家を建てる木材は何がある?木材の種類・性質・選ぶときの心構えを解説!

    近年、ナチュラル思考やSDGsの高まりにより、エコな暮らしを求める方が急増中です。

    そのため、家を建てる際も使用する木材の種類にこだわる傾向がみられます。

    実は同じ木材に見えても、木の性質によって使用する箇所が異なることをご存じでしょうか?

    今回は家を建てる木材の種類や性質、木材を使用するメリットをご紹介します。

    住宅に木材が使われる3つの理由

    ホワイトオークとウォルナット素材を使用した家

    古くから豊富に存在していた建材である木材。

    古くから寺社・住宅まで幅広く活用されています。

    特に住宅に関しては、日本の戸建て住宅の9割を占めているほどです。

    住宅になぜ木材が使われるのか、3つのメリットを解説します。

    断熱効果がある

    木材は断熱効果が高い建材であり、コンクリートや鉄などに比べて熱を通しにくい性質があります。

    コンクリートと比べると外気の気温に影響を受けにくい性質をもっているので、熱伝導が低いのです。

    コンクリート造や鉄骨住宅の構造と比べると、断熱性の効果は5倍近く木造住宅の方が高いデータもあるほど。

    夏は涼しく、冬は暖かく過ごせて気温差の少ない環境を作り出します。

    調湿効果が高い

    木材には調湿効果があります。

    調湿とは、空気が乾燥しているときは木の中にある水分を放出して、湿度が高めなときは水分を吸収する、湿気を緩和するはたらきのことです。

    調湿効果により四季に対応できて、ハウスダストの原因となるダニや細菌が生存しにくい環境を保ちます。

    リラックス効果がある

    木材は、五感に働きかけながらリラックス効果をもたらしてくれます。

    例えばヒノキの香は、におい成分が細胞を活性化させ、免疫力アップやストレス緩和につながるのが特徴です。

    木のぬくもりや質感は、触れると癒やし効果がもたらされるといわれています。

    視覚的な効果ならば、木目模様や木のナチュラルな色調は目に優しく、良質な睡眠につながることもあります。

    五感を心地よく刺激して、目に見えない効果が期待できるメリットもあるのです。

    木材の種類

    住宅に使用する木材は、大きく分けて「構造材」「造作材」の2種類に分類されます。

    それぞれの役割や目的に合った木材を使用するのが一般的です。

    構造材に使われる木材

    構造材とは、建物を構築するための骨組み部分に使われる部材のことです。

    柱・梁・筋違いなど、構造にかかる力を負担するために強さや耐久性が重要となります。

    下記は主に構造材で使用される木材の一例です。

    ヒノキ

    日本を代表する建材のひとつである高級木材です。

    住宅や寺社建築材としても使われています。

    ヒノキ特有のほんのりとした柔らかい香りや美しい木目も持ち合わせていて、五感で楽しめる木材です。

    特徴水に強い / 消臭効果 / 抗菌効果 / 耐久性があり、害虫がつきにくい
    主な使用箇所柱・土台・梁・フローリングや浴槽など

    ヒバ

    ヒノキ同様の性質をもち、比較的安価な木材です。

    特徴湿気や水に強い / 殺菌力が高い / 菌に対する耐久性が強い
    主な使用箇所柱・土台・浴槽など

    スギ

    日本で古くから使われてきた木材です。

    柔らかい樹種のためヒノキに比べて強度は劣りますが、太めの木材を使用すれば構造材として使用できます。

    特徴乾燥が早く、加工しやすい / 比較的安価 / 香りには防虫効果がある
    主な使用箇所土台 ・柱・梁・造作材としても使われる

    ケヤキ

    木目が美しく、重厚感があるため高級な木材です。

    硬い材質なので扱いが難しく、職人の腕が試される木材であるといえます。

    特徴耐久性・強靭性がある / 高い加工技術が必要
    主な使用箇所土台・大黒柱・梁など

    アカマツ

    柔らかい材質のため狂いは出やすいものの、ヤニが多いため耐水性は抜群です。

    梁や敷居などの摩擦部にも使用されることがある木材です。

    松の中でも色合いに赤みがかかっているのでアカマツと呼ばれています。

    特徴耐水性がある / 木目が鮮明できれい / 価格はやや安価
    主な使用箇所土台・柱・梁・敷居など

    造作材に使われる木材

    造作材とは、室内空間の仕上げや取り付けに使われる部材です。

    床や天井、窓枠など、好みのデザインやインテリアとの調和に使われます。

    構造材に比べて用いる木材の種類は幅広く、性質に合わせて適材適所で活用されます。

    下記は造作材の一例です。

    ウォールナット

    ウォルナット素材の家

    濃い色味で重厚感があり、木目も表情豊かで美しいツヤがある世界三大銘木のひとつです。

    経年変化が楽しめるため、高級家具などに使われています。

    ウォルナット材の経年変化は、深みのある色味から徐々に色が抜け明るい色へと変化していきます。

    特徴耐久性があり、衝撃に強い / 加工しやすい / 乾燥に手間がかかるため価格は高め
    主な使用箇所ドア・フローリングなど

    チーク

    チークも世界三大銘木のひとつです。

    経年変化とともに色味が深く艶も増すので、造作材として使用すると高級感があり、落ち着いた印象を付加できます。

    チーク材の経年変化は、室内で使用すると濃い飴色になり、屋外で使用するとシルバーウッドと呼ばれる色が抜けていくのでその過程を楽しみたい方にはおすすめの樹種です。

    特徴価格は高い / 耐久性・摩擦力がある / 耐水性が優れている / 表面にワックスのような成分がある
    主な使用箇所フローリング・サッシ・キッチンまわりなど

    オーク

    オーク素材の家

    日本ではオーク材というと一般的にナラを指しますが、産出量減少で北米産のホワイトオークが代替品とされています。

    密度が高く硬いためキズがつきにくく、扱いやすい無垢材です。

    特徴耐久性・耐水性に優れている / 変形しづらい / 価格が比較的安い / 防虫効果がある
    主な使用箇所フローリング・家具材・ウッドデッキなど

    クリ

    クリは乾燥させるのが難しいといわれている木材です。

    価格はそれほど高くありませんが、塗装をほどこすと美しい木目が出ます。

    特徴耐久性があり、害虫に強い / 湿気・水に強い / 硬質だが割れやすい
    主な使用箇所フローリング・階段・土台など

    ブナ

    ブナは木目が美しいものの、古来はあまり活用されなかった木材です。

    しかし、曲げやすい性質と現代の加工技術により、現代は建具や床材に多く使用されています。

    特徴腐りやすい / 硬さと粘り気があるので、曲げに強い / 施削性・接着性がよい / 価格は比較的安い
    主な使用箇所フローリング・タイル材など

    サクラ

    サクラは比較的安価で手に入るだけでなく、手入れをすればツヤが増すため人気のある木材です。

    強度があり狂いもないので、扱いやすい面も持ち合わせています。

    特徴ソリが少ないので扱いやすい / 害虫に強い / 経年変化を楽しめる
    主な使用箇所フローリング・家具材など

    木材を選ぶときの注意点

    住宅に木材を取り入れるうえでは、把握しておくべき注意点もあります。

    以下の3点を前もって知っておけば、快適な暮らしを実現できます。

    カビ・シロアリ対策をする

    木材は天然素材であるため、カビやシロアリの被害を受ける可能性があります。

    カビやシロアリの繁殖を防ぐためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。

    KJ

    木材で家を建てるのであれば、こまめにシロアリ点検や薬剤を散布するなどを心がけましょう。

    木材の特徴を理解する

    木材の性質を理解しておけば、自身が建てたい家のイメージにより近いものになります。

    木の特徴を知ることは、快適な暮らしに直結するといえるでしょう。

    設計士と入念な打ち合わせをする

    何の木材を使用するかは、設計士と入念な打ち合わせが必要です。

    木材を扱うには、職人の力量が重要であり、木の性質を考慮した上で設計をしなければリスクを伴うこともあるでしょう。

    例えば、性質や扱いが無知な状態で見た目を重要視しすぎると、木材のメリットである断熱性を損なうことにもなりかねません。

    イメージと木の特性が設計上噛み合うかどうかは、設計士とすり合わせましょう。

    木材の性質を知ることで快適な住まいにつながる!

    ウォルナット素材の家

    家を建てるときに使われる木材の種類は非常に多く、それぞれに特性があります。

    どこに何の木材を使用するかで、雰囲気だけではなく機能面も変化するでしょう。

    木材の性質を理解することで、家づくりを成功させる第一歩だともいえるでしょう。