新築のインテリアを考える際に重要になるのが「照明計画」です。
照明を設置する位置や器具によって、空間の快適さは左右されます。
新築を快適な空間にするためには、照明器具のデザインだけでなく、光の色や量、ニュアンスなども重要です。
この記事では、照明計画の重要性、計画の立て方やポイントなどを解説します。
目次
新築の照明計画とは
「照明計画」とは、間取りの目的や用途に必要な明るさを確保するために、必要な機能を持った器具の種類や配置などをプランニングすることです。
住宅で必要な照明のタイプは2種類考えられます。
- 作業などをする空間で、対象物を明るく照らすことにより見やすくする照明
- 特定の対象物に当てるのではなく、空間全体の雰囲気をつくりだす照明
これらをどの間取りに配置するかを決め、目的に合う照明器具を選んでいきます。
照明計画は暮らしやすさに影響するため、綿密に立てましょう。
照明計画が重要な理由
照明計画が重要なのは、日光と同様に、照明の「光」が人の感情や生体リズムに影響するためです。
植物が太陽の方向に向かって伸びていくように、人間にも光に意識を向ける性質があります。
室内空間でも、光の強さや雰囲気をコントロールすることで、明るい気分になったり、リラックスしたりする効果が期待できます。
照明計画の目的は、その空間を使う人にとって最適な環境を整えることです。
後悔しない照明計画の立て方
照明を設置するには、さまざまな設備が必要です。
計画的に設置できなかったり、後から照明が必要だと分かったりすると後悔することもあります。
ここでは、照明計画の立て方について、順を追って解説します。
1:空間の用途を確認する
照明計画を立てる際に最初にすることは、空間の用途を確認することです。
リラックスするための場所、作業するための場所、食事する場所など、空間のコンセプトを明確にします。
また、その空間を使う人がどのような行動を取るか、その道筋も想像しましょう。
たとえば足元にライトが必要か、照明のスイッチは見やすいかなども考えます。
その用途によって、暮らしに必要な照明器具を選択していきます。
2:インテリアのテイストを決める
空間の用途が決まったら、インテリアのテイストを決めましょう。
シンプルでスタイリッシュ、温かみのあるナチュラルな北欧風、ラグジュアリーでエレガントなど、空間のイメージをふくらませます。
それによって使うテクスチャや色彩を決めていきましょう。
照明器具は、インテリアのテイストに合わせたデザインで選ぶと、統一感がでておしゃれにまとまります。
3:空間の形状や家具の配置を把握する
具体的な照明計画を立てていくために、空間の形状や配置する家具の形を把握します。
照明を設置する場所だけでなく、光の広がり方を検討する際に必要なためです。
部屋が四角ではない場合や、大きな家具を置く場合は、照明の光がさえぎられる可能性があり、特に注意が必要です。
4:照明器具を選ぶ
次に必要な照明器具を選びます。
照明器具の種類によって特徴が異なるため、空間の用途に合わせて選択しましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
シーリングライト | 天井に設置したソケットに取り付ける照明。 交換しやすく、空間を広く照らすのに向いています。 |
ペンダントライト | 上から吊るして使う照明。ライトを対象物に近づけられるため、ピンポイントで明るく照らせます。 デザインの種類も豊富です。 |
ダウンライト | 天井に埋め込む照明。 スッキリとした見た目で、複数設置して空間全体を照らしたり、ひとつでスポット的に使ったりするのに向いています。 |
ブラケットライト | 壁に取り付ける照明。 デザイン性が高く、種類が豊富。スポット的に照らせるため、廊下や階段に多く採用されます。 |
スポットライト | 特定の場所を照らせる照明。 対象物を最も明るく照らせるため、作業空間に向いています。壁に照射して使うなど空間演出にも使えます。 |
5:照明の配置を検討する
空間の用途と照明器具が決まったら、照明の配置場所について照明計画を立てます。
照明器具を固定して設置するだけではなく、ダクトレールを採用することで、照明器具を複数設置したり、照明器具を移動させたりも可能です。
他にも、間接照明で空間の雰囲気を作り出す方法もあります。
照明の高さと位置に関しては、家を建てた後に変更することが難しいため、図面上でしっかり確認しましょう。
さらに、スイッチの位置も重要なため、適切な位置を検討してください。
照明計画を立てる際のポイント
照明計画を立てる際に光の特性を押さえると、目的に合った光が手に入ります。
ここでは4つのポイントを解説します。
光の色(色温度)を意識する
光には色があり、空間は色によって印象が変わります。
照明に使われているLEDの分類は以下の通りです。色温度を表す単位はケルビン(K)です。
色温度 | 電球色 | 温白色 | 白色 | 昼白色 | 昼光色 |
---|---|---|---|---|---|
色の単位(K) | 2,600〜3,250 | 3,250〜3,800 | 3,800〜4,500 | 4,500〜5,500 | 5,700〜7,100 |
JIS(日本工業規格)では3,300K以下の光源では暖かいと感じられ、5,300K以上では涼しく感じられるとしています。
ちなみに太陽光はおおむね5,000〜6,000K、朝日や夕日はおよそ2,000Kです。
同じ照明器具を使っても、色温度によって雰囲気が異なります。
空間の用途や好みに合わせて、光の色を選ぶことも重要です。
目に優しい明るさ(照度)を決める
照度とは、光が当たっている表面の明るさを表す単位(ルクス)です。
JIS規格で定められている住宅の推奨照度は以下の通りです。
間取り | 廊下 | リビング | キッチン | 勉強部屋 | 玄関 |
照度(ルクス) | 30〜75 | 150〜300 | 200〜500 | 500〜1,000 | 75〜150 |
「明るければ明るいほどいい」というのは間違いで、まぶしすぎて目に負担をかけてしまう場合もあります。
時間帯によっても適切な照度は変化するため、使用する場所によってはリモコンなどで調光できるタイプを選ぶことも検討しましょう。
照らす範囲を選ぶ
照明計画で気をつけたいのは、照らす範囲です。
照明器具の形状によって、光の広がり方は変わります。
たとえば勉強机を照らしたい場合は、天井への光の拡散はほとんどなく、下方に向かって光を集めるタイプの照明器具を選びましょう。
また、リビングなどリラックスしたい空間には、下方への光の拡散を少なくして、天井に光があたって反射する間接照明タイプを選ぶと、落ち着いた雰囲気をつくり出せます。
光のグレアに注意する
グレアとは、光による不快なまぶしさを数値化したものです。
多くの家庭で採用されているLED電球は、従来の電球や蛍光灯よりも集中して光が照射されるため、まぶしさを感じやすい傾向があります。
そのため、人の真上に照明器具を設置しないことをおすすめします。
特にリビングのソファや寝室のベッドは、あおむけに寝た姿勢の真上にダウンライトがあると、まぶしくて後悔する可能性があります。
家具の設置と照明の位置は同時に考えることが必要です。
くつろげる照明計画のアイデア
ここでは、照明計画でおしゃれな空間を作るためのアイデアを紹介します。
あかりだまりをつくる
リビングや寝室などでくつろげる空間をつくるには、照明を使って「あかりだまり」をつくると良いでしょう。
「あかりだまり」とは光を集中させる部分のことで、それによって暗い部分がより強調され空間に陰影ができるため、リラックスした空間ができます。
また、部屋の各所にあかりだまりを複数点在させると、おしゃれなラウンジのような印象を与えられます。
光の重心を下げる
照明計画を立てる際に、低い位置や足元に光を設置することも検討してみましょう。
光の重心を下げると、リラックスした雰囲気をつくりやすくなります。
たとえば、地平線に沈む夕日、暖炉の火など、低い位置に光があると、人は安らぎを感じます。
そのため、落ち着いた雰囲気を取り入れたい場合は、光の重心をさげた照明を検討しましょう。
間接照明を効果的に配置する
照明計画で間接照明を取り入れると、空間にやわらかな光をつくり出せます。
天井や壁面の段差、天井埋め込みのカーテンボックス、造作家具の下などに照明が見えないように設置することで、光を壁などに反射させます。
すると、光が当たっている壁面が広く光り、優しい雰囲気を演出できます。
綿密な照明計画を立てて快適な空間をつくろう
ここまで、照明計画の重要性、計画の立て方やポイントなどを解説してきました。
照明計画を綿密に立てられると、快適でおしゃれな空間が手に入ります。
照明器具のデザインだけでなく、光の色や使い方にこだわることで、満足のいく空間づくりができるでしょう。