土地や建物等の不動産を所有すると「資産価値」という財産を持つことになります。
ご自身の家を建てる時に「資産価値が下がりにくい家」を意識することで価値の高い家を建てることができ、将来的に物件を売却する際にも有利です。
この記事では、物件の資産価値はどのように決まるのか、価値が下がりにくい家のポイントを具体的に挙げながら、これから注文住宅で家づくりを検討されている方に役立つ情報を解説します。
目次
家の資産価値とは?
家の資産価値とは、その不動産が持つ価値のことです。
売却したり賃貸に出すときの需要の高さが不動産の資産価値であり、「土地の価値」と「建物の価値」の要素で成り立っています。
この2つの要素で戸建て住宅の資産価値に占める割合が大きいのは土地の価値であり、建物の価値は比較的小さいのが特徴です。
これらの価値がどのように決まるのか見ていきましょう。
土地の価値
戸建て住宅の資産価値に影響を与える土地の価値は、「立地」や「区画の形状」で決まります。
中でも、立地の良さは、交通の便や周辺環境の充実などの利便性の高さがポイントに。
交通アクセスが良く、商業施設や学校、病院等の施設が物件の近くにあると土地の価値が高くなる傾向です。
また、使いやすい形状の土地、道路に接している面積の大きい長方形の土地は設計の自由度が高くなるため人気があり、価値が高くなります。
建物の価値
建物の資産価値は、立地や建物のデザイン、管理状態などで決まります。
建物自体の価値は築年数に比例して減少し20年ほどでゼロになってしまうものの、建物が耐震構造であるか、火災に対する安全性は高いかなどの基準もあり、住宅設備の有無も建物の価値として評価される点です。
資産価値の算出方法
家の資産価値を決める「土地の価値」と「建物の価値」には算出方法があります。
土地の資産価値の算出
土地の資産価格=路線価×敷地面積×掛け目(補正率)
「路線価」とは、地価公示価格をもとに道路に付けられた価格のこと。
毎年変動しており、その年の路線価は毎年7月上旬頃に更新され、国税庁のホームページで確認できます。
「掛け目」とは、固定資産税を決める時の補正率のことで、金融機関が融資をする際に担保に対して掛ける割合を示し、不動産の場合は70〜80%です。
建物の資産価値の算出
建物価格=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数ー築年数)/法定耐用年
建物の資産価値の計算では、法定耐用年数が重要になります。
「法定耐用年数」とは、資産の寿命を示したもので、国税庁が建物の構造と使用用途、築年数を考慮して公平に価値を算出するためのものです。
資産価値を左右するポイント
資産価値の算出には、評価点を左右するポイントがあります。
価値の高い家を建てるにあたり、押さえておきたい点を挙げましょう。
立地条件が最重要
土地の資産価値は経年による変化が少ないことから、資産価値の高い家づくりには土地の見極めが最も重要です。
先述のように交通の便がよく都市部へのアクセスがよい立地、周辺施設が充実している立地は土地の価値を高めます。
住宅設備
住宅の価格差が顕著に出るのは「熱源」。
熱源は、都市ガス、オール電化、プロパンガスの3種類で、首都圏の熱源では87%が都市ガス、オール電化が2%、プロパンガスが11%となっています。
都市ガスはランニングコストが最も安く光熱費が抑えられるためニーズが高いです。
また、マンションと比べて家の中が寒い戸建ては「床暖房」の有無も価格差を生むポイントに。
都市部では過半数の51%に床暖房が備わっていることから、資産価値を高める住宅設備であると言えます。
長期優良住宅であるか
「長期優良住宅」とは、長く良好な状態で住み続けるための措置が講じられた性能の高い住宅のことで、新築または既存住宅の増築や改築が対象となる認定です。
長期優良住宅認定を取得することは、国から評価を得た住宅であるということ。
資産価値が高まるだけでなく、所得税の減税措置、住宅ローンの特別措置、地震保険料の割引きや地域型住宅グリーン化事業の補助金が受けられるなどのメリットもあります。
住宅性能評価付き住宅
「住宅性能評価付き住宅」とは、法律で規定された住宅性能表示制度に基づき、住宅の性能に関する第三者期間の評価書が交付された住宅のこと。
住宅性能評価書を得た住宅の95%以上が耐震等級の最高等級3を取得しており、劣化等級は97%、耐火等級は90%以上であることから、住宅性能への高い評価、信頼を示すことができ、建物の価値を左右するポイントに。
また、耐震性能の等級に応じた地震保険料率の割引きが受けられたり、住宅ローン金利が優遇されることもあります。
資産価値が下がりにくい家とは
戸建ての資産価値の特徴は、土地だけで売却できる点であり、資産価値が下がりにくい土地を選ぶことが重要です。
資産価値が下がりにくい家には以下のような特徴があります。
使いやすい土地形状である
同じ土地面積、建物面積でも土地の形状と道路への接し方により土地の価格が変わります。
どんな建物を建てるにも都合の良い以下の土地の価値が高くなります。
- 整形地(長方形)
- 高低差がない
- 角地などで2方向が道路に面している
- 南向きである
- 道路に接する間口が広い
- 私道より公道に接している方
土地の素性が良い
宅地として使用する前は何に使われていた土地であるかも資産価値を左右するポイント。
例えば、農地が開発された宅地であれば一般的に価格が安くなる傾向ですが、地盤調査や造成、地盤改良工事が施されていれば強度への不安は必要ないでしょう。
周辺に空き地が少ない
近隣に空き地が多い場合、そのエリアの土地が余っている状態ですので、比較的安く土地を購入できます。
一方、長期的に見た時には土地の価格が暴落するリスクもあるため、資産価値が下がりにくい土地を探す場合には周辺に空き地が少ない土地であるか確認しましょう。
災害リスクが少ない
国土交通省が全国各地のハザードマップを取りまとめており、災害発生時に想定される地域ごとの被害状況を把握することができます。
災害リスクが小さい地域の物件ほど資産価値が安定しますので、土地購入前に調べておくと安心です。
希少性がある
土地自体に固有の希少性がある場合、長期的に資産価値が維持される傾向にあります。
- 東南角地の土地
- 車3台分の駐車場がある
- 夏祭りの花火が自宅から見れる絶好のロケーション
- 夜景が見渡せる
資産価値を理解して価値の高い家を建てる!
ここまで、戸建ての資産価値、資産価値が下がりにくい家を建てるポイントについて解説してきました。
注文住宅の家を建てる時には、通勤や通学に便利な立地、間取りやデザインを優先して土地を探す傾向にありますが、将来的に物件を売却することになっても資産価値の高い家であれば高値で売却できます。
資産価値に関する知識を深め、後悔しない土地選び、家づくりで資産価値の高い家を実現ください。
「再調達価格」は、建物構造ごとの一平方メートルあたりの単価で金融機関により異なります。