紫がかった暗褐色の色合いが特徴的なウォールナットは、古くから高級木材として多くの家具や装飾に使われてきました。
希少価値が高いので一般層への流通は少なく、「名前は聞いたことがあるけど、実際のところはよく分からない」という人が大半なのではないでしょうか。
今回は高級木材ウォールナットの特徴や歴史、家具の種類について詳しく解説していきます。
目次
ウォールナットって何?
ウォールナットとは、クルミ科・クルミ属に分類される広葉樹の一種です。
一般的に知られているクルミ材とは似て非なる素材であり、家具・木材業界においてウォールナットは、「ブラックウォールナット」または「アメリカンウォールナット」のことを指します。
チーク・マホガニーと並ぶ世界三大銘木の一つであり、高度な耐久性と耐衝撃性を誇っている素材です。
深みのある紫の色合いが大きな特徴で、採れる数が少ないことから高級素材として扱われています。
ウォールナットの歴史
ウォールナットが高級木材として知られるようになったのは、17世紀後半のイギリスが始まり。
高級感溢れる見た目と美しい色合いは、多くの王族・貴族から高く評価されました。
家具製作の技術が発展していたこともあり、「富の象徴」として豪華な家具を競い合うように作る人が続出。加工のしやすさから家具職人たちの人気も高く、富裕層を対象にデスク・チェア・テーブル・キャビネットなど、様々な種類の家具が製作されました。
この時代に作られたアンティーク家具は、今現在でも高値で取引されています。
ウォールナットの産地
ウォールナットの主な産地は北米大陸。
アメリカ東部に広がる山脈やカナダのオンタリオ州など一部のエリアに限定されています。
自生地域が極端に少なく、暗褐色の木材は1本の木から少量しか採れないため、値段が高騰する原因となっています。
ウォールナットの色の特徴
ウォールナットの最大の特徴は、紫がかった深い暗褐色の色合いです。
天然木でここまで暗い色は大変珍しく、高級感・重厚感・上品・落ち着いたイメージを演出できます。
適度な油分を含んでいるのでツヤもあり、経年変化することで味のある色味になるのが特徴です。
ウォールナットのメリット
色合い・硬度・衝撃性の全てに優れるウォールナットには、ほかにも数多くのメリットが存在します。
高性能なウォールナット木材の特徴や魅力を一気に紹介していきます。
加工性が優れている
ウォールナットは加工しやすいというメリットがあります。
硬さと粘りのバランスに優れた素材なので、家具製作の工程で良くみられる「曲げ」や「蒸し」に強く、パーツ同士を接着しやすいのが魅力。
乾燥後も反り返りや収縮がほとんどないため、家具職人からも好まれる木材です。
硬くて耐久性がある
素材自体の耐久性は広葉樹木材の中でもトップクラス。
傷や凹みにかなり強いので、家具や床材として使用する場合に長持ちしやすいのが特徴です。
衝撃に強い
耐衝撃性能も優れているので、加工・接着した部分が簡単に壊れてしまうこともありません。
床材として使う場合は、ほか素材と比べて物を落としても傷になりにくいのがポイントです。
木目が美しい
ウォールナットは均等に整った美しい木目が特徴です。
素材によって木目のムラが少なく、家具や床材として使った場合に統一感を出しやすいというメリットがあります。
個体によっては波紋状の木目になることもあり、高級木材ならではの独特の美しさを演出しています。
手触りが良い
ウォールナットは適度な油分を含んでいるため、光沢のあるツルツルとした触り心地になっています。
さらさらとしてベタつかない質感なので、夏の蒸し暑い日でも湿りにくい快適な肌触りを実現しています。
狂いが少ない
硬くて丈夫な素材なので、加工したあとの狂い(反り・伸び・収縮・割れ)が少ないのが特徴です。
アンティーク家具などによく使われる複雑な技法を用いても、難なく耐える耐久性を備えています。
経年変化や温度変化に強く、家具としても床材としても長持ちしやすいのが魅力です。
ウォールナットのデメリット
高性能なウォールナットですが、家具や床材などのインテリアに使用する場合は、いくつかのデメリットにも気を配っておく必要があります。
希少で値段が高い
ウォールナットは流通量が少ない希少素材なので、値段が高くなりやすいというデメリットがあります。
豪華な装飾が施されたウォールナットの家具は、一般的な素材と比べてもかなり高価。
王族・貴族に好まれていた歴史からファンや愛好家も多くいるため、競争率が非常に高い素材になっています。
経年変化で色が褪せる
ウォールナットは経年変化することで明るい茶褐色へと色落ちします。
経年変化の風合いもまた魅力的ですが、本来の暗い色合いが好きな人にとっては好みが分かれるポイントでもあります。
深い色合いを維持するためには、定期的な掃除やメンテナンスを徹底する必要があります。
汚れが目立つ
ウォールナットは全体的に暗い色合いなので、ホコリが目立ちやすくなります。
光に照らされることでよりくっきりと汚れが浮き出てしまうため、こまめに掃除をする必要があるでしょう。
ウォールナット木材がよく使われるシーンとは?
ウォールナット木材はどんなシーンで使われることが多いのでしょうか。
家具業界で特に定番のジャンルを厳選して紹介します。
テーブルやデスク
高級感溢れるウォールナットは、ダイニングテーブルや作業用デスクなどの家具素材としてよく使われています。
ウォールナット家具でも定番のラインナップであり、流通量や種類も比較的多め。
暗めの色合いはほかのインテリア家具とバランスを取りやすく、リビング・寝室・書斎・和室とどんなシーンにも置くことができます。
シェルフ
オープン型の収納家具であるシェルフは、ウォールナット木材が使われることが多い家具の一つです。
大きさや種類などが非常に豊富で、用途別にさまざまな収納家具が作られています。
収納力よりもデザインを重視している場合が多く、アンティーク調のインテリアで統一したいときに重宝する便利なアイテムです。
床材
ウォールナットは家具だけでなく床材としても人気が高いです。頑丈かつ衝撃耐性があるので、物を落としても傷つきにくいのがメリット。
暗めの色合いは書斎・作業部屋・寝室など、落ち着いた雰囲気を演出したいときにおすすめです。
高価な素材なので、フローリングを敷く面積が広くなるほど費用がかさみやすいのが難点です。
とにかく美しい!ウォールナットの魅力を取り入れた暮らしを
数ある木材の中でもトップクラスの性能を誇るウォールナットは、部屋の印象を上品に変えてくれる家具や装飾がたくさんあります。
「豪華な見た目の家具を揃えたい」「上品かつ重厚な空間をデザインしたい」という人には、まさにぴったりの木材になります。
美しい見た目のウォールナット家具を取り入れて、素敵な暮らしを実現してみてくださいね。