注文住宅を建てる際、意外に迷うのが窓選び。
どうしても快適な間取りに気が取られがちですが、窓を選ぶことも居心地のよい住宅には欠かせないポイントです。
中でも、近年人気のある窓がFIX窓です。
この記事ではFIX窓のメリット・デメリットや価格を、素朴な疑問を解消しながら解説します。
目次
FIX窓とはどんな窓?
FIXとは英語で「固定する・動かないようにする」の意味。
枠とガラスが固定されており、開閉機能のない窓がFIX窓です。
また、建築用語では「はめ殺し窓」ともいわれています。
ガラスがはめ込まれているだけの簡単な構造のため、どの窓よりも安価なのが特徴です。
- 吹き抜け上部などの手の届かない場所に、採光がほしい場合
- 眺めの良い外の景色だけを取り入れるため、開ける必要のない場所
- 玄関やトイレなど足元に採光がほしい場合
- リビングインテリアのワンポイントとして
FIX窓を取り入れるメリット
FIX窓が人気の理由は、取り入れるメリットが多いためです。
下記で4点のメリットを紹介します。
明るくて開放感を演出できる
FIX窓は太陽の光をしっかりと取り入れられるので、部屋全体を明るい印象にできます。
設置場所や数によっては、夜だけしか照明をつけていない家庭もあると聞くほどです。
例えば、大きいFIX窓を取りつければ、まるで外にいるかのような景色や季節の草花を望めます。
また設置場所を上部にすれば、夜に満天の星が見えることも。
FIX窓を取り入れれば、開放感を味わえるのも特徴です。
採光を重視するのであれば、FIX窓が適しているでしょう。
サイズ・形状のバリエーションが豊富
FIX窓はガラスとサッシの加工により、形状をアレンジできる点が特徴です。
一般的な引き違い窓は、開口部の真ん中に必ず枠がきます。
その点FIX窓は開口部がない分、スッキリとスタイリッシュな印象です。
またその特性により、サイズ感は手のひらサイズから壁一面まで幅広く、形状は横長・縦長・丸型・三角形などデザインが豊富です。
住宅の外観も多様な窓を使用すれば、インパクトとスタイリッシュさを両立できます。
おしゃれな空間づくりに役立つアイテムだといえるでしょう。
防犯面で安心
FIX窓は開閉できない窓の特性に加え、室内側からビスで固定されて外からは外せない構造です。
泥棒の侵入経路トップは、窓からの侵入といわれています。
しかしFIX窓は窓全体を割り、ドライバーなどの工具を使ってこじ開けないと侵入できないので、泥棒にとっては天敵です。
また、開閉機能がないことは鍵がない窓ともいえます。
したがって鍵の閉め忘れで外出する心配もなく、防犯面でも安心です。
気密性が高い
FIX窓は開閉機能がないので気密性に優れています。
一般的な窓は、サッシとガラス窓の間にわずかな隙間があります。
しかしFIX窓は隙間がないので、花粉やホコリをシャットアウトしてくれるのです。
それにより冷暖房も効きやすくなるでしょう。
ただし24時間換気システムなどで定期的に空気を入れ替えて、換気の面への配慮が必要です。
FIX窓のデメリットとは
人気のFIX窓ですが、もちろんデメリットもあります。
デメリットを理解したうえで取り入れしましょう。
換気ができない
上記でも説明した通り気密性のメリットと対照的で、換気ができない仕様です。
住宅は四季によって外気を取り入れることで、寿命を長持ちさせます。
人間にとっても住宅にとっても、定期的な空気の入れ替えは必要なのです。
対策例としては、南北は風が通りやすいので開閉できる窓を選び、東西は採光を取り入れるためFIX窓にして、バランスよく配置するとよいでしょう。
掃除がしにくい
FIX窓は開閉できないので、窓を開けて外側を掃除することは不可能です。
特に2階以上の採光を取り入れるために設置したFIX窓は、高所なので業者に掃除を依頼することもあるでしょう。
対策としては、高い位置にある窓ガラスをご自身で掃除できる道具があります。
近年、ホームセンターやネットでも販売しています。
心配であれば、FIX窓を取り付ける際にメンテナンスも考慮して業者に相談したほうがよいでしょう。
外気の影響を受けやすい
FIX窓は直射日光をダイレクトに受けます。そのため、いくら気密性がよくても外気の影響で冷暖房の効きが悪くなる側面も持ち合わせています。
設置場所によってブラインドやロールカーテンなど、日差し対策が必要な場合も。
後ほど下記の項目でその対策も解説しているので、参考にしてください。
プライバシーに配慮する必要がある
FIX窓のサイズが大きいほど、外からの視線が入りやすいもの。
したがってプライバシー確保の配慮が必要です。
対策は以下の2点です。
- くもりガラスなどの透明度の低いガラスを選ぶ
- 外から中が見えにくい高さ・形のタイプを設置する
FIX窓にカーテンは必要?
本来、FIX窓は採光やデザイン重視のためカーテンは不要とされています。
しかし配置や形を考え抜いた末設置したあとでも、生活するうちにカーテンが必要かも……となる場合も多いのだとか。
一例としては下記が挙げられます。
- 冷気が入ってくる
季節によっては西日が強くて眩しい 建設当時と周囲の環境が変わり、外からの視線が気になる もしそのようなことになってもFIX窓に取り付けられるカーテンはあります。
ロールスクリーン
最もコンパクトに収まるカーテンです。
縦長・横長の窓に適しており、圧迫感がなく部屋全体を広く感じさせてくれます。
ハニカムスクリーン
スクリーンの断面がハチの巣(ハニカム)のような六角形になっており、空気層があることで断熱・遮熱効果があるスクリーンです。
素材や色合いもさまざまな種類があり、和洋どちらにも活用できるデザインが特徴です。
ローマンシェード
生地を水平にたたみながら上下に昇降するカーテンです。
カーテンと同じ素材で作れて部屋に統一感をもたらします。
おしゃれで目新しさもあり、近年人気を集めています。
FIX窓の価格の目安は?
FIX窓は安価なこともメリットです。
下記の価格は「YKKap」の「APW300シリーズ」Low-Eガラス仕様の一例なので参考にしてください。
サイズ | 価格 |
---|---|
300mm×300mm | 14,300円~15,800円 |
730mm×570mm | 18,200円~19,800円 |
640mm×1370mm | 23,600円~26,700円 |
また下記は、「YKKap」の「エピソードNEOシリーズ」複層ガラス仕様ネット価格です。
サイズ | 価格 |
---|---|
405mm×370mm | 12,670円 |
730mm×1570mm | 27,790円 |
窓のサイズやサッシの材質、ガラスの仕様によっても価格は変わります。
取り入れる場合は、サイズ・形を決めたあとにガラスの仕様を検討するとスムーズに決められるでしょう。
FIX窓は明るい家を演出できるおしゃれな窓!
室内を明るくしながらおしゃれな外観を手に入れられるFIX窓。
人気の理由は、ほしい場所に採光を取り入れられ、デザイン性も豊富なため一味違った住宅にできるためです。
設置の際は、配置のバランスやメンテナンスの配慮も必要ですが、もし建設当時と状況が変わっても対策はあると考えれば失敗はないでしょう。
採光面で不安点があれば、FIX窓を検討することをおすすめします。