入する必要がある輸入住宅は、為替レート(円高・円安)の動向を常にチェックして購入タイミングを伺う必要があります。
為替レートによって購入費が大きく変動してしまうため、可能であれば輸入に有利な円高の状況で購入するのがベスト。
ただし購入のタイミングを見極めるのは難しいので、ある程度安く輸入できるようになったら決断してしまうのも手です。
予算管理で気を付けたいもう一つのポイントはインテリアです。
内装が海外仕様だからといって全て同じテイストの家具で揃えると、簡単に予算がオーバーしてしまいます。
実現したいインテリアと費用のバランスを考え、余裕を持って予算を確保しておきましょう。
施工実績の多いメーカーを選ぶ
輸入住宅はどのメーカーでも取扱いがあるわけではありません。
建築予定の地域では施工できる業者が少ないこともあるので、事前に施工範囲や規模感をリサーチしておくのが鉄則。
選べるスタイルや間取りタイプ、予算に応じたカスタマイズ性などの項目を細かくチェックして比較しましょう。
また、実際に輸入住宅の施工実績が多いメーカーを優先して選ぶことも大切です。
施工数や建築事例が可視化されているメーカー・工務店であれば安心です。補償や保険、アフターサービスの充実度なども忘れずに見ておきましょう。
やりたいことが実現できるか考える
輸入住宅を購入することで理想のライフスタイルが手に入るのかをよく考えましょう。
例えば、大空間や開放的な間取りに憧れているだけなら、輸入住宅よりも低コストで実現できる注文住宅プランが無数に存在するものです。
夢ばかりが膨らんでデメリットに目がいかなくなることはよくあるので、「輸入住宅という選択肢が本当にベストなのか?」という問いを冷静に投げかけることが大切。
大空間で自由度の高いインテリアを楽しみたいなら、輸入住宅よりもSE構法を採用している注文住宅のほうが希望を叶えられる場合が多いです。
輸入住宅で憧れの暮らしを実現
今回は輸入住宅のメリット・デメリットや購入するときの注意点について解説しました。
一般的な住宅相場よりも高くメンテナンスにも手間もかかりますが、海外思想のおしゃれな邸宅を手に入れたい人にはおすすめです。
特徴をしっかりと理解してから、理想の輸入住宅を探してみてくださいね。
メリット:一から全て自分の思い通りに海外設計の住宅をデザインできる
デメリット:海外レベルの住宅性能を実現しようとすると予算をオーバーしやすい
メリット:輸入住宅のプランから選ぶだけで海外設計の住宅が完成
デメリット:設計の自由度が少なく細かいこだわりを実現しにくい