少し前から一般化されつつある「オール電化」。
生活に必要なガスや熱源をすべて電力で賄うエコな仕組みです。
ただし、良いことばかりではありません。設置費用が高額だったり、ライフスタイルによっては電気代が高くなったりとデメリットもあります。
そこで今回は、オール電化の費用やメリット・デメリットなどについて解説します。
オール電化の特徴や導入のポイントを理解しながら、自分たちのライフスタイルと合うのかを見極めてみてください。
オール電化とは?
冒頭でも述べたように「オール電化」とは、空調・給湯・調理などで使用するガスや熱源をすべて電気で賄う住宅を指します。
環境に優しく安全な住宅として2000年代から一般住宅に広がり始めました。
電気と水道以外のエネルギーにお金がかからなくなることから、初期費用は高額ですが一般的に5〜7年程度で元が取れるといわれています。
オール電化設置・リフォームの費用
一般的によくリフォームされるオール電化製品は「IHクッキングヒーター」と「エコキュート」です。
これら2つをリフォームして設置した場合の費用相場は「約60〜100万円」といわれています。
ほかの製品もあわせて設置する場合や、新築なのか中古住宅なのかなどによっても大きく費用は異なるでしょう。
また、電気エネルギーを自然に集めるための「太陽光発電システム」も導入したい場合には、さらに高額な費用がかかります。
数年すれば元は取り戻せますが、ある程度の初期費用を準備しておかなければなりません。
停電が起きた場合は何も使えない?
先にも説明したとおり、生活に必要な熱エネルギーを電気で賄います。
そのため、自然災害などで停電が起きてしまった場合には、ほぼすべての機器が使えなくなります。
とはいえ、オール電化が一般化されつつある現代では、停電しても使えるタイプも登場しています。
停電時に不安を感じる人は、停電にも強いタイプのオール電化を選びましょう。
また、乾電池式のスマートフォン充電器やカセットコンロなど、電気を使わなくても使用できるアイテムを事前に準備しておくこともおすすめします。
非常時の強い味方!テスラモーターズの「powerwall」
オール電化の最大のデメリットは、停電時にほぼ全ての家電が使えなくなること。
それを解消するのが、テスラモーターズが販売する家庭用蓄電池「powerwall」です。
家庭内で停電をはじめとした電気系統の異常を感知した場合、太陽光発電によって蓄えた余剰電力を自動的に供給!
災害時でも絶え間なく電気を供給し続けるので、オール電化の弱点を完全にカバーしてくれます。
太陽光発電で得たエネルギーを夜間に使えるエコシステムも備えているため、電気代を節約したい人にもおすすめ。
スタイリッシュで先端的なデザインなので、モダンな外観の住宅にもぴったりとフィットします。
オール電化で使用できる電化製品って?
次に、オール電化として使用できる電化製品について紹介します。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、電磁波を使って加熱する調理器具です。
ガスや火を使うガスコンロと比べても、熱伝導率が高くエネルギー消費に無駄がない点が特徴です。
またIHクッキングヒーターは火を使わないため、高い安全性が認められています。小さな子供やペット、高齢者がいるご家庭におすすめです。
エアコン・床暖房
エアコンや床暖房もオール電化として使用できる電化製品です。
たとえば、床暖房にも種類があり
- 電熱線ヒーター
- PTC
- 蓄熱タイプ
などさまざまな種類があります。
朝と夜に限定して床暖房を使用する人には「電熱線ヒーター」、1日中使用することが多い人には「蓄熱タイプ」がおすすめです。
家族のライフスタイルによって適した種類が異なることを覚えておきましょう。
給湯器
電気温水器やエコキュートなどの給湯器も、オール電化として使用できる電化製品です。
お湯を沸かして貯めておき、日中に使用することができます。
電気温水器は、電気エネルギーだけでお湯を沸かします。本体サイズは小さく、導入費用もそれほど高くはありません。
ただし、エネルギー効率はエコキュートよりも劣ります。
一方、外気の熱を利用しているヒートポンプ技術を取り入れたエコキュートも人気です。エコキュートはエネルギー効率が良く、電気代を抑えられるメリットがあります。
デメリットは、本体サイズが大きいため設置場所が限られてしまうことや、導入費用が高いことが挙げられるでしょう。
オール電化のメリットは?
続いて、オール電化にするメリットを5つ紹介します。
基本料金を電力に一本化できる
電気・ガス・灯油・熱供給といったすべての光熱費を電力に一本化できる点は大きなメリットです。
ガス料金がなくなり電力に一本化することで支払いの管理が楽になり、節約すべき点もクリアに見えるでしょう。
火を使わないため火災の危険性が低い
先にも述べたように、IHクッキングヒーターは料理するときに火は使いません。
つまり、火災の危険性が低いのです。
ただし、自宅で火を使うことがなくなるため、子供への教育対策が必要かもしれません。「火は危ないもの」としっかり教えてあげるとよいでしょう。
ガス配管工事が不要!建設コストが安くなる
ガスを使う新築住宅の場合、ガスの配管工事が必要です。
この工事には「7〜15万円」程度の費用がかかります。
しかし、オール電化にすればガスの配管工事は必要ありません。そのため、建設コストがガスの配管工事分だけ安く済むメリットがあります。
太陽光発電と相性が良い!
電気を自家発電できる「太陽光発電」との相性が良い点もメリットです。
電気は一般的に、昼間のほうが使用量も多く料金が高くなり、夜は比較的安い料金になります。
そこで、太陽が出ている昼間に自家発電をして、その電力で自宅の電力を賄えば電気代が抑えられます。
夜は電力会社からの電力を利用すれば安定した電力供給が可能に。ただし、太陽光発電の設置費用は高額になるため注意しましょう。
夜間時間帯の電気代が安く使える
電力会社の料金プランのなかで、深夜の時間帯が安くなるオール電化向けのプランがあります。
そのプランを契約すれば、電気代が安い深夜にエコキュートなどでお湯を沸かして貯めておき、翌日に貯めておいたお湯を使えるわけです。
ただし、こうしたプランでは日中の電気料金が割高になる傾向にあるため注意してください。
オール電化のデメリットは?
ここからは、オール電化にするデメリットを紹介します。
昼間の電気代が高くなる
先にも述べたように、深夜の電気料金が安いオール電化向けのプランを契約してしまうと、昼間の電気代は高くなってしまいます。
「昼間は仕事に行っているから電気は使わない」という人は良いですが、昼間に自宅で過ごすことが多い人にはおすすめできません。
特にコロナウィルスによるテレワーク環境は増えた今では、昼間のほうがはるかに電気消費量が多い家庭も増えています。
設置スペースが必要
エコキュートや電気温水器などの給湯器を設置する場合、スペースがなければ設置できません。
とくに、前述のとおりエコキュートは本体自体が大きいためかなりのスペースを必要とします。
自宅の敷地が狭くて給湯器が設置できないと、オール電化にするのは難しいでしょう。
初期費用(導入・設置費用)がかかる
先ほど、設置費用は「約60〜100万円」とお話ししました。
これは決して安い金額ではありません。
太陽光発電システムもあわせて設置する場合には、さらに高額な費用がかかります。
ただし、新築する場合には数千万円と膨大な費用がかかるため、オール電化の設置費用を高いと感じないかもしれません。そのため新築時に導入してしまうのもおすすめです。
IHクッキングヒーターは調理器具が限定される
IHクッキングヒーターは調理器具が限定されてしまう点がデメリットです。
なぜなら、火ではなく電磁波で加熱するため、電気を通す素材の調理器具でないと使えないからです。
たとえば、土鍋や中華鍋が挙げられます。ほかにも、一般的なフライパンは使えません。
基本的には鉄やホーロー、ステンレスの調理器具のみが使用できます。
しかし最近では、IH用のフライパンや土鍋なども数多く販売されているため、土鍋などが絶対に使えないわけではありません。
オール電化後はガス併用が困難になる
オール電化住宅を建てたあとは「やっぱりガスも併用したい」と思っても、簡単には工事できません。
ガス併用に切り替える場合、電化製品の取り替え以外にも、壁を取り壊してガスの配管工事を行います。
新築の場合には、ガスの配管自体が通っていないことが多いため、配管の新設工事が必要です。
こうしたことから、オール電化にするためにはデメリットを十分に理解して検討することをおすすめします。
ライフスタイルに合わせてオール電化を検討してみよう
今回は、オール電化について費用やメリット・デメリットを詳しく解説しました。
オール電化はガスに比べて二酸化炭素の排出がなく、自然に優しい電化製品です。
効率よく利用できれば、光熱費などの基本料金を安く抑えることもできるでしょう。
ただし、オール電化も一長一短。いくつかのデメリットもあります。
対策を練っておけばデメリットにならないこともありますので、オール電化のリフォームや設置を検討している人は専門業者に相談してみてくださいね。