「生活スペースを広くしたい」「効率的な生活動線にしたい」などの理由で、廊下のない間取りを計画しているという方も多いと思います。
近年、その便利さや快適さから、注文住宅に廊下のない間取りを導入する人が増えています。
そこで今回は、廊下のない間取りのメリットや間取りを考える時の注意点、失敗しないためのポイントなどをまとめました。
目次
廊下のない間取りが人気!その理由とは?
廊下のない間取りにすることで、居住に使えるスペースが広くなるだけでなく、家事や生活の動線がスムーズになるうえ、家族とのコミュニケーションが取りやすくなるなどのメリットがあります。
その他にも建築コストを抑えられるなど、魅力が満載なことから近年人気が高まっている間取りの一つです。
また最近は、省エネ性や断熱性など性能の高い高性能住宅が一般的になりつつあります。
広いLDKを作っても、冷暖房の効率を維持できるようになったことで、廊下を作る必要がなくなっていることも理由として挙げられます。
廊下のない間取りにする5つのメリット
注文住宅を建てる人たちの間で人気が高い廊下のない間取り。
あえて廊下を作らないことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。おさらいしておきましょう。
居住に使えるスペースが大きくなる
廊下を作らないことで、物理的に居住に使えるスペースを大きくできます。
本来であれば廊下として使用するスペースを有効活用することで、限られた広さの土地に建てる場合でも、部屋数や広さを確保できます。
廊下のスペース分リビングを広くしたり、部屋をひとつ増やしたりといった使い方も可能。
建築コストを抑えられる
廊下を作らないことで、壁やドアを設置する数が減ります。
その分、建築コストを削減できるのです。
建築時の初期費用が抑えられることに加えて、クロスの張り替えや建具の交換など、将来的にかかる可能性のある費用も抑えられます。
効率的な生活動線が叶う
家の中での移動距離が短くなることで、家事動線や生活動線が効率的になります。
回遊動線を採用するとさらに効率的に。
行き止まりがなく、家のなかをぐるっと回れる動線のなかに、水回りなどをうまく配置することで、流れるような家事ができる家になります。
家族間のコミュニケーションが取りやすい
廊下がなく、リビングを家の中心に置いた家では、移動するのに必ずリビングを通る必要があります。
そのため、自然と家族同士で顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが取りやすくなります。
子育て中の世帯にとっては、お子さんの様子を見守ることができるので安心ですね。
部屋ごとの温度差が少なくなる
冷暖房を設置しない廊下があると、どうしても家の中に寒い場所や暑い場所ができてしまいます。
冷暖房が効いた部屋から、廊下に出た時の温度差を不快に感じるという方もいるのではないでしょうか。
特に冬の朝、寝室からリビングに移動する廊下は寒くて辛いですよね。
廊下のない間取りにすれば、このような不快感を感じることがありません。
さらに、急激な温度差は、ヒートショックなど、体への負担が大きいもの。
これらの負担を軽減してくれる点も、廊下のない間取りのメリットです。
廊下のない間取りの注意点
メリットの多い廊下のない間取りですが、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
注意点を把握して理想の間取りを検討しましょう。
プライバシー性が低くなる
廊下を作らず、必ずリビングを通る動線にすることで、来客時などのプライバシーの確保が難しくなります。
二階の子ども部屋に上がるためにリビングを通る動線だと、お子さんの友達が家に遊びに来た時などに、部屋着のままリビングでくつろいでいる様子を見られる可能性もあります。
来客が多い家庭や、生活感が出やすいリビングをできるだけ人に見られたくない場合には、階段の位置やLDKの形を工夫しましょう。
生活音や匂いが家中に広がりやすい
廊下のない間取りは、部屋同士が直接繋がっているので、生活音や匂いが家中に広がりやすいというデメリットがあります。
料理中の匂いが家中に広がったり、トイレやお風呂の水の音がリビングまで聞こえたりといったことが起きる可能性があります。
キッチンの換気性能を高めたり、防音性能の高い壁材を使用したりといった工夫が必要です。
冷暖房の効率が悪い
家中が繋がっていて、広いLDKなどの空間のある間取りの場合、冷暖房の効きが悪くなりがち。
購入するエアコンの性能にも注意が必要です。
エアコンの性能に加えて、住宅自体の気密性や断熱性にもこだわりましょう。
断熱性能を高めることで、冷暖房の効率を高められます。
間取りの自由度が低い
二階建て以上の家の場合、階段を設置できる場所に制限が出てしまいます。
廊下のない間取りの場合、家の中を移動する際に必ず他の部屋を通らなければなりません。
住み始めてから後悔することがないように、実際の生活を想像しながら間取りを検討しましょう。
廊下のない間取りを成功させるポイント
注意点を確認したところで、実際に廊下のない間取りを成功させるために抑えておきたいポイントを紹介します。
高気密・高断熱の家にして冷暖房効率を上げる
住宅の気密性や断熱性を高めることで、冷暖房効率を上げられます。
高性能住宅は、どうしても費用が高く、諦めてしまうという方も少なくありません。
しかし、廊下のない間取りにする場合、冷暖房効率が低いことは大きなデメリット。
そこを補うための性能は必須と言えます。
住み始めて後悔しないためにも、住宅性能は十分に検討しましょう。
壁をうまく配置してプライバシーを確保する
廊下のない家は、プライバシー性が低くなりがちな間取り。
プライバシーを確保するために目隠しのできる壁を設置するのも有効です。
リビングに入ってすぐの位置に階段を設置し、目隠しのための壁を設置するなどの工夫をすると、来客時やお子さんのお友達が急に遊びに来た時にも安心です。
防音性能を高める
トイレやお風呂などの生活音が気になるという方は、防音性能を高めるといいでしょう。
水回りの音は、生活していく上で避けては通れません。
家族や来客に聞かれたくないという方も多いもの。
防音性能の高い壁材を採用することである程度は解決できます。
廊下のない間取りアイデア
廊下のない間取りを便利におしゃれにするアイデアを3つご紹介します。
リビング階段
近年人気の高いリビング階段。
シースルー階段など、デザイン性の高いものを選ぶことで、おしゃれでスタイリッシュな雰囲気のリビングを演出できます。
リビングから直接二階に上がれる効率の良い動線もリビング階段の魅力です。
ウォークスルーの個室
玄関からリビングに行くために、ウォークスルーの個室を通る間取りにすることで、リビングのプライバシー性を確保できるアイデアも。
その他にも、リビングから寝室に移動するためのつなぎとしてウォークスルークローゼットを設置するのもおすすめ。
効率的な動線とプライバシー性を両立できます。
LDKを中心にすべての部屋にアクセスできる間取り
LDKを家の中心に配置し、そこから全ての部屋にアクセスできる間取りも人気です。
LDKが家の中心になるので、家族間でのコミュニケーションが自然に生まれます。
家族との繋がりを大切にしたい方にぴったりの間取りです。
廊下のない間取りにこだわらない!廊下の活用アイデア
魅力的な廊下のない間取りの家。しかし、廊下のある家には廊下のある家のメリットがあることも事実です。
そこで、廊下のない間取りにこだわらないおすすめの廊下の活用アイデアを紹介します。
廊下にワークスペースで在宅ワークやお子さんの学習スペースに
在宅ワークやリビング学習が増えてきた中で、廊下をワークスペースとして活用する間取りがおすすめです。
リビングだと、家族の生活音や会話が気になってどうしても集中できなかったり、逆にくつろいでいる家族が気を使わなければならなかったりといった悩みを抱える可能性も。
廊下にワークスペースを設置すると、お子さんの学習の様子を見守りながらもお互いに気を使わなくていい、ちょうどいい距離感が生まれます。
廊下の壁を活用して収納スペースを確保
廊下の壁は活用方法が限られてデッドスペースになることも。
収納を設置することで、廊下の壁を有効活用できます。
扉付きの収納で洗剤などの消耗品のストックを収納したり、オープンにして本棚やインテリアを飾るスペースにしたりと、工夫次第で様々な使い方ができます。
廊下に洗面スペースで感染症対策
玄関からリビングなどの生活スペースに入る前に洗面スペースを設置すると、外から持ち込んだ花粉や菌などが生活スペースに侵入するのを防ぐことができます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、玄関や廊下などに洗面スペースを設置する家が増えています。
帰宅してすぐに洗面スペースが目に入ることで、お子さんにも手洗いの習慣が自然と身につくのも嬉しいポイントですね。
廊下のない間取りで効率的なマイホームを実現
効率的な生活動線や家族とのコミュニケーションが増えることによって、快適で充実した生活を送れるのが廊下のない間取りの家。
部屋ごとの温度差が少なくなるのでヒートショックなどの体への負担も軽減できるなどのメリットもあります。
プライバシーの確保や音・匂い対策なども考慮しつつ、廊下のある間取りとも比較しながら、理想の間取りを検討しましょう。
広々とした居住スペースを確保したい方におすすめの間取りです。