マイホームの検討で重要な土地探し。
一生に一度の大きな買い物である住宅購入では、どこに建てるかについても慎重に検討したいものですよね。
しかし、実際に土地探しを始めたものの、理想の土地になかなか出会えないという方も少なくありません。
そんな方にもぜひ検討してもらいたいのが変形地です。
さまざまな種類のある変形地ですが、その中でも今回は袋小路という土地の特徴やメリット・デメリット、家を建てる際の注意点などを解説します。
目次
袋小路とは?
袋小路とは行き止まりになっており通り抜けられない小路のこと。
袋小路にある土地には、一方向からしか出入りができないのが大きな特徴です。
道の先に土地があり建物や塀で囲まれているため、袋のような形になっていることから袋小路と名前が付いたと言われています。
袋小路のメリット
一方向からしか出入りができない袋小路ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
近隣住民や来訪者以外の人が入ってこない
出入りできる道が一つしかなく奥は行き止まりになっているため、袋小路内に住んでいる近隣の住民や来訪者以外の人がほとんど入ってこないことがメリットとして挙げられます。
住民以外だと、郵便配達や宅配業者、各家の来訪者以外の人が入ってくることはほとんどありません。
車の通りがほとんどなく静か
通り抜けができない袋小路は、住民が自宅に駐車する以外に車の出入りがほとんどありません。
スピードを出して家の前を行き交うこともないので、事故が発生したり巻き込まれたりする可能性が低いのもメリットです。
車の走行音やエンジン音などの騒音も少ないので、静かで暮らしやすい環境です。
比較的安く土地を購入できる
袋小路の土地は、一般的な土地と比べると安く購入できるという特徴があります。
土地の価格は、広い道路に面していると高くなる傾向に。
その他にも土地の価格を決める要因はさまざまありますが、目の前の道路が狭いことで、袋小路は比較的土地の価格が安く設定されることが多いです。
納税額が少なく済む可能性がある
袋小路は、その特殊さから不動産としての評価額が決して高くない場合がほとんどです。
不動産評価額が低いと聞くとデメリットのようにも感じられますが、その分土地の資産価値に応じて変動する固定資産税や相続税が、一般的な土地に比べて安くなるという大きなメリットが得られます。
袋小路のデメリット
車の通りがほとんどなく静かで、比較的安く土地を購入できるなど多くのメリットがある袋小路ですが、いくつかのデメリットもあります。
メリットだけで判断せずに、袋小路のデメリットを把握して、実際に購入するかどうかを判断しましょう。
災害時の避難が難しい可能性がある
多くの袋小路は、目の前の道幅が狭くなっています。
万が一袋小路の中の住宅で火災が発生した場合、道幅の狭さの影響で避難が遅れたり緊急車両が中まで入れなかったりといった問題が発生します。
さらに地震が発生した場合には、袋小路の出入り口ががれきなどで塞がれてしまい身動きが取れなくなるなどのリスクも考えられます。
車の出入りが難しい
家の前の道路が狭いことが多い袋小路。
自宅の車庫への車の出入りが難しいのもデメリットとして挙げられます。
道幅が狭いと、車同士がすれ違うのにも一苦労です。
街灯が少ないことも多く、暗い時間帯に出入りをする場合に運転操作を誤って車や自宅のブロック塀などを傷つけてしまう可能性があります。
車の通りが少なく比較的安全な袋小路では、日中は近隣の子供たちが外に出て遊んでいることも少なくないため、日中であっても細心の注意を払って車を運転する必要があります。
防犯対策が必要
袋小路の奥に家があると、表側からは見えにくく夜には家の周りが暗がりになりやすいので、不審者が近くにいても気づきにくいです。
幹線道路から離れているため人通りも少なく、袋小路の中で万が一不審者に遭遇しても助けを呼べない可能性も。
万全の防犯対策や近隣住民との交流の中で防犯への意識を高めて行くと良いでしょう。
家の前の道路が私有地の可能性がある
袋小路は家の前の道路が誰かの私有地である可能性があります。
家の前の道路が他人の私有地である場合でも、建築基準法に定められている道路の条件を満たしていれば、家を建てることはできます。
しかし、私有地となっている道路の前に家を建てる場合、所有者から通行を制限されてしまうなどのトラブルが起きる可能性があります。
このようなトラブルが起きないためにも、家を建てる前に道路の所有者に使用して良いか確認をしておくようにしましょう。
袋小路の土地の注意点
袋小路の土地に家を購入しようと思ったら、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
事前に把握していないと、購入してから後悔することにも繋がりかねません。
注意点を知ってから袋小路の土地を本当に購入するのか判断しましょう。
建て替えができない可能性がある
袋小路の土地に建っている住宅を取り壊し、新たに住宅を建てようと思っても、建て替えができない可能性も。
新たに建物を建てるためには、建てようとしている土地が建築基準法に適合している必要があります。
建築基準法では、幅4m以上(地域によっては6m)の道路に2m以上の敷地が接していなければならないという要件があります。
袋小路にある土地が、この要件を満たしていない場合、建て替えはできません。
リフォーム費用が高額になる
袋小路に建っている住宅をリフォームしようとすると、一般的な土地に建っている住宅に比べてその費用が高額になるケースが多いです。
袋小路の土地に面した道路は道幅が狭いことが多く、重機や建築資材などを運搬するための工事車両などが家の前まで入れない可能性が高いことが理由として挙げられます。
リフォームだけでなく、建物の解体工事なども同様の理由で費用が高額になるので注意しましょう。
道路の所有者の許可がないと通れない可能性がある
家に出入りするための唯一の通り道である目の前の道路が他人の所有物の場合、通行を制限されてしまう可能性があります。
通行だけでなく、ガス管や配水管などの工事をおこなう際にも、所有者に許可をとる必要があります。
袋小路の特徴を理解して上手に付き合おう
袋小路は、行き止まりになっているので近隣の住民や来訪者以外の人が入ってくることが少なく、車の通りも少ないので静かで暮らしやすい土地です。
不動産としての評価額が低く敬遠されがちですが、その分固定資産税や相続税といった税金が安くなるというメリットがあります。
ただし、家の前の道路が狭くリフォーム費用が高額になってしまうことや、将来建て替えができない可能性があること、目の前の道路が他人の所有地である可能性があることなど、デメリットや注意点が多いのも事実。
袋小路の土地を購入するのであれば、特徴をしっかりと理解して上手に付き合っていきましょう。
見知らぬ人が自宅の周りを行き来することに不安を感じる人にとっては大きなメリットと言えます。