戸建ての駐車場について考えるとき、「サイズの決め方が分からない」「そもそも駐車場の寸法について、あまり意識したことがない」という人は多いのではないでしょうか。
駐車場は建物の次に広いスペースが必要であり、一度作ってしまうと変更できないため、慎重に検討したいものです。
この記事では、戸建てにおける駐車場のサイズの決め方について詳しく解説します。
完成後に後悔しないよう、設計するときのポイントを押さえて、使い勝手の良い駐車場を手に入れてください。
目次
戸建ての駐車場サイズの決め方
戸建ての駐車場サイズを決めるときは、車体の大きさはもちろん、駐車方法や前面道路の広さなど、さまざまなポイントを確認する必要があります。
この章では、駐車場の寸法の決め方を、手順に沿って解説します。
1:駐車する車の大きさを把握する
まずは駐車する車の大きさを確認しましょう。
車のサイズは駐車場の寸法を決めるときの基準です。
車種によってサイズが大きく異なるので、しっかりと把握してください。
自宅の車の長さ・幅・高さは、車検証に記載されています。すぐに車検証を確認できない場合は、以下の一般的な自動車の規格を参考にしてください。 ・ ・ ・
軽自動車 | 小型自動車 | 普通自動車 | |
---|---|---|---|
全 幅 | 1.48m | 1.7m | 1.7m |
全 長 | 3.4m | 4.7m | 4.7m |
全 高 | 2.0m | 2.0m | 2.0m |
その他 | 上記をすべて下回る 総排気量が660cc以下 | 上記をすべて下回る 総排気量2,000ccを下回る | 上記のどれかひとつを上回る 総排気量2,000ccを上回る |
2:幅と長さにゆとりを確保する
駐車場のサイズを考えるときに必要なのは、車本体の大きさだけではありません。
ある程度幅や奥行きにゆとりがないと、駐車のために何度も切り返さなければならなかったり、荷物の積み下ろしがしにくかったりと、毎回ストレスを感じることになるでしょう。
ドアを開け閉めするスペースに加えて、人が余裕をもって通れる幅を確保してください。
人が一人歩くためには約60cm幅が必要とされています。
駐車場サイズの目安となるスペース
駐車場を作るときに必要なスペースは、国土交通省によって以下のように定められています。
軽自動車 | 小型自動車 | 普通自動車 | |
---|---|---|---|
長さ | 3.6m | 5.0m | 6.0m |
幅員 | 2.0m | 2.3m | 2.5m |
上記の寸法は、あくまでも実用最低限のラインです。
特に車いすを使う家族がいる場合は、「幅3.5m以上」と国土交通省が示しており、さらにゆとりが必要です。
実際に駐車場の幅と長さを決めるときの考え方
実際に駐車場の幅と長さを決めるときは、車検証に記載された車の大きさを基準にして考えます。
以下の計算から出た寸法も、あくまでも目安です。
次の章で解説する、駐車方法や前面道路の広さも含めて検討してください。
3:駐車方法と前面道路を考慮する
駐車場を作るときは幅と長さだけでなく、車の停め方や前面道路の幅員も考慮しましょう。
直角駐車
直角駐車は多くの住宅に取り入れられている駐車方法です。
「車庫入れ式」と呼ぶ場合もあります。
道路に対して直角に停めるのが特徴で、前面道路の幅員が4m以上ある場合に向いています。
省スペースに駐車でき、車を停めやすいのがメリットです。
- 直角駐車に必要な道路面幅
- 前面道路の幅が約4mの場合
車庫間口は前進駐車で3.6m以上/後退で3.3m以上必要 - 前面道路の幅が約6mの場合
車庫間口は前進駐車で3.3m以上/後退で2.3m以上必要
- 前面道路の幅が約4mの場合
- 直角駐車に必要な奥行き
6.0m以上 - 直角駐車に必要な左右のスペース
左右合計90cm以上
並列駐車
並列駐車は道路に対して平行に停めます。
メリットは前面道路の幅や、敷地面積が狭い場合でも駐車できる点です。
- 並列駐車に必要な車庫間口
車の長さの倍以上 - 並列駐車に必要な奥行き
車の幅+1.0m以上
4:来客用の駐車場を検討する
必要に応じて来客用の駐車場も検討しましょう。
来客の機会が多い場合は、2台分の駐車スペースがあると便利です。
駐車台数を増やすのであれば、前面道路との関係も意識してください。
敷地に余裕がない場合は、駐輪場やアプローチを代用すると良いでしょう。
また、近所のコインパークを活用する方法もあります。
ただし、コインパーキングは継続して同じ場所にあるとは限りません。
そういった点も考慮して、来客用の駐車場を作るかどうか検討しましょう。
駐車場のサイズを決めるときの4つのポイント
この章では、駐車場のサイズで失敗しないために、確認したいポイントを4つ紹介します。
1:住宅自体の広さも考慮する
駐車場のサイズを決めるときは、住宅を建てる敷地全体の広さを考慮する必要があります。
敷地の形状など制約がある場合も考えられるので、早い段階で相談しましょう。
2:将来的なことも考える
駐車場のサイズは今の状況だけでなく、将来的な暮らしもイメージして決めることが大切です。
出産や親との同居など家族構成が変化することで、大きな車に買い替える可能性もあります。
またアウトドア用品や車用品、自転車などを駐車場に置くケースもあるでしょう。
駐車場のサイズは変えられないため、いろいろなケースを想定して設計してください。
3:実際に駐車場の寸法を体感してみる
実際に自分で駐車場の寸法を体感できる場所を探してみましょう。
頭の中で考えているだけでは、なかなかイメージがわきにくい場合もあります。
知り合いの家に遊びに行ったときに駐車場のサイズを計測させてもらったり、スーパーやコンビニなどで寸法を測ってみると、自分にとって必要な幅や奥行きがより明確になります。
4:駐車スペースはなるべく広くとる
敷地や予算に問題がなければ、駐車場はなるべく広くとるのが理想的です。
通勤などで頻繁に車に乗る場合、駐車場は暮らしの快適性に大きく関わります。
また駐車が苦手な人にとっても、スペースに余裕があるとストレスを感じにくいでしょう。
駐車場のサイズは、さまざまな角度から考えて決めよう
この記事では、戸建てにおける駐車場のサイズの決め方について詳しく解説しました。
建築会社に提案されたサイズや、標準寸法をそのまま取り入れるのではなく、さまざまな角度から考えて決めることが大切です。
設計するときのポイントを押さえて、利便性の高い駐車場を手に入れましょう。
=車検証に記載された幅+約120cm(左右約60cmずつ)
=車検証に記載された長さ+約80cm(左右約40cmずつ)