お家の顔となるだけでなく、プライバシー保全や日差し・風よけなどの役割もあるシンボルツリー 。
新築祝いや結婚祝い、新しい家族の誕生など、お祝いごとの記念樹として植えられることも多くあります。
一軒家を建てるときに、家族でお気に入りの植物を選んでシンボルツリーにするのもいいかもしれません。
今回は、シンボルツリーについて知っておきたい特徴やおすすめの種類、選ぶポイントなどをご紹介します。
目次
常緑樹と落葉樹の2種類で分けられる「シンボルツリー」
シンボルツリーを植えるにあたって、まず知っておきたいのが樹木の種類。
大きく分けて、常緑樹と落葉樹があります。
常緑樹は1年を通して常に葉をつけている樹木のこと。
一方で、落葉樹は冬になると葉を落とす樹木のこと。
シンボルツリーを選ぶ時、それぞれの特徴を生かしてあげるといいでしょう。
例えば、目隠し代わりとするのならば常緑樹がおすすめ。
対して、四季の移り変わりを楽しむなら、葉の色が季節で変わる落葉樹がおすすめです。
また、落葉樹は冬になると葉が落ち、日光が入りやすくなるのも特徴です。
シンボルツリーの値段相場は?
シンボルツリーを植えるときに気になることの一つとして、どのくらいの費用がかかるのかという点があるのではないでしょうか。
樹木の種類や数、業者によっても異なりますが、大体の相場をご紹介します。
まず、費用の内訳ですが、主に2つあり、樹木そのものの費用と、人件費や土壌改良費用などの作業費です。
作業費は、樹木を植える本数が増えれば増えるほど必ずしも高くなるという訳ではありません。
業者によっては本数が多い場合に割引をしてくれるところもあります。
樹木費用は、1本あたり5,000円くらいのものから10,000円くらいのものが一般的です。
それに加えて作業費が、作業員1人の場合20,000円〜30,000円程度かかります。
つまり、1本のシンボルツリーを植える場合の費用相場は25,000円〜40,000円といったところです。
実際にどこの業者にお願いするかを決めるときには、複数の業者から見積書をもらって、比較検討するようにしましょう。
プランターや鉢植えのシンボルツリーもあり
庭に立つ1本の大きな樹木こそがシンボルツリーというイメージが強いかもしれませんが、実はプランターや鉢植えの樹木もシンボルツリーにすることができます。
一軒家で庭があっても周りが住宅街であまり大きな木を植えられない場合やマンションでスペースが限られる場合など、そんなときにプランターや鉢植えの樹木はぴったりです。
植物を選ぶときに、住んでいる地域の気候や気温を考慮しつつ、あまり背が高くならないものを選んであげるといいですよ。
例えば、鉢植えのオリーブは室内で育てる人も多く、玄関先にも置いてシンボルツリーにするのもいいかもしれません。
狭いスペースでもシンボルツリーを諦めずに、環境や広さにあったシンボルツリーを選んでみましょう。
おすすめの常緑樹のシンボルツリー
先ほど、シンボルツリーを選ぶ上で知っておきたい樹木の種類として、常緑樹と落葉樹の特徴をご紹介しました。
常緑樹は1年を通して葉をつけているため、目隠しや景観の観点から、シンボルツリーとしてもとても人気があります。
どんな樹木も手入れは必要ですが、落葉樹と比べて葉が落ちない分、掃除の手間が少ないのも人気の理由のひとつ。
常緑樹のなかでも特におすすめの樹木を6種類ご紹介します。
オリーブ
洋風でナチュラルな家のシンボリツリーとしておすすめなのがオリーブ。
おしゃれでかっこいいという声も多く、根強い人気があります。
また、5月~7月頃には素敵な香りのある白い花が咲き、その変化を楽しめるのも魅力のひとつです。
オリーブの原産は地中海沿岸部の乾燥した地域であるため、比較的寒さに強く、手間がかかりにくく育てやすいと言われています。
強い日差しと乾燥にも強く、虫も付きにくい特性があります。
3月上旬~5月ごろに日のあたりやすい場所に植え付けをしてあげると良いでしょう。
オリーブというと、オリーブの実をイメージする人が多いかもしれませんが、オリーブは自家受粉しません。
そのため、果実を収穫したいという方は、2品種以上を混植する必要があることを覚えておきましょう。
果実は緑色の実ができて、そこから淡黄緑色になり、10月~11月頃には黒紫色に熟します。
ユーカリ
シルバーリーフがおしゃれ!と人気があるのがユーカリ。
ユーカリはコアラの主食としても広く知られているように、オーストラリアやニュージーランド産の常緑高木樹です。
その種類は700種類〜1,000種類あると言われています。
生長が早いのが特徴で、樹高25メートル以上にもなります。
日本の気候では25〜30メートルには及びませんが、育てる上でこまめに剪定(枝を切る作業)したり、摘心(枝先にある芽を摘み取る作業)したりする必要があります。
剪定や摘心をすることで、美しいユーカリに育てましょう。
鉢植えにできる種類もあるので、スペースに合わせて選んでみてください。
レモン
レモンの木は常緑低木樹なので、高さも2〜3メートルと低めでコンパクトなのが特徴です。
1年に3回花が咲くのがレモンの木の魅力のひとつ。
5月と8月と10月に白色の小さな花が咲きます。
そして、なんといっても一番の魅力はやはりレモンの実がなることでしょう。
自宅で育てたレモンを料理に使うなど、楽しみが増えるのは嬉しいポイントです。
育てる際の注意点としては、トゲがあるので、やわらかいうちにハサミで除去するようにしましょう。
固くなってしまった場合はノコギリを使い、幹を傷つけないよう取り除きましょう。
常緑ヤマボウシ
通常のヤマボウシは落葉樹ですが、常緑ヤマボウシはその名のとおり常緑樹で、中国が原産です。
花のような総苞片(ソウホウヘン)が特徴で、6月中旬頃になると満開になります。
花持ちが良く、長い期間花を楽しむことができますよ。
花は白く、葉色は明るく黄緑がかっているので、洋風の家でも和風の家でも馴染みやすく、シンボルツリーにもぴったりでおすすめ!
丈夫で管理がしやすいというのも選ばれる理由のひとつです。
ただ、常緑ヤマボウシは寒さにとても弱いため、植え付けは適期の10月~11月、3月~5月にするようにしましょう。
銀葉アカシア(ミモザ)
シルバーリーフと明るい黄色のふわふわとした花が魅力的な銀葉アカシア。
別名ミモザアカシアとも呼ばれています。
銀葉アカシアは常緑高木樹で、生長すると4〜10メートルにまで育ちます。
オーストラリア南西部原産で、南半球の熱帯から亜熱帯域に生息する植物です。
そのため、寒さに弱く、冬の寒さが厳しい関東より東の地域では難しいかもしれません。
シンボルツリーとして屋外で栽培するのであれば、関東以西の暖地がおすすめです。
ソヨゴ
日本原産の常緑中高木樹であるソヨゴ。
ソヨゴという名前は、風が吹くと葉がそよそよとこすれる音がすることに由来しています。
葉はつやのある濃い緑色で、秋になると赤い実がなるのが特徴。
あまり飾り気のないシンプルな印象なので、和風洋風どちらの家でもナチュラルな雰囲気になり、シンボルツリーに選ぶ人が多く、人気があります。
樹高は5〜15メートルほどで、ソヨゴの生育はとても緩やか。
自分で剪定をすることで樹形を崩さずに育てることができるので、スペースが限られている庭でのシンボルツリーにもおすすめです。
おすすめの落葉樹のシンボルツリー
常緑樹と比較して、落葉樹は花を楽しめる種類が多いのが特徴。
冬になると葉が落ちて、掃除が大変というイメージがある落葉樹ですが、四季折々の変化を楽しめるのが最大の魅力とも言えます。
落葉樹のなかで、シンボルツリーにおすすめの樹木を4種類ご紹介します。
ヒメシャラ
ヒメシャラは幹や枝も細く繊細で、赤褐色の幹肌が魅力的な落葉広葉樹です。
青桐(アオギリ)とシラカバとともに、「日本三大美幹木」と呼ばれています。
6〜7月の梅雨の時期には白い花を咲かせ、秋には葉色がランダムに染まり、イロハモミジのような紅葉を楽しむことができます。
また、手入れもしやすいのもシンボルツリーに選ばれる理由のひとつ。
自然樹形を楽しむので剪定はあまり必要ありません。
イロハモミジ
別名イロハカエデとも呼ばれるイロハモミジ。
モミジ類の植物は種類が豊富ですが、その中でも庭木として一番多く植えられるほど人気があります。
イロハモミジという名前は、葉っぱの尖っている先(裂片)を「いろはにほへと」と数えたことに由来しているそうです。
イロハモミジは、秋の紅葉を楽しめるのはもちろん、4〜5月ごろには花が咲き、7〜8月ごろには実がなるので、1年を通して楽しめるでしょう。
植える場所は、日当たりが良く、建物から離れたところがおすすめです。
夏の直射日光にもある程度耐えることができます。
ジューンベリー
ジューンベリーは実が収穫できるのが最大の魅力!と言っても過言ではないかもしれません。
4〜5月ごろに白い花が咲き、その名のとおり6月ごろに赤い実がなります。
生でも食べられますが、ジャムや果実酒にして楽しむのがおすすめ。
ジューンベリーが人気の理由はこれだけではありません。
ジューンベリーは耐寒性が強く、病害虫が少ないので育てやすく、成長は遅めなので剪定などの手間も少ないのです。
桜
日本人にとって最も馴染み深い木のひとつであり、春の風物詩として知られる桜。
桜というと、お花見などで見るソメイヨシノを想像するかもしれません。
一般的に桜は根を張る範囲が広く、スペースが必要ともいわれています。
また、剪定や害虫対策も必須で、シンボルツリーにすると大変なイメージがあるかもしれません。
しかし、桜には園芸用の品種で300種以上もあります。
庭木に向いている品種を選ぶことで、桜をシンボルツリーとして楽しむことができます。
シンボルツリーの選び方
常緑樹と落葉樹それぞれの特徴、そして様々な種類をご紹介しましたが、気になる植物は見つかりましたか。
特徴と種類だけで、自分の家のシンボルツリー を1つに決めるのはなかなか難しいかもしれません。
そこで、今回は自分の家にあったシンボルツリーを選ぶために注目するべきポイントを3つ紹介します。
お家の顔となるシンボルツリー選びの参考にしてみてください。
家の外装のスタイル・雰囲気に合わせて選ぶ
まず1つ目のポイントは、外装や家全体の雰囲気に合った樹木を選ぶということです。
和風や洋風の家にはじまり、外壁の色合いも様々。
樹木によって緑の濃さや四季による葉色の変化も異なるため、外壁の色合いとの相性も考慮しながら、選んでみましょう。
シンボルツリーはお家の顔になるだけでなく、外壁の色彩がより綺麗に映える効果も期待できますよ。
植える場所と方位(日向・日陰)
2つ目は、生育にも関わる重要なポイント「植える場所と環境」です。
樹木にはそれぞれ生育に適した環境があります。
そのため、お住まいの地域の気候や、庭の日当たりや風通し、水はけなどによって、選ぶ樹木も決まってきます。
環境に合わない樹木を選んでしまうと、すぐに枯れてしまったり、根が張れず弱ってしまったりします。
樹木を選ぶ前に、気候条件、日照条件、土壌条件をしっかりと調べて把握した上で、条件にあったシンボルツリーを選ぶようにしましょう。
シンボルツリーの高さ
シンボルツリーを選ぶときの3つ目のポイントは、樹高です。
小さな苗木でも、生長すると非常に大きくなるものもあります。
最大の樹高がどのくらいになるのか、枝はどのくらい伸びるのかという点を事前にしっかりと確認し、生長が遅めで、「少し小さいかな?」と思うくらいのサイズで十分です。
あまり高くなりすぎると、剪定などの作業も大変になるということも忘れずに選びましょう。
季節の移り変わりを楽しめるシンボルツリーのある暮らしを
住まいの象徴的な存在であり、景観を良くしてくれるシンボルツリー。
選ぶ種類によっても、お家の雰囲気は大きく変わります。
そして、季節ごとに違った表情を見せてくれる樹木を選べば、四季の移り変わりをシンボルツリーと一緒に楽しむこともできます。
ご紹介した常緑樹と落葉樹の特徴や選ぶポイントを踏まえて、あなたのお家の雰囲気にあったシンボルツリーを選んでみてください。