変形地はどう活用すべき?購入するメリット・デメリットや土地の活用事例を紹介

    土地と建物の購入は、人生において一番とも言えるほど大きな買い物です。

    予算を気にしなくて良いなら、最高の条件が整った土地を購入するべきですが、多くの人が何かしらの妥協を迫られるものです。

    その妥協ポイントの一つとして有名なのが「変形地」です。

    この記事では、変形地の特徴、購入するメリット・デメリット、形を活かした家の設計事例などについて解説します。

    変形地だからといって一概に悪い面ばかりではないので、ぜひ特徴をチェックしてみてください。

    変形地とは

    変形地とは、その名の通り土地の全体、もしくは一部が変形している土地のことです。

    多くの人は、土地という言葉を聞いたときに、四角くて・真っ直ぐで・傾いていない場所をイメージするはずです。

    しかし実際に売買されている土地は整ったものばかりではなく、いびつな形をしたものも多々あります。それらを総称して変形地と呼ぶのです。

    変形地の購入には知識が求められる

    変形地の購入と活用には、相応の知識が求められます。

    変形地は安いというメリットを持つものではありますが、ここに一般的な普通の住宅を何の整備もなしに建ててしまうことは非常に危険です。

    変形地を利用する場合、その土地の特性や周辺の状況をよく把握し、それに合った間取りを考えていく必要があります。

    加えて、高低差のある変形地を自分で買おうとする場合、造成のための費用が非常に多額になるケースもあります。

    ただし個人が高低差のある傾斜地を購入後に整備しなければならないことは、現実的にはあまりありません

    相場と比べて安すぎる土地は理由を聞こう

    なお、変形地に限った話ではありませんが、周辺の土地相場と比べて安すぎる土地には必ず理由があります。

    購入を検討しているのであれば、最初の段階で「なぜ安いか」をきちんと確認するようにしましょう。

    • 不自然に土地の値段が安いケース
    • 市街化調整区域で再建築ができない
    • 相続などの理由で早急に手放す必要がある
    • 地盤が弱く追加工事が必要
    • 道路に出にくい
    • 周辺環境が悪い

    など、さまざまな理由が考えられます。

    変形地の種類

    ここからは、実際に売買されることが多い有名な変形地の種類を解説します。

    旗竿地

    旗竿地

    変形地のなかでも比較的イメージしやすい土地の一つで、文字通り「旗」のようになっている土地を指します。

    道路と細長い土地で繋がっていて、その奥に比較的広い整形地が存在しているものです。

    なおこのような形の土地であっても、建築基準法によって「道路と接している部分が2メートル以上あること」と定められているため、車が出られないほど道が狭いといったケースはほとんどありません。

    一般的な住宅を建てるのにはあまり不便はありませんが、細長い部分の利用方法はかなり限られています。

    三角地

    三角地とは、三角の形をした土地のことをいいます。

    一般的な土地は四角形をとるため、三角形の土地も変形地として扱われます。

    三角形の土地であっても非常に広いのならばあまり問題はありませんし、小さい家を建てるつもりなら問題は起こりにくいでしょう。

    しかし土地が狭い場合は、家の間取りや形に大きな制限が出てしまいます。なおこのような状況になる理由としては、

    • 相続の際に分割した
    • もともとは四角形の土地だったが、一部を道路用として売った
    • 地形上の問題

    などの理由があります。

    ちなみにここでは「三角地」としていますが、実際には台形の土地や五角形の土地もあります。これらもしばしば変形地として扱われます。

    傾斜地

    地面に傾斜がついている土地をいいます。

    通常は造成された後に売り出されるため、個人で傾斜地を整備しなければならない状況はあまりありません。

    なお個人で整備する場合は、当然そのぶんのお金がかかります。

    特に注意してチェックしておきたいのは、傾斜地の造成方法です。

    傾斜地は通常、造成するときに「切土」、あるいは「盛土」の処理をすることになるのですが、この「盛土」で処理された地盤は極めて脆く、地震に弱いというマイナス点を持ちます。

    切土(きりど)…地面を削って傾斜をなくすこと
    盛土(もりど)…土を盛り上げて傾斜をなくすこと

    うなぎの寝床

    住宅そのものを示す言葉として使われますが、変形地の状態を表す言葉としても使用されるのが「うなぎの寝床」という表現です。

    うなぎのように細長い長方形の形をしており、江戸時代の長屋などはよくこのような土地に建てられていました。

    このような土地の場合、「短い方の辺がどれくらいの長さがあるか」によって、建物の建てやすさが異なってきます。

    変形地を購入するメリット

    変形地に共通する最大のメリットは、やはり安いということです。

    周辺の土地に比べると価格が安く設定されているため、非常に買いやすいのが最大のメリットです。

    また旗竿地などは、道路と面している部分が少ないため、住居部分は比較的静かでプライバシーを確保しやすいという意外なメリットもあります。

    変形地を購入するデメリット

    個別の事例でもお話ししていますが、変形地は「活用方法」を工夫する必要があります。

    一般住宅として利用する場合はその間取りなどに工夫が必要です。

    例えば旗竿地は一般住宅としては活用しやすいのですが、入り口が目立たないなどのマイナス点もあるので店舗用の土地としては向きません。

    変形地の活用方法

    ここからは、実際の変形地の活用方法について解説していきます。

    マンション・商業施設として活用

    建物自体を工夫することで、変形地も活用しやすくなります。

    その代表例ともいえるものが、「重層長屋」です。

    長屋には一般的なマンションにあるようなエントランスや階段などの共有部分がありません。それぞれの部屋の玄関は、直接道路からアプローチできるようになっています。

    重層長屋はそのなかでも、上下に部屋が重なったものをいいます。一般的なマンションよりも設計自由度が高く、変形地でも立てやすいという特徴があります。

    また、商業施設として利用することも可能です。

    旗竿地の場合は商業施設にはあまり向きませんが、道路に面している面積が多い変形地の場合はその面白い形を生かして、個性的な商業施設として活躍させることもできます。

    商業施設の場合は、浴室などの生活設備を必要としないのも強みです。

    マイホームなら意匠性と快適性を重視

    一軒家として活用する場合は、「どのような間取りにするか」を考える必要が出てきます。

    住居として使いにくい部分は庭や駐車場にしたり、特殊な形を活かした間取りの部屋を作ってみたり、傾斜部分に収納スペースやトイレを配置したりと、設計の工夫で特殊な形のデメリットを緩和することができます。

    施工実績が豊富な工務店・設計事務所であれば、特殊な土地に対する理解が深く活用事例をたくさん持っているため、気軽に相談することができます。

    設計・建築技術は住み心地にも関連してくるので、家の建築をどこに依頼するかも重要なポイントになります。

    変形地の特徴を理解して上手に付き合おう

    今回は変形地の特徴やメリット・デメリット、活用事例などについて解説しました。

    変形地は購入費用が安いというメリットがありますが、特殊な形は設計・建築時に頭を悩ませることになるかもしれません。

    しかし、その特徴や活かし方を知っておくことで、コストパフォーマンスの良い家を建てることは可能になります。