コンパクトな土地でも広々としたスペースを確保できる2階リビング。
建築可能な面積が限られる狭小住宅と相性が良く、都会の新築物件ではよく見るスタイルの間取りです。
今回はそんな2階リビングのメリット・デメリットについて詳しく解説!
建築するときに注意すべきポイントも合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
2階リビングとは
2階リビングとは、その名の通り2階部分にリビングスペースを設ける間取りのことです。
土地が狭い狭小住宅では、1階部分に玄関・部屋・階段・収納スペースなどが密集しやすく、 無理やりリビングを作ると狭くて過ごしにくい空間が生まれてしまいます。
そこで、生活拠点とリビングスペースの位置を入れ替えるアイデアが生まれました。
2階にリビングを設置することで狭小住宅で発生する多くの問題を解決でき、日当たりやプライバシーを確保しやすいなどのさまざまなメリットを得ることができます。
2階リビングのメリット
2階リビングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
狭小住宅の問題点を上手に解決できるポイントを5つの項目にまとめて紹介します。
日当たりが良く採光に優れている
狭小住宅は周りを住宅に囲まれた土地に建てられることが多いので、1階部分の日当たりが悪くなりやすい特徴があります。
2階にリビングを作ることで、より高い位置から光を取り込むことが可能になります。
1階部分と比べて光が差し込む時間が長くなるので、開放感と明るさに溢れたリビング空間を作ることができます。
眺めがいい
2階部分にリビングを作ると、窓やバルコニーから見渡せる景色が良くなります。
遮蔽物が少なくなるので風通しや換気性能も良くなり、自然な空気の流れを作ることが可能に!
広めのバルコニーを作れば、快適な空間の中で料理を食べたり、家庭菜園を育てるといった趣味も楽しみやすくなります。
開放感のある吹き抜け空間を作れる
2階建ての場合はリビング上部に屋根を設置することになるので、天井部分のスペースを広く作ることができます。
大きな吹き抜けスペース作ったり、勾配天井で広々とした空間を作ったり、ロフトや屋根裏スペースを作ったりと、縦横の広さを活かした開放的な間取りを作りやすくなります。
設計によっては耐震性が高くなる
リビングなどの大きな部屋を1階に作る場合、広さを確保するために柱や壁などの基礎が少なくなり、1階部分の耐震性が低くなってしまう戸建て物件が存在します。
2階リビングであれば、リビング以外の部屋が1階部分に密集する形になるため、柱や壁などの基礎をしっかりと組むことが可能になります。
間取りによっては、狭小住宅でも標準以上の耐震性・耐久性を確保できるようになります。
周辺の環境音が気にならない
1階部分は人の話し声・車の騒音・近隣住民の生活音などが聞こえやすいもの。
地上と距離のある2階部分をリビングにしてしまえば、周囲の環境音が聞こえにくくなります。
防音性の高い素材にすれば周囲への音漏れも少なくなるので、プライバシーを確保したい人にはぴったりの空間になります。
2階リビングのデメリット
良いこと尽くめに思える2階リビングですが、特殊な間取りならではのデメリットも存在します。
2階リビングの間取りでよく聞く問題点を紹介していきます。
子どもの状況を把握しにくくなる
家族が集まるメインスペースが2階にあるので、1階に子供部屋を設置した場合に状況を把握しにくくなるデメリットがあります。
リビングスペースを通ってから自分の部屋へ行く動線がないので、子供が外出・帰宅しても気付きにくくなるのも難点。
コミュニケーションも取りづらくなるので、積極的に交流の機会を設けないと会話が少なくなってしまうことがあります。
水回りの工事費用が高くなりがち
2階にリビングを作る間取りであれば、水回り設備を2階に施工することも珍しくありません。
その場合、通常よりも設備の搬送や施工に手間がかかるので、工事費用が高くなってしまう可能性があります。
水回りの配管や設置する設備重量の関係で特殊な施工が必要になるケースもあることを覚えておきましょう。
階段の上り下りで身体に負担がかかる
リビングに行くためには必ず階段を経由する必要があるので、場合によっては1日に何度も階段の上り下りをする必要があります。
膝や腰が悪い人にとっては毎日の移動がストレスになることも多く、バリアフリーには向かない住宅タイプになります。
また、料理や家事の拠点が2階にある場合、重い荷物の持ち運びをするときの負担が増えやすい側面も。
体調不良や怪我のときにも生活しにくくなることを覚えておきましょう。
夏場に気温が高くなりやすい
2階は日当たりが良い反面、夏場は暑くなりすぎてしまうデメリットがあります。
地域や方角によっては日が入りすぎてしまい、猛暑日は快適とは程遠い気温と湿度になってしまうことも。
ブラインドやシェードを使って光量を調節するなどの暑さ対策を考えていく必要があるでしょう。
来客時に不便なことが多い
来客をリビングでもてなす場合、階段を上り下りする手間が余計にかかってしまいます。
また、玄関からリビングに至るまでの通路や階段を小まめに掃除する必要もあります。
洗面所やトイレを使う場合も小まめな移動が必要になるなど、一般住宅と比べて不便を感じることが多くなります。
2階をリビングにする前に気を付けるべきポイント
2階リビングを作る前に注意するべきポイントをまとめました。
建ててから失敗したということがないように、あらかじめ予想される問題をしっかりとチェックして対策しておきましょう。
広い土地に建てる家には向いていない
2階リビングは狭小住宅向けの間取りスタイルであり、最初から広い土地が確保できている場合は、かえって不便な間取りになってしまう可能性が高くなります。
一番の原因は、玄関から2階リビングまでの移動距離が長くなってしまうこと。
広さゆえに移動ルートや階段の位置を上手く設計することが難しく、縦にも横にも長くて過ごしにくい家になってしまいます。
高齢者がいる場合は向いていない
急な階段を何度も上り下りしなければならない2階リビングは、高齢者と一緒に同居するには向きません。
特に介護が必要な高齢者と生活するには厳しい間取りです。
バリアフリー構造に改築するのも困難なので、将来的に自分たちが高齢になったときの生活プランも考えておく必要があります。
夏の暑さ対策として屋根や壁に断熱材が必要
2階リビングを建てる場合は、あらかじめ予想される夏の暑さ対策をしておく必要があります。
ブラインドや遮光カーテンなどの光量調節アイテムを用意するのはもちろん、扇風機をはじめとした冷房以外の空調設備も購入しておくと便利。
空気の通り道にも注意して間取りを設計しましょう。
断熱性・気密性の高い素材を使うと住宅の基礎性能が高まるので、冷暖房効率を大幅に上げることができます。
キッチンをどの階にするかは要検討
水回り設備の中でも特に重要なキッチンは、1階・2階のどちらに設置するのかをよく考えましょう。
1階であれば施工コストを低く抑えることができ、買い物荷物の持ち運びも楽になりますが、食事を運ぶのがやや煩雑になる恐れがあります。
2階リビングとキッチンを合わせてLDKの間取りにする場合、家事・料理・生活の拠点を一点にまとめることができる反面、リビングスペースが狭くなったり、施工コストが多くかかる場合があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルや家族構成に合わせて決めるのが失敗しないコツです。
庭の代わりにバルコニーが必要になる
2階リビングは大きめのバルコニーを設置して生活効率をアップさせるのが設計の基本です。
狭小住宅では1階が駐車場もしくは玄関のみという間取りが多いため、家事効率や日当たりを考えてもバルコニーの設計は必須!
リビングから移動しやすいバルコニーにすれば、家事だけでなく趣味を楽しむスペースも確保しやすくなります。
将来を見据えて快適に過ごせるリビングを作ろう
今回は一般的な住宅と比較した2階リビングのメリット・デメリットを詳しく解説しました。
狭小住宅と相性の良い2階リビングは、狭い空間を最大限に活かせる効率的な間取りです。
生活のしやすさは人によって向き不向きがあるので、家族全員のライフスタイルを考えながら導入を検討してみてください。