注文住宅で自由に決められるからこそ難しい外壁の色選び。
内装と同じような感覚で選んでしまっていいのか、好きな色を選んでいいのか、迷ってしまいますよね。
この記事では、外壁の色選びに必要な基本情報と押さえておくべきコツをご紹介します。
外壁の塗り替えサイクルは10年前後です。
納得のいく色選びとなるよう、ぜひお役立てください。
どうして外壁の色が大事なの?
まずは外壁の色の基本情報です。
内装とは違う、外壁ならではの考え方のヒントを紹介します。
色には面積効果がある
色には面積効果といって、大きさによって見え方が違うように感じる錯覚作用があります。
カタログに掲載されている小さい面積の色と外壁のように広く塗装されたものでは、色によって濃淡や明暗が違って見えます。
人の目は面積が大きいほど明るい色は明るく、暗い色は暗く見えるようにできています。
外壁の色を選択するとき、イメージしていたよりもいち段階明るく、または暗くなることを考慮しておきましょう。
色によっては汚れが目立つ
長く住む家の外壁が汚れていくのはある程度仕方がないことですが、あまりにも汚れが目立つのは避けたいですよね。
汚れの原因は主に雨染み、換気口からの油汚れ、排気ガス、砂、鳥のフンなどがあります。
汚れは黒っぽく染みになることが多く、外壁の経年変化により塗料が劣化するとますます汚れがひどくなります。
このような汚れには、黒っぽい色やグレー、濃いブラウンなど暗い色を選択すると目立たなくなるでしょう。
また、湿気が多い場合はコケや藻による汚れが発生します。
この場合はやや緑がかった汚れなので、目立たなくするにはグリーン系の外壁を選ぶと目立たなくなります。
落ち着いた色は色あせしにくい
外壁の色あせは、紫外線によって塗料の色素が破壊されて劣化することでおこります。
中でも赤、黄、濃い緑の色の原子は紫外線に弱く、特に濃い色味は色あせが目立ちやすいので注意しましょう。
色あせがしにくい色は、白、黒、青があります。
青はもともとの色原子が紫外線の影響を受けづらい特徴がありますが、白と黒は使われている材料によって色あせを防ぎます。
クリーム色やベージュなどの薄い色は色あせが目立ちにくく、多くの方に選ばれています。
景観ガイドラインに注意
気をつけておかなければならないのが、市区町村によって制定されている「景観ガイドライン」です。
京都のような有名観光地だけでなく住宅街にも適用している地域があるので、お住まいになる市区町村のホームページなどで確認しましょう。
外壁の色選びのコツは5つ
ここでは外壁の色選びにおいて、知っておくと選択に役立つコツをご紹介します。
サッシ・ドア・屋根の色とセットで考える
外壁の色と隣り合わせになるのは、窓のサッシ、玄関ドア、屋根です。
注文住宅の場合は、サッシ、ドア、屋根の色も選ぶことができます。
これらもかなり大きな面積を占めるものなので、外壁の色との相性がよくないと悪目立ちしてしまいます。
全体のカラーバランスを見ながらそれぞれの色を決めるとよいでしょう。
街並みに調和した色を選ぶ
「景観ガイドライン」がなくとも、近隣の家や街並みの色合いから大きく外れると目立つ外観になり、「うちだけ浮いている」と感じてしまうこともあるでしょう。
できれば外壁の色選びの前に住宅の建築予定地を訪ね、街の景観や隣近所を確認するとよいでしょう。
特に強い色を希望する場合は、悪目立ちしないよう明度や彩度に気を配りながら、色選びをするとよいでしょう。
軒天井(軒下)の色は薄い色を選ぶ
窓や玄関の上部にある軒天井(軒下)は、外壁よりも薄い色や白を選択することをおすすめします。
軒天井は太陽光があたらず影となるため、外壁よりも暗い印象になりがちです。
薄い色や白で塗ることで屋根の下部分が光の反射で立体的に見え、軒下が明るくなります。
ツヤや影の影響を考慮する
外壁の塗料はツヤのあるタイプとツヤのないタイプがあり、ツヤがあると色が明るく見え、ツヤのないタイプは落ち着いた印象に見えます。
ツヤの強さは5段階あり、色の濃い塗料ほどツヤを感じやすくなります。
また外壁の影になる部分は暗い色に見えるため、色やツヤの見え方も変化します。
住宅の方角や日当たりも考慮しながら、色やツヤの種類を選択しましょう。
試験塗り(試し塗り)か見本板でイメージを確認
面積効果やツヤ入り塗料など、大きな面に実際に塗ってみないとイメージできないと感じる方も多いでしょう。
可能ならば希望の色が塗られている家を見に行きましょう。
できない場合は建築中の外壁で試験塗りを実施したり、できるだけ大きな見本板などを用意してもらい、塗料の色やツヤを確認しましょう。
色見本は部屋の中ではなく、必ず太陽光の下で見てください。
さらに晴天や曇りでの見え方を比較すると、色の違いがはっきりと感じられますよ。
外壁の色おすすめは5つ
ここからは、外壁塗装のおすすめの色をご紹介します。
汚れが目立ちにくいシックなグレーの外壁
グレーは外壁の色の中でも特に汚れが目立たない色です。
メンテナンス費用や手間をかけたくない方には、いちばんのおすすめです。
色味としてもモダンでクールな印象を感じさせ、黒ほど強すぎない大人っぽさが魅力です。
白とグレーのツートンカラーで使用しても、おしゃれな雰囲気を演出できるでしょう。
ナチュラルで温かみのあるベージュの外壁
ベージュはナチュラルで上品、温かみのある雰囲気に仕上げられるのが特徴です。
色の明度や彩度によっては可愛い雰囲気にも落ち着いた感じにもなり、和風や洋風どちらにも相性がよい色です。
サッシ、ドア、屋根の色の組み合わせで印象を変えられる可能性がある色なので、さまざまな組み合わせを検討するのも楽しいですね。
窓のサッシを白にするとナチュラル系、濃い色にすると落ち着いた雰囲気になります。
クラシックにもモダンにもなるブラウンの外壁
ブラウンは濃い色では重厚な雰囲気がでてクラシカルに、薄いブラウンでは天然素材風のナチュラルテイストを演出できます。
木目、タイル、レンガ調の素材と相性がよく、ヨーロッパ風にもモダンデザインにもなります。
茶系の外壁は、砂やホコリによる汚れが目立たないのも特徴です。
スタイリッシュでかっこいい黒の外壁
黒の外壁は重厚感があり、モダンで都会的なカッコイイ雰囲気をかもし出します。
木目調や金属製の素材と相性がよく、アクセントで色や素材をうまく使うことで、さらにスタイリッシュな家となるでしょう。
和風建築でも黒の外壁にすることで、高級感やモダンな印象を演出できます。
黒の外壁は鳥のフンや砂など白っぽい汚れが目立つので、汚れにくい塗料を検討しましょう。
モダンで清潔感のある白の外壁
白はシンプルなだけに、サッシ、ドア、屋根の素材によってかなり印象が変わります。
高級感もナチュラル風も演出でき、デザイン性の高い家にも相性がよいのが特徴です。
サッシなどを真っ白にしてどこまでもシンプルでクリーンなモダンテイストも、サッシやドアに印象的な色を合わせて他にはない個性的なスタイルも演出できるでしょう。
白の外壁は汚れが目立ちやすいので、建築担当者に汚れを防ぐ塗料などの相談をしてみましょう。
塗り替えのタイミングは?
外壁の塗り替えは一般的に10年前後と言われています。
塗料の種類によってばらつきがありますが、耐久年数が10年前後のものが多いためです。
外壁を保護する塗膜の機能が衰えてくると、紫外線や風雨から外壁を守ることができず、家の構造体まで影響して雨漏りが起きるなど、ますます劣化を進めてしまいます。
定期的にメンテナンスをすることで、長く住めるように家を守りましょう。
ただし外壁にヒビが入ったり、塗膜が劣化し白い粉がでたり、サイティングの継ぎ目が裂けてるなどの症状がでている場合は、早急に塗り替えが必要です。
外壁の塗り替え工事は季節を問わず行えますが、一般的に秋が繁忙期になるため、実施のタイミングに気をつけましょう。
慎重な色選びでおしゃれな外壁にしよう
ここまで外壁の色選びに役立つ情報と、選択するときのコツをご紹介しました。
外壁の印象は施工してしまうと簡単には変えられないため、色の選択は失敗したくないですよね。
汚れにくさを基準にするのか、好きなイメージに合う色を優先するかなど、色選びの方法は選ばれる方によってさまざまです。
しかし最も大切なことは、住まわれるご家族にとって「うちっていいよね」と思えることです。
家に帰るたびに必ず見ることになる外壁ですから、じっくり時間をかけて検討してくださいね。