都市部の一等地に「ヴィンテージマンション」と呼ばれる高級マンションがあります。
ヴィンテージマンションは、建てられてから数十年経っても色あせないデザイン性や周りを圧倒する存在感で、多くの人を魅了しています。
今回は、ヴィンテージマンションの特徴や魅力、認定条件、賃貸相場などについて紹介します。
目次
ヴィンテージマンションとは?
ヴィンテージマンションとは、完成度が高い年代物のマンションを指します。
一般的にマンションは築年数が経過すると価値が下がると言われますが、ヴィンテージマンションは、資産価値が下がりにくいという特性を持っています。
近年マンションのリノベーションが注目される中で、ヴィンテージマンションの価値が見出されるようになったと言われます。
年数が経っても価値が下がらないどころか、築年数が経つほどに価値が上がっている物件もあるという、ヴィンテージマンションの条件や賃貸相場を見ていきましょう。
ヴィンテージマンションに認定される条件
明確な定義はありませんが、ヴィンテージマンションとして認められ、高値で取引される物件には、いくつかの共通点が見られます。
ひとつは、東京の麻布や広尾など、人気のエリアの閑静な地域に建てられていること。
家賃相場が高く、物件が少ない地域では、多少交通アクセスが悪くても、その価値が認められています。
また、例え人気のエリアにあっても、デザインが古く、安っぽい素材が使われていたり、マンション全体の管理が行き届かず、汚れや破損などが目立っていれば、ヴィンテージマンションと見なされません。
- 何十年経っても色あせないシックなデザイン
- 当時の最先端技術や建材が使われている
- 空間にゆとりのある作りで全体戸数が少ない
- 共用部分がきちんと維持・管理されている
ヴィンテージマンションの賃貸相場は?
ヴィンテージマンションは、坪単価が300万円以上とも言われます。
一般的に、築20年以上経つと物件の価値は約20〜35%程度下がるとされますが、ヴィンテージマンションは築20年以上であっても価値が下がるどころか、価値が上がる物件もあります。
ヴィンテージマンションの賃貸相場は、立地やその物件の条件によりさまざまですが、例えば50平方メートルで25万円、70平方メートルで35万円など、一般的な物件の何倍もする賃料で貸し出されます。
興味のあるヴィンテージマンションがあれば、最初は賃貸で住んでみて、気に入ったら、条件に合う物件が売り出されたときに購入するというオプションもあります。
そこに住んでいれば、物件情報も耳に入りやすいでしょう。
ヴィンテージマンションに住むメリット
ヴィンテージマンションには、建てられてから何十年経っていても、価値が下がらないだけの理由があります。
高い賃料・購入費を払ってでもヴィンテージマンションに住みたい人がいることからも、その理由が伺えるでしょう。
ここからは、ヴィンテージマンションに住むことで得られるメリットについて紹介します。
広々とした空間で快適に生活できる
ヴィンテージマンションは、もともと高級マンションとして建てられた物件なので、全体的に広々とした設計になっているのが特徴です。
戸数が少ないので1フロアあたりの敷地面積が広く、どの部屋も開放感に溢れた作りになっています。
敷地内はもちろんその周辺まで管理が行き届いており、エントランスなどの共有部分も広く落ち着いた雰囲気になっています。
管理体制が充実しており安全性が高い
ヴィンテージマンションは行き届いた管理体制にも定評があります。
住人で構成される管理組合が機能的に組織され、エントランスや共用部分、敷地内の掃除やメンテナンスが徹底して行われています。
また、オートロックなど、時代に合わせた利便性・安全性も重視されて、計画的に修繕やリノベーションが行われています。
ハイステータスを得られる
ヴィンテージマンションは物件自体が有名なので、住むという事実だけで満足感を得ることができます。
マンションの名前が広く知られていることが多く、一等地やセレブの街に建築されることが多いため、一種のステータスを得ることができます。
マンションの知名度やブランド力から、将来的な資産になりやすいメリットもあります。
ヴィンテージマンションに住むデメリット
ヴィンテージマンションに住むデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
特によく言われている3つのポイントから解説します。
賃料・購入費が高額
ヴィンテージマンションの賃料や購入費は、一般的なマンションより高めです。
購入の場合は、毎月の管理費や修繕積立金が高いことも考慮しておくべきでしょう。
特に、マンション全体の維持のために使われる修繕積立金は、築年数が上がるほど高くなる傾向にあります。
また、住宅購入の減税や優遇措置に関しても要注意。
築25年以上経った物件の場合、築浅の物件のように住宅ローン控除や不動産取得税の減税などが受けられなくなります。
ただし、その建物が耐震基準を満たしていると証明できる耐震適合証明書があれば、築25年以下の物件同様に、優遇措置を受けることができます。
築年数が古く耐震性に難がある
地震国の日本では、建物の耐震性に関してこれまで幾度となく見直しがされてきました。
中でも大きな変化があったのは、新耐震基準が設定された1981年です。
1981年前後に建てられた物件は、それ以降の建物より耐震性が弱い可能性があるので、専門家による耐震診断や耐震補強がされているかを事前に確認しておきましょう。
上でも紹介したように、築25年以上の物件を購入する場合であれば、耐震適合証明書を取得しておくと、税金対策などに有利になります。
作りが古く感じることがある
ヴィンテージマンションは高度経済成長期に建てられた高級マンションが多く、中には作りが古い印象を受ける物件もあります。
賃貸であれば、所有者の同意がなければリノベーションは難しく、変更などに関しても、管理組合の規約が厳しい傾向にあります。
反面、多くの物件は管理体制が行き届いているために、時代の変化に応じてリノベーションが行われています。
住むことを決める前に、生活に支障がないか設備の機能を確認しておけば安心です。
都内の代表的なヴィンテージマンション
高級マンション自体はいくつもありますが、ヴィンテージマンションとして誰もが納得するような代表的な物件も存在します。
こちらの章では、都内で有名な3つのヴィンテージマンションを紹介します。
広尾ガーデンヒルズ
東京都港区の広尾駅から徒歩約5分、住宅棟は合わせて15棟、総戸数は約1180戸を超える「広尾ガーデンヒルズ」は、ヴィンテージマンションの代表格とも言える存在。
66,000平方メートルを越える敷地には、背の高いケヤキやクスノキ、桜などが植えられ、敷地にはゆとりが感じられます。
中央の広場にはスーパーやカフェなどのテナントが入り、さながらひとつの街のようです。
広尾ガーデンヒルズは、組織化された管理組合により、何年も先を見据えて建物や設備の維持が行われています。
竣工から30年以上経ってもさらにその価値が上昇していると言われ、一度住んだらその居心地の良さに、2代、3代と孫の世代まで住み続ける家族も多いという元祖ヴィンテージマンションです。
ドムス南麻布
「ドムス南麻布」は、南麻布の一等地に1993年に建てられたヴィンテージマンションです。
1979年~1993年に都心の一等地に20棟建てられたドムスシリーズは、ヴィンテージマンションでも人気の高いシリーズですが、中でもドムス南麻布は別格と言われます。
閑静な住宅街である南麻布に建てられた物件は、地上5階、地下1階に、戸数は15戸のみ。限られた人が住むドムス南麻布は一見地味にも見えますが、共有部分には大理石が、インテリアには希少な木材などが使われるなど、最高級の部材や設備を兼ね備えています。
麻布霞町パークマンション
東京都港区西麻布にある「麻布霞町パークマンション」は、広尾駅から徒歩約10分。
竣工は2000年と、ヴィンテージマンションの中では比較的築浅です。
三井家ゆかりの6,800平方メートルの土地に建てられたマンションは、ほかを圧倒するような重厚な門構えが特徴。地上8階、地下1階の建物には92戸が入っています。
品格のあるロビーや有名デザイナーによるインテリアなど、施工から20年経っても色あせないデザインです。
敷地の周りまで気が配られ、敷地内から移植された樹齢100年以上の樹木が生い茂り、ヴィンテージマンションならではの品格が感じられます。
憧れのヴィンテージマンションを探そう
ヴィンテージマンションの特徴や認定条件、メリット・デメリットについて紹介しました。
ほかのマンションでは得られないメリットもあるヴィンテージマンションは、人気の割に数が少なく、なかなか空き物件が見つからないのが現状です。
空き物件があっても、ヴィンテージマンションの住人やマニアによって情報が握られ、すぐに「ご成約済み」になってしまうことも。
理想のヴィンテージマンションを見つけたいなら、日頃から根気よく物件情報を把握して、空き物件を逃さないようにしましょう。