近頃インターネットを中心に出回っている「リプロダクト品」をご存じでしょうか?
リプロダクト品は名作家具に似せた模倣品です。
本家のデザインと大きな違いは無いため、リーズナブルな価格に惹かれて購入する人は少なくありません。
けれど多くのデメリットがあるのも事実です。
この記事では、リプロダクト品の特徴や問題点について、詳しく解説します。
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目次
最近ネットでよく見かけるリプロダクト品とは?
「リプロダクト品」とは、名作家具を真似て作られた製品です。
「ジェネリック製品」とも呼ばれており、ここ最近インターネットを中心に見かける機会が増えました。
正規品の場合は正規のメーカーが製造と販売をおこないますが、リプロダクト品は非正規代理店が売りだしています。
「意匠権の期限が切れているため問題ない」と記載している会社がほとんどです。しかし実際には多くの問題点が存在します。
リプロダクト品とコピー品の違い
リプロダクト品と似た言葉に「コピー品」があります。
リプロダクト品における5つの問題点
名作家具とほぼ同じデザインの製品を安く買えるのが魅力のリプロダクト品。
購入する側からすると良いことばかりに思えますが、さまざまなデメリットがあります。
ここからは、具体的な問題点を5つ解説します。
問題点1:本家より品質や耐久性が低い
リプロダクト品は本家に比べて品質や耐久性が低い場合が、ほとんどです。
製造するときに掛かるコストを抑えるため、加工法や素材を変えています。
正規品には設計書があり、ブランドの価値を守るため、確かな品質が保証されています。
正規代理店で購入すると保証期間5年が多いのに対し、模倣品は店舗によってバラバラです。
保証できるとしても短期間がほとんどですし、修理できない場合もあります。
本家と完全に同じクオリティを求めるのなら、リプロダクト品は避けたほうが無難です。
問題点2:意匠権の落とし穴
リプロダクト品を販売しているメーカーのなかには「意匠権が切れた製品を、オリジナルデザインをもとに忠実に復刻生産した製品」などと記載している場合が、よくあります。
「意匠権」とは、デザインに対する権利のこと。
日本では申請後、登録されてから20年間は有効です。
海外でデザインされた製品は、そもそも意匠登録していないケースも珍しくありません。
かといって「登録されていないから、真似してもいい」と判断するのは、倫理的にどうなのでしょう。無断で模倣品を販売して良い理由には、なりません。
問題点3:商標権を侵害にあたる
リプロダクト品は、商標権の侵害にあたります。
正規代理店が商標を持っているのにもかかわらず、無断で製品名や説明に作品を使っているためです。
意匠権と商標権は別もの。
たとえ意匠登録されていなかったり、期限が切れていたりしても商標権が存在していれば、違法にあたります。
問題点4:作品自体の価値が下がる
粗悪なリプロダクト品の普及は、オリジナルデザインへの価値の低下にもつながります。
たとえば「イームズチェアを買ったけれど、すぐに壊れてしまった」とネット上に書き込みがあったら作品に対して、あまり良いイメージはもてないでしょう。
けれど実際は、リプロダクト品についての口コミだったというケースは多々あります。
そもそも本家の作品は簡単に壊れませんし、破損したとしてもアフターケアがしっかりしています。
デザイナーが試行錯誤して作りあげた、名作家具の価値を守るためにも、購入する側が正規品と模倣品の違いを理解し、良いものを長く使うことが大切です。
問題点5:デザイナーとの信頼関係がない
名作家具の販売は、デザイナーとメーカーとの信頼関係の上に成り立っています。
けれどリプロダクト品は違います。
一般的にデザイナーが手掛けた家具を売るときには、ロイヤリティーの支払いが必要です。
ロイヤリティーとは作品に対する報酬のこと。
デザイナーが亡くなった場合は、遺族に引き継がれるルールになっています。
しかしリプロダクト品は、デザイナーまたは遺族の意思を確認せずに販売されているのです。
Yチェアにリプロダクト品がない理由
ハンス J. ウェグナーが手掛けた北欧家具の傑作「Yチェア」においては、リプロダクト品やコピー品は出ていません。
以前リプロダクト品が販売されていたときメーカー側が訴え、2011年に立体商標を認めさせたのです。
Yチェアの例は稀であり「Yチェア立体商標登録事件」と呼ばれるほどでした。
そのくらい家具の立体商標の保護は難しいものとなっています。
憧れの名作家具を買うなら正規代理店が一番
今回はリプロダクト品の特徴や問題点について詳しく解説しました。
デザイナーが手掛けた名作家具には、質の良い素材や優れた技術だけでなく、作り手の想いやストーリーが詰まっています。
作品がもつ本来の価値は、価格には代えられないもの。
安さを重視してリプロダクト品に手を出す人もいますが、長く愛用できる質の高い家具が欲しいなら、正規代理店で購入するのが一番です。
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意匠権の期限がまだ切れていない製品を複製したもの
登録された意匠権の期限が切れた製品を復刻生産