家を建てるなら知っておきたい!入居前の「竣工」について徹底解説

    家のことを調べていると、竣工という言葉を聞くことがあります。竣工とは建設業界の用語で、建造物の工事が完了したことを意味します。この記事では、竣工とは何か、竣工の類語、竣工のあとの引き渡しまでの流れなどについて丁寧に解説します。

    「竣工」とは?

    新築

    家を建てる時に目にする竣工という言葉。

    竣工とはどういう意味を指すのでしょうか。

    落成や引き渡しとの違いについても紹介していきます。

    竣工とは

    竣工とは、建造物の工事が完了したことを意味する建設業界の用語です。

    竣工の「竣」には仕事が完了するという意味があります。

    竣工の「工」は工事という意味なので、竣工は工事が完了し、建造物ができあがることを意味します。

    KJ

    例えば、家探しをしている時に戸建てのチラシに「3月竣工予定」と書いてあるのを見たことはないでしょうか。これは「こちらの戸建てが3月に工事が完成しますよ」という意味になります。

    落成との違い

    竣工と似た意味の建設業界の用語に落成(らくせい)という用語があります。

    落成とは工事が完成することを意味する用語で、竣工と意味合いは同じ。

    ただ、工事が完成した後のイベントとして使う時は意味が変わります。

    イベントは、竣工式と落成式という名称になります。

    竣工式も落成式も建造物が完成したことの儀式という意味では同じ。

    しかし、目的が異なります。

    • 竣工式:工事が完成したことを神に感謝するための儀式
    • 落成式:工事関係者に対するためのイベント

    そのため、竣工式では神主を呼んで祈祷を授けてもらいます。

    引き渡しとの違い

    竣工の類語には引き渡しという用語もあり、両者の違いは占有権の移転にあります。

    竣工は建造物ができあがったことを意味しますが、占有権は建設会社のものです。

    竣工では占有権が移転していません。

    一方、引き渡しは、施主が購入した後に占有権が移転することをいいます。

    竣工のあとの流れは?

    建築物ができあがった後、施主に引き渡されるまでの流れを説明していきます。

    建設会社の「自社検査」を行う

    工事現場で何かを確認している様子

    建造物の工事が完成した後、自社検査を行います。

    自社検査とは、建設会社が計画通りに工事が完了したかをチェックすることをいいます。

    自社検査を行うことで建設会社は品質を担保することができるのです。

    公的検査機関の「完了検査」を行う

    自社検査の後は公的検査機関による完了検査が行われます。

    完了検査は、新築の建造物が検査を受けることを義務付けられています。

    建築基準法第7条第1項によって定められています。

    完了検査により、図面に基づいて工事が行われたかどうかを確認するもので、完了検査の申請は工事完了後4日以内に行わなくてはなりません。

    また、申請を受けた日から7日以内に完了検査を行うことが義務付けられています。

    完了検査が終わったら、検査済証の交付を受けます。

    検査済証の交付を受ければ、その建造物を使用することができます。

    仮に完了検査により不適合になった場合は、建造物に使用制限がかかったり、撤去になったりすることもあります。

    施主の「竣工検査」を行う

    完了検査を受けて適合となった建造物に対して、施主は最終確認のために竣工検査を行います。

    竣工検査は、引き渡しまでの最終的な確認となりますから、細部までしっかりとチェックするようにしましょう。

    竣工検査を行って、施主として気になったポイントがあれば建設会社に伝えて下さい。

    引き渡しまでの間に、建設会社に修繕してもらいましょう。

    3つの検査が問題ないなら「引き渡し」

    握手している様子

    自社検査・完了検査・竣工検査の3つの検査で適合となれば、施主に引き渡しとなります。

    KJ

    竣工検査で建設会社に修繕を依頼した場合は、修繕が済んだことを必ず確認するようにして下さい。

    施主が行う「竣工検査」前に知っておきたい基礎知識

    引き渡し前に施主が行う竣工検査。

    具体的にどんなことが必要なのか基本となる知識をご紹介します。

    竣工図・竣工図書は必ずもらう

    図面

    竣工図・竣工図書とは、工事中に起こった変更点を含めた引き渡し時の図面をいいます。

    工事中に変更が生じれば、事前に知らされている図面と異なっていることになるので、必ず竣工図・竣工図書をもらうようにします。

    検査の所要時間はどのぐらいが適切?

    竣工検査の所要時間は、無難に検査が進んだ場合で2時間かかります。

    もし補修が必要な箇所が見つかった時は打ち合わせに時間がかかりますから、スケジュールには余裕をもって臨みたいところですね。

    竣工検査のチェックリストを作っておこう

    チェックリスト

    竣工検査を行う時は、事前にチェックリストを作っておくと確認すべき項目を漏らさずにチェックすることができます。

    例えば、室内のチェックリストの事例は次の通りです。

    玄関
    • 床のひび割れ、浮きなどがないか
    • 玄関全体にキズはないか
    • 鍵の数や施錠方法の確認
    • スイッチの確認
    廊下
    • 階段
    • 床のキズ、ひび割れ、浮きなどがないか
    • 壁にキズはないか
    • 手すりの取り付け位置の確認
    • スイッチの確認
    キッチン
    • 床のキズ、ひび割れ、浮きなどがないか
    • 壁にキズはないか
    • ドアがスムーズに開くか
    • 蛇口がスムーズに開くか
    • コンロの動作確認
    • 冷蔵庫の設置場所の確認
    • スイッチの確認
    • コンセントの位置の確認

    キズの有無やドアや蛇口がスムーズに開くかといった機能面について、竣工検査では確認しておきましょう。

    もし不具合が生じた時は、引き渡しまでに補修してもらって下さい。

    実は竣工までに、建築途中にも施主検査を行ったほうがいい

    建造物が完成した後に施主は竣工検査を行いますが、建てている時に行う施主検査というものもあります。

    施主検査で行うのは工事の品質チェックと契約内容通りに建てられているかについてチェックすること。

    建てている時に施主検査するといっても、1度だけではなく工事の適当なタイミングで検査することが理想ですね。

    理想的な施主検査のタイミングは次の通りです。

    • 基礎配筋工事
    • 構造躯体工事
    • 防水工事
    • 断熱工事

    いずれの工事も家を建てる上では重要な工事なので、自分の目で確かめておくと良いです。

    以上の工事のタイミングで施主検査をしたい場合は、施主の方からメーカーに希望しましょう。

    これも知りたい!竣工についての豆知識

    竣工のことを調べていくと、自然と知りたいことが増えていくものです。

    ここからは知っているとさらに便利な豆知識を紹介します。

    竣工写真ってなに?

    竣工写真

    竣工写真とは、家やマンションができあがった時に撮る写真のことです。

    家族が既に入居してしまった後に撮る写真は家族が主役なので家族写真となります。

    しかし、まだ引き渡される前の状態であれば、家が主役の写真を撮るのが当然のこと。

    竣工写真の目的
    • 営業目的として使う
    • 物件の紹介として使う
    • 家族の記念として使う

    竣工式は行った方がいいの?

    神主さん

    家を建てた時、施主が「家が建った」ことを神に報告し、家族の末永い繁栄を願って竣工式が行われることがあります。

    竣工式を行う時期は、家が建ってあまり日を空けないタイミングです。

    竣工式は施主が神に報告する儀式なので神主を呼んで行い、宴会や参加者への引出物を渡します。

    そのため、竣工式を行うと、神主には初穂料、宴会費や引出物代などの費用がかかります。

    竣工式は費用がかかるので、竣工式を簡素に行う場合もありますね。

    その際は神主の祈祷だけで終わったり、あるいは祈祷なしで宴会だけで済ませたりします。

    そもそも、竣工式は必ずしも行わなくてはならないのでしょうか。

    実際のところは、竣工式を行わなくても構いません。

    KJ

    家を建てるだけで施主には多額の経済負担がかかっていますので、経済状況を見ながら竣工式をやる・やらないを決めるのが一般的です。

    「竣工日」と「新築年月日」との違いは?

    竣工日と新築年月日の違いも押さえておきましょう。

    • 竣 工 日:家の工事が完了した時の日
    • 新築年月日:家を新築した日のことで、完成日

    不動産の登記でも竣工日ではなく新築年月日が表示されています。

    最後には竣工検査もきちんと行おう!

    ナチュラルテイストなダイニング空間

    竣工の後は、自社検査・完了検査などを行い、施主による竣工検査までが一連の流れとなります。

    竣工検査によって、引き渡しまでの補修や不備などを整備することができます。

    せっかくの家ですから、竣工検査の事前準備をしっかり行い、滞りなく竣工検査を済ませるようにしたいところです。