注文住宅で憧れる人が多い地下室は、趣味全開のプライベート空間を作れる部屋として人気です。
防音・断熱性に優れているため、通常の住宅では考えられない秘密基地のような雰囲気を演出できるのが魅力!
今回はそんな地下室の施工に関する基礎知識を、初心者にも分かりやすく解説します。
地下室は高い費用がかかるので、できれば失敗は避けたいもの。
記事を参考にしながら理想の地下室作りをヒントを探してみてください。
目次
地下室ってどんなスペース?特徴と活用方法
住宅における地下室とは、文字通り地下に作られた部屋のことです。
通常の部屋と大きく異なるのは、防音性能や断熱性の高さ。
その特性から、
- ホームシアター
- カラオケ
- 演奏室
- ワインセラー
などの趣味部屋として活用されることが多いです。
もちろん、書斎や作業場として活用するのもおすすめです。
湿気がたまりやすく、風や光も通しにくいので、居住スペースとして活用するにはやや不向きです。
5種類のタイプ別に見る地下室の施工方法
地下室は土地の形状や工事の方法によって5つのタイプに分類することができます。
それぞれの施工方法によって、過ごしやすさ・費用・工期などが大きく異なるため、タイプの違いを学んでおきましょう。
全地下タイプ
全地下タイプは、部屋のスペースが全て地下に埋まっている地下室です。
まさに地下室の魅力を存分に味わえるスタイルで、最高クラスの防音・断熱性能があります。
窓を設置することができないので、湿気にはかなり弱いです。
光や風を取り入れることも不可能なので、換気扇や除湿機などの設備を強化する必要があります。
地下を掘り込むぶん施工費用がかなり高くなるのもデメリットです。
半地下タイプ
半地下タイプは、部屋のスペースを半分程度地上に出した地下室です。
建築基準法で地下室として認められるギリギリのラインを攻めて施工をするのが特徴です。
地下室の弱点である採光・湿気の対策がしやすく、小さめの窓を設置することも可能。
その代わりに防音・断熱性能は低下します。
土を掘る量が少なくて済むので、費用を安く抑えることができるバランスの良いタイプです。
ドライエリアタイプ(空堀)
ドライエリアタイプは、部屋の周辺に空堀(からぼり)と呼ばれるスペースを作る地下室です。
地上から地下室にまでつながる土を部分的に掘り下げることで、擬似的に中庭のようなスペースを作るのが大きな特徴。
窓を設置できるので、光や風を取り入れやすい性質があります。
また、いざというときの避難経路としても活用できます。
半地下タイプと同じく防音・断熱性能は下がります。
傾斜地利用タイプ
傾斜地利用タイプは、勾配のある土地を利用して作る地下室です。
斜めに傾いた土地を上手く利用することで、片側のみ外と接している地下室を作ることができます。
窓や勝手口の設置が可能になり、採光や換気もしやすくなります。
元々の土地の形状を利用するため、施工コストを大幅に節約できる場合もあります。
ひな壇・宅地タイプ
ひな壇・宅地タイプは、元々階段状に掘り込まれた土地に建てる地下室のことです。
元々の形状が下に掘り下げられているため、通常よりも地下室を設置しやすいのがメリット。
日当たりや風通しも良く、住みやすい環境が整っている場合が多いです。
条件に合う土地を見つけるのが難しいので、施工できるかどうかは状況次第と言えるでしょう。
地下室を作るメリット
地下室を作るメリットとはどんなものがあるのでしょうか。
通常の居住スペースと比較した地下室のメリットを紹介します。
断熱性・防音性・振動に優れた空間
断熱・防音・振動への耐性を備えた地下室は、騒音などを気にせずに過ごせる趣味の部屋として活用できます。
ホームシアターやダンススタジオ、DIY作業場、ガレージなど、一般的に室内でやりにくい趣味でも難なく導入可能。
地下室としての性能を高めるほど快適性が失われるので、完成後の用途をイメージしてから地下室タイプを選ぶのが良いでしょう。
敷地を最大限有効利用できる
地下を掘り込んで部屋を作るぶん、単純に居住スペースが多くなります。
土地の面積を横に広げるのは難しいため、限られた面積で居住スペースを増やすには上下階の作りを工夫するのが効果的!
コストカットをしたい場合は、傾斜地を利用した地下室施工や、スキップフロアと組み合わせた半地下室などもおすすめです。
地震に強いので避難スペースになる
土の中に埋め込まれた地下室は、地震の振動を大幅に軽減してくれます。
地盤と一緒に揺れを軽減してくれるので、地震発生時にはシェルターとして活用することも可能。
前述のドライエリアや勝手口などと合わせれば、緊急時の避難経路も確保しやすくなります。
地下室を作るデメリット
趣味の部屋として活用しやすい地下室ですが、実際に施工をするときに注意したいデメリットも存在します。
建築費用が高い
地下室はほかの部屋と比べて施工費用が高くなりやすいのがデメリットです。
土地に家を建てるのではなく、まず土を掘る工事から始めるので、そのぶんの人件費・機材導入費・運搬費などが追加でかかります。
また、建築費用だけでなく、湿気対策・空調などの設備投資や、定期メンテナンスなどの費用も考えておく必要があります。
真っ新な土地に地下室を作る場合は、約1,000万円以上もの金額がかかることもあります。
雨・水に侵入する可能性がある
地下室は構造上雨が溜まりやすく、部屋が浸水してしまう可能性があります。
特に近年多発しているゲリラ豪雨などは、一回の降水だけで規定量を超えてしまうリスクがあります。
一度浸水を許してしまうと内装や設備取り替えなどで修繕費がかかってしまうので、あらかじめ雨水対策を講じておくのが良いでしょう。
特にドライエリアタイプは水が溜まりやすい構造なので注意です。
湿気・結露が出やすい
地下室は湿気が溜まりやすいため、結露が出やすくなります。
結露を放っておくとカビや汚れの原因になってしまうので、定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に湿度が高い夏の時期などは、頻繁に掃除や手入れをする必要があるでしょう。
新築から1年程度はコンクリートから自然に水が出てくるため、いずれにせよ手入れはこまめにしておくのが鉄則。
湿気対策の設備を強化すれば、メンテナンスの手間を軽減することもできます。
地下室を作るときに気を付けるべきポイントは?
地下室を作るときは、メリット・デメリットを考慮したうえで理想のタイプや間取りを選ぶのが良いでしょう。
ここからは、地下室を設計するときに気を付けておきたいポイントを紹介します。
丈夫な土地を選ぶ必要がある
地下室を作るときは、土を掘り進めても問題のない丈夫な土地を選びましょう。
- 近くに水脈がある土地
- 新しく埋め立てを行った土地
などでは、地下室を作れない可能性があります。
一見問題のなさそうな土地でも、建築基準法の規定で地下室にできないケースなども多々あるため、土地の購入前には必ず専門家に調査を依頼するのがベストです。
避難経路の確保が必要
地下室には避難経路の確保が義務付けられています。
部屋の広さや扉の位置、通りやすさなど、緊急時を想定してもすぐに動けるような設計にしましょう。
ドライエリアや勝手口などを取り付けると、複数の避難経路を確保しやすくなるのでおすすめです。
除湿・換気設備が必要
地下室では、除湿・換気・空調などの設備は必ず設置する必要があります。
特に全地下タイプは窓の設置が不可能なので、そのぶん性能の高い設備の導入が必須!
タイマー式で自動除湿機能がある設備や、換気扇を設置するための通風口を確保するなど、部屋周辺の設備設計も入念に考えておきましょう。
導入設備で見積もりも変わるため、あらかじめ工務店に相談しておくと施工がスムーズになります。
快適な地下室のある家を手に入れよう
今回は地下室を作るメリット・デメリットと、地下室を作るときに注意すべきポイントについて詳しく解説しました。
建築費用が高く贅沢なイメージのある地下室ですが、生活スタイルや土地の形状によってはメリットを最大限に活かせる部屋になります。
新築で地下室を検討している人は、この記事を参考に理想的な地下室の条件を考えてみてくださいね。